ホーム > 旅日記 > 2005度 > 「ふたたび佐渡島へ。雪景色、温泉、蕎麦に満喫」
スローライフ旅日記
各地の食の取り組みや地域活動、本や映画のことを紹介
最近の旅日記
過去の旅日記一覧
  旅日記 no.031
「ふたたび佐渡島へ。雪景色、温泉、蕎麦に満喫」
2005年3月16日
こんにちは。金丸弘美です。
今回は「ふたたび佐渡島へ。雪景色、温泉、蕎麦に満喫」

 佐渡市がすすめている『佐渡百選』の「プレミアムツアー」の食文化の旅がついに実現した。3月11日から13日までふたたび佐渡を訪ねた。今回の訪問先は昨年11月にシェフの三國清三さんと佐渡島に行って、あらかじめ下見をしてからのものだった。
佐渡島の観光課の方々にお願いをしたのは、物語を語って欲しいこと、生産者との接点を作ってもらうこと、料理の素材をすべて地元をメインとしその背景を明確にしてもらうことだった。

 参加者は16名。男性が一人であとは女性である。尋ねてみるとみんな旅なれた人たちばかり。なかにはベルサイユ宮殿を借り切って食事をしたという豪快な人も混じっていてただならぬメンバーなのであった。佐渡の一日目は、能楽の里でのイカと昆布のトロロ丼、それからトキの森公園でトキを観察、新穂村の自然循環型の田んぼの見学、海藻を煮詰めて作ったイゴネリの試食、夕方は農家と交流しながらの食事会、泊まりは温泉のあるゴールデン佐渡であった。

 2日目は佐渡金山の見学、羽茂町大崎・大崎活性化センターでの蕎麦打ち体験と郷土料理のフルコース。それから小木港でのたらい舟体験。ロバート・デ・ニーロが来たという赤泊港近くの北雪酒造見学と試飲。夕方は島の反対側になる八幡館で佐渡牛を食べての夕食。3日目は平安時代に建立されたという長谷寺を訪ねた。それから両津港近くにある加茂湖で牡蠣の養殖を視察。そうしてかもこ観光センターで牡蠣料理のコースというものであった。

 食事はどれも素晴らしかった。それに雪が一瞬にして佐渡を雪景色にし金山や長谷寺、温泉の情景を一層情緒豊かにしてくれたのだ。
おまけにトキセンターではトキたちも羽ばたいて優雅な姿も見れるというなにもかもが見事に調和したシチュエーション展開であった。

 なかでも評判だったのが生産者と食品加工の現場の方々との語らいである。真野湾の近く須田嘉助商店では江戸から続くというふぐの卵巣を使ったふぐの粕漬けがある。5代目須田訓雄さんが佐渡名物のフグの卵巣が2年塩蔵され、それから酒粕につけて一年寝かして毒素を抜け落ちさせて食べるという話をしてもらった。またその味わいの素晴らしかったこと。

 かつてトキが生息していた山々のそばで住んでいた農家の小田誠さんたちが無農薬での田んぼを作り、トキの餌となるドジョウたちまでも蘇らせることでトキの再生を目指すプロジェクトをおこなっている話。それに農家の方々のオニギリ。

 さらに加茂湖での牡蠣の養殖では牡蠣を手がける伊藤勇一さんたちが、湖を守るために漁師の仲間で植樹をし山を守ることで清涼な川を守りそれで湖を守っていること。近辺の田んぼの農薬の空中散布はすべて廃止されたこと。牡蠣殻は道路の資材、肥料、水の浄化用として使われており、自然循環がされているといったことを話してもらった。さらにみんなが「目からうろこ。ここで話をきかないとまったくわからなかった。すごく勉強になった」といったのがスーパーで売られている「生食」と「加熱用」の牡蠣の違い。

 伊藤さんによると保健所の管理がうるさくて、生食用は18時間以上もかけて殺菌したものだという。場所によっては濃い塩水で、今は遠赤外線で殺菌をするというもの。したがって確かに生では食べられるけど本来のうまみはなくなっているとのこと。
「加熱用」は逆にそのまま新鮮なうちに出されるので、本来のうまみを欲しいなら「加熱用」がおすすめということだった。どおりで生食に水っぽいものがあるはずである。

 今回の旅でもっとも絶賛をあびたのが佐渡島の南の方の山間部にある大崎の蕎麦打ち体験と、地元の人たちの山のものを使った料理の数々。蕎麦は在来の種から栽培するものなのである。これを地元の方々に手ほどきをうけて蕎麦を練り茹でたてを食べる。おつゆときては、地元佐渡でとれたトビウオを使ったあごだしによる上品で最上のもの。
目の前の田んぼの周辺で採れたふきのとうをテンプラにしていただく。おかずには原木のシイタケの甘煮などどれもこれもが本物。素材がしっかりして素晴らしい。おまけに地元の方々が素朴で、きさくで、温かかくて、とても気持ちのいい料理と時間だった。この大崎は再び訪れたいという声がたくさんあがった。

 参加者みんなから絶賛された旅。すでに「次回はいつ?」とみんなからリクエストをいただいた。佐渡市さん、「次はいつ?」

■カルチャーセンターの新講座が開講しました。

池袋コミュニティカレッジ
『「美味しさ」を楽しく追求 金丸弘美のスローフードの魅力』

● スローフードとは、食の楽しみを人類へ呼び戻そうとする運動です。本来の食の喜びを知り、そこからつながる人に優しく居心地の良い「スロー」な社会を一緒に考えていきましょう。

【曜日・時間帯】 木(第4)   18:30〜20:00
【開講日】 4月28日〜 7月28日〜
【回数】 6ヵ月6回 3ヵ月3回
【受講料】 6ヵ月 18,900円 7月期 10,395円  
●お問い合わせは、03(5949)5487まで     

【講師】 食環境ジャーナリスト 金丸弘美
ニッポン東京スローフード協会設立発起人。農業、食材、環境問題、食文化等をテーマにライター、エディター、コーディネーターとして活躍。講演も多数行う。 農業、食材に関してはここ10年で全国の農村300ヶ所、東京の農家や野菜売り場60ヶ所を自ら巡った。
スローライフを実現するため2001年に鹿児島県徳之島に移住。

− 資料請求はこちら−
TEL:03-5949-5486(代表)
FAX:03-5949-3747
ホームページ
http://college.e-doc.co.jp/ikepri/files/200504/homepage/public/hp/20050412889.html

●なおスローフードの組織の詳細については、
イタリアスローフード協会が認定した
『スローフード・マニフェスト』(木楽舎)
石田雅芳、金丸弘美共著(全国図書館協会選定図書)
で紹介しています。
本はインターネットで購入できます。
アマゾン
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4054023126/249-1566876-8006749