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スローライフ旅日記
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  旅日記 no.220
「イータリーでのワークショップと食事会」
2008年12月10日
「イータリーでのワークショップと食事会」こんにちわ。金丸です。
今日は、「イータリーでのワークショップと食事会」のお話です。

12月5日の代官山「イータリー」での「麺が結ぶ二つの文化」のワークショップとディナーが、ついに形となった。「イータリー」はトリノが本店。スローフード協会がコンサルタントに参加し、厳選された食材の並ぶマーケットとして話題となり、その海外店舗の一号店が東京代官山に進出した。いまやトレンドの場所となっている。http://www.eataly.co.jp/book_an_events_06.html

この店舗内にはエデュケーショナル・エリアという小さいながら食を学ぶ教室がある。その隣にはレストランGUIDがある。この二つを使い、私が関わっている常陸太田市の蕎麦とのコラボレーションをしようということとなり、ついに実現したのだ。

5、6日の昼間に行ったのがエデュケーショナル・エリアで行ったワークショップ。イタリアでは、「Laboratorio del Gusto 味覚ラボラトリー」と呼ばれている。食材の背景、歴史、加工法、味わいなど、その工程をすべて伝えて紹介し、そして実際に味わってみるのだ。スローフードの素晴らしいのは、食材の基本テキストが作成されていること。専門家が講師にたつこと。そして基本は伝統的な食が中心にすえられていて、大量生産をする人は講師に呼ばれない。

このワークショップこそが、私が長年夢見てきたことだ。それがとてもいい形で実現した。この日のために約半年をかけて、蕎麦の郷の金砂郷地区の調査をした。歴史、種の品種、栽培法、暮らし、食べ方、生態系、環境、生産量など、すべてを常陸太田市市役所の武藤範幸さんを中心としたプロジェクトでまとめあげ、カメラマンの阿部雄介さんにロケにきてもらい、「クラリス」の編集長・赤岩州五さんの手で編集をしてもらい冊子にした。
http://www.clarust.net/

この冊子が「イータリー」の取締役アンドレア・ラスカさんに絶賛され、スローフード大学を卒業し広報を担当をする岡崎啓子さんのコーディネートで、蕎麦のラボラトリーが実現したのだ。当日は、まず企画課の武藤さんが常陸太田市の概況を説明、それからパワーポイントで、農政課の岡崎孝行さんが、常陸秋そばの環境や歴史や栽培をテキストも併用して紹介した。

その後、常陸太田市の金砂郷地区の80歳の海老根ひや子さんに蕎麦打ちをしてもらった。アシスタントは、ひや子さんの一番弟子の女性の岡崎さんで、地元の蕎麦工房の店長さん。そして提供されたのが、ひや子さんの村で昔から食べられてきた具沢山の「つけけんちん」である。山は米がほとんど取れなかったことで、蕎麦は冬の主食だったのである。この蕎麦は絶賛された。

続いて登場したのがGUIDの若手シェフのエンリコ・パネロさんが創作した、ピエモンテ州の伝統料理で卵のたっぷり入ったタヤオリーンを応用し、そこに蕎麦を入れたパスタ。蕎麦の香りが引き立ち、上品な味わいで、これも絶賛された。

イタリアでは、おもにロンバルディア州で1600年代から蕎麦が栽培されていたという。しかし生産が少なく絶滅しかかっていたことからスローフード協会のプレシティディオ(持続する、守るという意味)計画で、守るべき生産物としてバックアップがされてきたという。これには公的資金と企業や個人の寄付による基金が作られており、それでサポート、宣伝、プロモーション、バイヤーやマスコミの場などが提供される。

蕎麦のラボラトリーは、蕎麦というものをとおして、文化や背景や料理までが語られ、また質疑応答も出て、素晴らしい時間となった。さらに5日の夜には、GUIDではディナーフルコースが開かれた。この会には、イータリーの鈴木一成代表取締役、常陸太田市梅原勤副市長、ジャーナリストの向笠千恵子さんとその仲間を始め、すてきな方々が集まった。

メニューは蕎麦豆腐、手打ち常陸秋蕎麦「つけけんちん」、 蕎麦粉の手打ちパスタ、本日の鮮魚の包み焼き、デザート、蕎麦粉菓子というもの。
ワインはBollicine di Prosecco / Serafini & Vidotto、
Rosa Vittoria / Castello di Santa Vittoria 、
Gavi / Fontanafredda 。

ソムリエも素晴らしく。最上のもてなしであった。海老名ひや子さんも同席してもらいやはりテキストで蕎麦の背景から紹介。シェフのエンリコさんからも料理が解説されて、こちらも最上のときとなった。私にとっては、すべてが満たされた至福の時間となった。参加したすべての人たちに感謝したい。

金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎総務省 地域力創造アドバイザー
http://www.soumu.go.jp/ganbaru/jinzai/pdf/b022.pdf
◎ホームページhttp://www.banraisya.co.jp/kanamaru/home/index.php
◎日本ペンクラブhttp://www.japanpen.or.jp/
◎ライターズネットワークhttp://www.writers-net.com/
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金丸弘美、石田雅芳 共著 定価:1700円
(イタリアスローフード協会公認図書、全国図書館協会選定図書)

 スローフード協会は120名のスタッフを抱えるNPOです。
彼らが小さな生産者を世に出し、それをプロモートすることで、経済性を生む社会貢献活動をしています。イベント、出版、大学運営、学校教育など、多彩な活動をしています。
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