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  旅日記 no.012
「唐津くんち」
2004年11月10日
 こんにちは、金丸弘美です。

 11月3日、僕の故郷「唐津くんち」で、我が家に多くのお客さんを迎えた。
嬉しかったのは、イタリアで一緒だった合鴨農法の古野隆雄さん、古代米の武富勝彦さん、フードコーディネイターの高井瑞枝さんを始め食関係の人たちが集まり、地域の食を自ら発信していこうと盛りがったことだ。
近々プロジェクトを立ち上げるつもりだ。

 4日はNHK「おげんきですか日本列島」の中継で唐津くんちの解説を行い、地域の食文化の素晴らしさを全国に向けて発信した。
中継は魚屋町の多久島家からで、この日お母さんたちが盛大な料理を作って、待っていてくれた。ここしか食べられない故郷の食と祭りがあることを改めて感謝した。

 唐津くんちの翌日、その足で徳之島に向かった。一年がかりのイベント奄美・徳之島のおける「長寿シンポジュウム IN 伊仙」に参加するためである。会場は大きな体育館だったが、その設営が見事。
島の歴史写真、島の野菜のリストと食材、長寿者のインタビュー記事、現代の食生活の問題点の展示など、島の宝と現代とがひと目でわかる仕組みになっている。同時に保健所での健康診断も実施されている。

 講演は僕と名桜大学の村上光信先生だったが、圧巻は、後半のパネルディスカッション。伊仙町保健センター所長・澤佐和子さんが中心となってやり遂げた1200名の65歳以上の詳細な食生活調査と30代から40代の健康調査。それに鹿児島県保健福祉部の吉田紀子さんによる奄美諸島の長寿調査である。それに沖縄で学校給食に郷土の食材と料理を取り入れている北城むつみさんの実践報告だ。

 調査の結果は衝撃的なものだった。長寿の島の徳之島の若手世代は肥満が45%もあり本土の二倍近く。生活習慣病が広がり、このままでは長寿がいなくなってしまうということ。実は沖縄も同じ事態になっている。その原因が現代の便利な簡易な食生活や、油、清涼飲料水、ビール、タバコの過度なとり過ぎなどがあげられた。

 一方長寿の人たちの食生活が島の魚や野菜などを非常にバラエティにとんだ形で取っていることや、地域に根ざした暮らしにあることが明確になった。これらの詳細なデータは近々まとめて公開されるはずである。

 いちばん嬉しかったのは集まった500名近くの参加者が長いシンポを最後まで熱心に聞いてくれ、反響もよかったことだ。
ある記者の次の言葉がシンポの様子を端的に物語っている。「大きくいうならば、「長寿」という視点から、現代の日本、世界のライフスタイル、あるいはグローバリゼーションに対して、再考を促せる可能性を感じました。」

 シンポの後は、島の食材で郷土料理を再現して膳を囲んでの宴。
翌日は島の5キロのコースを巡り、島の景観を見ながら、三箇所で島料理でもてなし、途中では島の歌と踊りが披露されるウオーキングが行われた。これらのコンセプトは、僕が提案したのだが、役場の人たちは住民の参加を取り付け、見事にやり遂げたばかりか、島の民俗音楽や歴史までうまく取りいれたものとなった。

 嬉しかったのは、シンポに刺激をうけて全生徒(といっても16名)とともに参加した馬根小学校の先生からのコメント。「めったに島を散策する機会はなくて、今回は島の人も知らないものがたくさんあってよかったです。」と感想を述べてくれた。

 今回のシンポの結果は、僕なりにまとめて発表を行う予定で、また、この調査から明確になった島文化をメインに押し出し、ツーリズムと島の食品のブランド化に取り組む協力を行う。具体的な活性化に結びつけることが、シンポを行う意義というものだ。



■ラジオ出演
11月18日 木曜日
番組名 TBSラジオ「すとリーム」
14:00〜14:20
出演者 小西克哉(国際ジャーナリスト)
    松本ともこ(フリーアナウンサー)
放送日 毎週月〜金曜日 13:00〜15:30 生放送
ゲストで参加します。