こんにちは。金丸弘美です。
今日は「おおいた食育コーディネーター研修会」のお話
大分県の「おおいた食育推進計画」での「おおいた食育コーディネーター研修会」というのがあって、その講師として呼ばれた。今、国が食育を推進していて、各地での食育が始まっている。地域に根ざした食育活動を推進するために、大分では「食育推進計画」を策定し、これまで地域活動で食に関わる活動をしてきた人たちから14名を研修生として迎えた。これから食育の5回の研修を経て、地元で活躍してもらおうというわけだ。その1回目の研修会が県庁で行われ、研修生と一般向けの講師を頼まれたというわけである。
食育と言っても、ほとんどの人は現場でいったい何をしていいのやらわからないというのが実情だ。言葉自体が抽象的だし、第一、教育臭くて楽しめそうにもない。一般の人の認知という点では、まだほとんど伝わっていないだろう。要は、食べ物を自ら賢く選択して、美味しく、楽しく、体にいいものを食べよう。その美味しいものを選ぶ力を養おうということである。この背景には1970年代のアメリカの油脂分が高く野菜が少ない、高カロリー、高たんぱく質の食べ物が突然死を招くという食の実態がある。
日本もアメリカ型の食生活に近づき、私たちの生活を脅かすほどに食が変化し生活習慣病が広がっている。ところが、食育の参考図書をいろいろ読んでみたりしたのだが、ほとんどが、自給率の低下や、現代の成人病の問題や、栄養バランスの問題、子供の肥満などの話、などが多い。もちろんそういった背景があるからこそ、食育が推進されているのだが、あまり具体的で面白い事例が少ない。
そこで、今回の研修にあたっては僕が実際に訪ねた保育園、小学校、料理学校、農家、イタリア・スローフード協会など、各地の事例をパワーポイントで見せながら、評価の高いものを紹介していく方法をとった。また伊東市の旭小学校で僕自身が行った、「きてきて先生」プロジェクトによるお米を使った子供のための「味覚教育」の実践例をビデオで紹介することにした。さらに今後の取り組みにあたってのアドバイスをディスカッション形式で行った。
現場でのふだんの取り組みを絵でみせると、参加していた人たち、例えば、地元でマグロを扱い、すでにマグロの解体や料理のツアーを実施している人などは、自分がこれまで行ってきたことを活かせばいいのだということが見えてくる。参加した人の中には、農家や料理人の人もいて、すでに地元の食材を使った料理教室や、農家ツアーなど経験豊かな人ばかり。要は、このメンバーのコラボレーションを行いうまく組み合わせ、それに学者や栄養士、料理の専門家なども加わっていくといい、とアドバイスした。
実は、僕もつい最近まで食育がこれから必要だとは言われて、いろいろ資料をあたっていたのだが、さっぱりどこから手をつけていいのかわからなかったのだ。もう2年前に、ある出版社から食育や現在の食糧問題に関して、わかりやすく一般向けの本を書いて欲しいと言われていたのだが、書き上げるまで2年もかかってしまった。
本は年内に出版される予定だが、2年間、煩悶している間に、学校給食の各地の見学、イタリアでのスローフードの授業や自らの体験などを積み重ねることができて、それらを多面的に組み合わせることで、僕なりの「食育」の実践版というのが出来上がった。
そんなときに大分県からの依頼があったというわけで、今回は初めて、これまでの現場のレポートを一般の人のみならず、県の関係者農家を含めて、おおよそ300名ばかりのところで公開することができた。実は、講演の5日前に竹田市に入り、竹田市における町おこしや、食の現場の視察をとことん行い、地域の食をテーマにした地域活性化の実情を見てきたこともあり、長所と同時に問題点もみえてきた。
食育も食の地域おこしもすでに意欲的な取り組みはあるのだが、あるものを組み合わせて、総合プロデュースする人がきわめて少ないのである。新しい視点の組換えさえうまくいけば、なにかうまく簡単にいきそうにも見えて、今回の大分行きは、きわめて大きな収穫だったといえる。
■掲示板
●おにぎりをテーマにした四季の写真が満載の単行本
『むすんでみませんか? おむすび −むすびの話あれこれー』オオクラ チエコ著 PIE BOOKS
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31531039
この本にオニギリのエッセイを書いています。
●フォーラム「北海道の農的な暮らしは面白い」
日時 6月5日(日)14:00〜16:00
(13:30開場 終了後個別相談会16:00-17:00)
場所 サンケイプラザ3階311東京都千代田区大手町1−7−2
TEL:03-3273-2257〜9 入場無料
交通:地下鉄「大手町」駅下車 A4・E1 出口直結
・コーディネーター
高井瑞枝(フードコーディネーター)
・パネリスト
荒川信基(北海道江丹別 オサラッペ牧場)
勝又武司(北海道斜里町 畑作農業兼蕎麦屋)
渡部 徹(北海道沼田町 新規就農予定者)
●第5回 それいゆ交流セミナー
『価値観の変革 スローフードを通してビジネスを考える』
◎セミナー&交流会スケジュール
開催日: 6月15日(水)19時から20時30分
※セミナー:90分
講 師: 食環境ジャーナリスト 金丸 弘美氏
会 場: 「女性と仕事の未来館」
東京都港区芝 5-35-3
※JR田町駅三田口(西口)より徒歩3分
地下鉄都営浅草線、三田線三田駅A1出口より徒歩1分
会 費: 3,500円(税込)
※定員40名になり次第、受付終了とさせていただきます。
お問い 合わせ先:「それいゆ」事務局
担当:石川、昌原(まさはら) TEL:03-3779-1261
9時30分〜17時30分(土日祝祭日はお休み)
http://www.e-soleil.biz/seminar/kanemaru/kanemaru.html
http://www.e-soleil.biz/
●2005年6月23日(木) 第3回市民科学講座◆
「食」から見える社会の変え方
・日時:6月23日(木)18:30〜21:15
・場所:文京区茗台生涯学習館 学習室A(文京区春日2-9-5)
(地下鉄丸の内線茗荷谷駅駅から徒歩8分)TEL03(3817)8306
http://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/gakusyu/meidai.html
・講師:金丸弘美(食環境ジャーナリスト)
・参加費:1000円
・問い合わせ先:市民科学研究室 Tel&Fax 03-3816-0574 info@csij.org
申し込み手続きは不要です。参加をご希望の方は、直接会場へお越し
ください。
大量の生産・輸送・消費を前提にした農や食の工業化が様々なひずみを生む中で、今「スローフード」の運動が静かに浸透し始めている。
環境意識の高まりとともに、食の見直しを通して、生物の多様性、世界各地の文化の多様性を尊重する数多くの取り組みが手を携えようとしている。 ほんとに美味しいものをいつも豊かに食べることが皆でできる世界――それを目指す心躍るユニークな“食の変革”の連鎖は、市民の力でよりよい社会を創っていく確かな流れとなるだろう。
全国各地の農村や食の現場で多数の取材を重ねてきた金丸弘美氏を招き、様々な事例を紹介していただきながら、「食」から見える社会変革の姿をとらえてみる。
■好評発売中!!
『ゆらしぃ島のスローライフ』(学習研究社)
金丸弘美著 絵・唐仁原教久
定価:1300円 四六版 176頁
・NHKラジオ『私の本棚』の連続朗読番組になったほか、
新聞、雑誌、ラジオなど90媒体で紹介されました。
本の購入はアマゾンから。
http://www.amazon.co.jp/
●金丸弘美正式ホームページ
http://210.255.173.147/tml/kanamaru/kanamaru10.html
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●毎週「毎日新聞」デジタルメディアにて食のエッセイ連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
・ライターズネットワーク
http://www.writers-net.com/
・日本ペンクラブ
http://www.japanpen.or.jp/
・ニッポン東京スローフード協会
http://www.nt-slowfood.org/