第71回 地域の食材をつかった給食「ふるさと献立」を開発 大分・竹田
大分県竹田市の竹田市荻学校給食共同調理場にうかがった。この給食センターでは荻小学校192名、緑ヶ丘中学校109名の給食を作っている。大分県では、3年前から「学校給食まるごと大分県」という活動が行われいて、秋の収穫が多い時期に、100パーセント大分県産の食材による給食が行われいている。それとは別にふだんから地域食材をできるだけ使った献立を出そうと、直入、久住、竹田、荻地区の給食センターの4名の栄養士が集まり、地域の食材を使った「ふるさと献立」のメニュー開発と情報交換の集まりを毎月行っているという。
「地域食材のことを意識して献立を立てています。給食のときに説明をしています。また放送用の原稿を栄養士で交代で書いていて、放送でも流します。地域で採れたたものは、どこで誰が育てたものか紹介すると親近感がわきますし、子供たちの間で話題になったりもします。残すのも少ないです。とてもいい波及効果があります。子供たちも元気です」と栄養士の木村千香子さん。
給食で使われる米は、荻で作られるひとめぼれ。魚は大分県の給食会からのものと、生の魚は地元の魚屋を通じてのもの。肉類は、荻のものを調達している。牛乳も大分産だ。野菜類は、地域の農家が営む直売所「トマトちゃん」からのもの。地元の新鮮な野菜や果物類だけでも常時25パーセント近くを使うという。料理は、出汁は煮干、出汁昆布を使い、すべて手作りをしている。デザートまでが手づくりだ。
学校では栄養士、農家との連携した取り組みも行われている。「先生の依頼があったときは、野菜の栄養価、旬のことや、野菜の働きなどのことを授業で話します。年間に2回から3回行っています。また、生産者を招いての交流給食会をしています。中学生は、交代で普通の給食のときに学年ごとに。小学校は、給食週間というのがあって、そのときに6年生全員が、生産者と食べます。そうして野菜作りのことを話してもらうんです」と木村さん。
給食センターから荻小学校に行ってみた。多くの緑に囲まれた環境のとてもいいところだ。センターから運ばれた給食は、学年ごとに搬送され、それを各学年が取りに行く。6年生の給食の様子を見に行ったら、これまで訪ねた学校とは、まったく異なっていた。教室の隣に準備室というのがあって、そこで給食の配膳をするのだ。なんでも児童が減って、空いた教室ができたので、そこに生徒のランドセルなどを置く部屋を設け、そこで給食の準備をするようにしたのだという。
児童は、準備室で給食当番が用意した給食を、それぞれが一人ずつ取りに行き、教室で食べる。この日、木村さんも教室に入り、その日の献立と、きりぼし大根には繊維質が多く、体の腸の調子をよくすることなどを児童に話した。みんな、話を聞きながら、しっかり食べている。給食とは、直接つながってはいないが、荻小学校の4,5、6年生は、近くの公民館での活動である米作り体験にも参加しているのだという。児童はご飯や料理を残すことはほとんどないということだったが、地域の農家や栄養士や、多くの人たちの、本物の味わいを伝える活動が、おいしい給食につながっているのだろう。(ライター、金丸弘美)
2006年9月15日
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