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  旅日記 no.222
「江上料理学院の宿儺(すくな)かぼちゃ」
2008年12月21日
「江上料理学院の宿儺(すくな)かぼちゃ」こんにちわ。金丸です。
今日は、「江上料理学院の宿儺(すくな)かぼちゃ」の会の話です。

農林水産省のブランド化事業で、岐阜県飛騨高山市の「宿儺(すくな)かぼちゃ」を手がけることとなった。正式には、農林水産省の平成20年度農林水産物・食品地域ブランド化支援事業(地域段階事業)で、今年、初めてのものである。

きっかけは、千葉県にある市町村アカデミーという行政マンの研修機関があり、ここで講師を頼まれ、地域づくりの話をしたときに受講生に飛騨高山市の職員の方がいらしたのだ。そのあと飛騨高山を訪ねて町づくりを実際に改めて見せてもらった。このことがきっかけで、私のところに話がきたというわけだ。http://www.hidatakayama.or.jp/

最初は東京で8月に高山市農政課の方と生産者代表の若林定夫さんたちとで会合をもった。次は10月に飛騨高山で、カボチャの料理を味わいながら会議をもった。宿儺(すくな)かぼちゃは、ひょうたんのようにながひょろい。地元で、20数年前から本格的に取り組み始めたという。この会議のあと、代官山「イータリー」の岡崎啓子さんに「イタリアの市場でも同じようなものがありますよ」と教えられた。

そのあとイタリアのブラ市の市場に行ったらほんとうにあった。食べ方を尋ねたら、リゾット。これはホテルで食べることができ、いい味わいだ。もうひとつ教わったのは、中身を小麦粉とパルミジャーノチーズと混ぜ合わせて、オリーブオイルで焼くというもの。これは美味しそうだ。試してみたいと思った。

そして、11月末、東京で12月中に宣伝をしたいとの話があった。かなり時間も迫っている。素材をきちんと紹介して、そして味わってもらい、正攻法で行いたいと思ったので、江上料理学院にお願いすることとした。

江上栄子先生とは、佐賀県の食育事業でご一緒で、そのあと毎年行われるお花見の会にでかけていたこともあって、料理の展開もよくわかっていたからだ。幸い快く引き受けてくださった。12月1日、江上料理学院で副学院長の江上佳奈美さんと打ち合わせをした。http://www.egami-cooking.co.jp/


そして12月15日に開催が決定した。ようやくプロモーションの一弾が形になった。最初は、ほかの農産物も一緒にとか、かぼちゃのぬいぐるみをもってくる、などという話もあった。しかし、私が行ったのは「味覚のラボラトリー」で、正攻法から推す、というもの。生産の歴史、現場、生産者、生産工程、栄養価、味わいなどをテキスト化し、さらに料理をとおして実際に食べてもらい、食文化そのものを知ってもらおうという試みだ。

いろいろとイベント的なことを行う以前に、自分たちのカボチャそのものがどんな性質でどんな食べかたができるのか、基本を知って、それを具体的に伝えるということだ。これが意外や、ほとんどのところで、うまくできていないケースが多い。

飛騨高山の担当の方には、テキスト作成と地元の多くの料理家とで料理を作り、それをまとめることを第一にしてもらった。江上佳奈美先生にも、テキストのアドバイスをいただいた。15日は、江上料理学院での「宿儺かぼちゃ」のワークショップという形で展開をした。対象はマスコミ、バイヤー、食関係者限定。それも着席の教室形式というものだ。あちこち声をかけ、幸い満員となった。

生産者の自己紹介とパワーポイントでカボチャの背景を具体的に伝えた。そして生産物の香り、うまみ、特性をより具体的に知っていただくために江上栄子先生とスタッフのご協力をいただき、3点の料理としてご紹介をし、実際にたべてもらい、味わってもらった。料理家、生産者の交流をたっぷり時間をとって対話を重視した。

生産物をただ売るのではなく、現場をふくめて農業や食文化を知ってもらうというがコンセプトだ。江上先生は、そのことをよく理解してくださって、かぼちゃの特性をとてもうまくアピールしてくださった。さっそく商談もいくつか具体的に出て、とてもいいスタートをきることができた。

金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎総務省 地域力創造アドバイザー
http://www.soumu.go.jp/ganbaru/jinzai/pdf/b022.pdf
◎メールマガジンhttp://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/9697.html
◎ホームページhttp://www.banraisya.co.jp/kanamaru/home/index.php
◎日本ペンクラブhttp://www.japanpen.or.jp/
◎ライターズネットワークhttp://www.writers-net.com/
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テーマは食育ですが、地域の活性化とブランド作りにつながる形としてまとめ、すべて実践に基づいて書いています。