こんにちわ、金丸弘美です。
今日は 「エッセイ集『ゆらしぃ島のスローライフ』」のお話
初のエッセイ集『ゆらしぃ島のスローライフ』(学習研究社)が、第10回ライターズ・ネットワーク大賞を受賞することとなった。
『ゆらしぃ』とは、家族が4年前に移住した徳之島の言葉で『ゆっくり』という意味である。本は、僕たち家族と島の人たちとの交流を描いたものである。
ライターズ・ネットワークは、1993年、僕がライターやエディターの勉強会として発足させたものだ。そのなかで、「身内は身内が褒めなけりゃ、誰が褒める」ということで、私が言いだしっぺで創設した賞なのである。つまり、私も身内が褒めて、賞をもらったというわけだ。
そんな賞なのだが、それでも正直嬉しい。プロのライター仲間から認めてもらったというのもあるが、僕としては、これまでと違って、プライベートな話をまとめたものだったし、なにより、編集者、デザイナー、イラストレーター、カメラマンなど、ベストメンバーが揃って、美しい、理想的な本に仕上がったからだ。
本が生まれたのは、熱心な学研の編集者・大西由美子さんの力があった。彼女とは、偶然知り合った毛利さんという編集者がきっかけなのだが、彼女から大西さんを紹介され、最初は、子供向けの食の本の話が始まりだった。
その頃、家族が徳之島に移住したばかりで、その話をしているうちに「家族と島の話が面白そうだから、それをエッセイにしてみませんか?」ということになった。
大西さんは、一度東京に戻った妻早苗にもインタビューを行い、それから毎週のように、僕の東京の住まいまでやってきて、「まず、どんな項目があるか、50本あまりテーマを出しましょう」と、いろんな島のエピソードを聞いて、50の項目を書きだすことから始まった。
そこから、書きやすいところから話をまとめ始めたのだが、なかなか書けない。書いて提出すると大西さんから改善点が、うちの妻からは何度もダメだしがでて、書き直すということで、なんだか
んだと、原稿を書き上げるまでに、3ヶ月近くかかったような気がする。
原稿がまとまり始まったところで、大西さんは、絵が多く、美しい本にと、デザイナーからイラストレーターまで、最高のメンバーを集めてくださった。デザイナーは、レスパースの若山嘉代子さん。
彼女には、これまで、ベネッセ・コーポレーションから出した映画のエッセイ『こんなSCENEで贈り物』『こんなシーンでウエディングベル』(絵・平野恵理子)、僕がコーディネイトした渡辺貞夫さんの写真集『one in the same 笑顔つなげて』(ポプラ社 )で、3冊ご一緒している。
デザイナーとしてはトップクラスで、そのセンスのよさは定評があるところ。大西さんが若山さんの名前を出した時点で、もう、ぜひということで、喜んで賛成した。若山さんの仕事は、内容を全部読んで、書体から紙の質までトータルにデザインを行い、しかも品がよくて見やすい本を生み出す。そんなことから、各出版社から引っ張りだこで、一年先も埋まっているという売れっ子なのだ。それでも快く引き受けてもらった。
イラストレーターの唐仁原 教久(とうじんばら・のりひさ)さん
は、この本がきっかけで初めておめにかかった。1950年鹿児島県生まれ。デザイン事務所Happy Companyのほかに、何度もいろんなイラストレーターの個展を観にいった「HBギャラリー回廊」の主宰者であるということも知った。「西武百貨店」「SONY」「日清製粉」「日産自動車」「資生堂」「東京ガス」「JR東日本」「無印良品」など、一流企業の仕事も数多い。
唐仁原さんの仕事は雑誌や、ポスター、イラストなども多く、絵を見た瞬間、優しい色合いと、シンプルなラインで、きちんと、しかし、ほのぼのとまとめられた雰囲気で、よくいろんな媒体で目にし
ていたことがわかった。唐仁原さんも、一年先が埋まっているという方なのだが、僕のエッセイに25点、全部書き下ろしで絵を描いてくださったのである。
写真は、雑誌「ソトコト」で、ほぼ毎月一緒になる阿部雄介さん。
阿部さんと一度徳之島でロケをしたことがあり、そのときの写真が豊富にあったので、それを巻頭に使わせてもらうことになった。阿部さんは農大出身という異色のカメラマン。仕事が速くて丁寧、しかも腰が低い。写真が美しく、いきいきしている。とくに自然や植物、動物など造詣が深い。その思いが写真に出る。雰囲気がとてもいいのだ。信頼できるカメラマンなのである。
こういったメンバーでできあがった本は、僕のなかでも、完成度の高い、素敵で美しい本となった。なにより島の人や、島出身の都会暮らしの人たちに「こんなに美しく島を表現してもらって嬉し
い」と何人もの人に褒めてもらったことが最高の喜びとなった。また若山さんと唐仁原さんには、「文章を読んで、そこにあった思いに共感ができたから参加したんですよ」と、言われたときは、本を書いてよかったとつくづく思ったものだ。
■掲示板
★ライターズ・ネットワーク・シンポジウムのお知らせ★
ライターズ・ネットワーク主催の恒例のシンポジウム / 大賞授賞式を、
本年9月 25日(日曜) 午後1時 から開催いたします。おでかけください。(金丸弘美)
今年のテー マは、
「出版不況時代、ライターはこれからどういう道を選択すべきか
―生き残るために必要な情報発信の方法を考える」。
【パネラー】
●芳原世幸(よしはら・としゆき)さん メディアファクトリー社長。
同社は、「書籍のマルチメディア化」を推進しており、旧来の書籍の概念を変えようとしている。また、コンテンツの発表方法に新たな 提案を持つ個性的な版元。雑誌『ダ・ヴィンチ』を発行、さらに同誌の WEB版も公開している。
●安藤哲也(あんどう・てつや)さん
おなじみ、元・往来堂書店店長。その後、bk1、NTT ドコモが運営する電子ブックの販売サイトの店長を経て、現在「楽天ブックス」店長。
書籍流通のプロでありまた、電子媒体の販売や活用についても深い造詣がある。著書に『本屋はサイコー』(2001年、新潮OH!文庫)など。
●百世瑛衣乎(ももせ・えいこ)さん
ブログに関する著書『超カンタン ! 最強メディア ブログ成功バイブル』(翔泳社 )を上梓。“ブログの伝道師”として、多くのブログの事例に通暁。
【司会】
●藤岡比左志(本会副代表・シンポジウム実行委員長)
ダイヤモンドビッグ社専務取締役。
【日 時】 2005年
9月 25日(日)午後 1時〜午後5時
【参加費】会員:3,000 円 非会員:5,000 円
【会 場】東京都庭園美術館 新館大ホール
(東京都港区白金台 5-21-9)
●JR山手線 / 東急目黒線 目黒駅(東口)より徒歩 7分
●都営地下鉄三田線・東京メトロ南北線 白金台駅(1 番出口)
より徒歩 6分
●バス停留所「白金台5丁目」より徒歩3分
URL:
http://www.teien-art-museum.ne.jp/
【お申し込み】
シンポジウム実行委員(広報担当):小口達也
E-mail : sonan@pop06.odn.ne.jp
*メール件名に「シンポ申込み」とご明記ください。
■ライターズ・ネットワーク 2005 シンポジウム実行委員会■
委員長:藤岡比左志(本会副代表 委員:小口達也 / 小股千佐 /
河原由香里 / 杉岡幸徳 / 中山良昭 / 六本木博之
アドバイザー:大勝文仁(本会代表) / 太田越知明 / 長 晃枝 (事務局長)
12:00 開場
12:00〜13:00 受け付け
13:00〜14:30 シンポジウム(90分間)
14:30〜14:50 休憩・会場整備(レイアウト変更)
■第2部
14:50〜17:00 大賞授賞式/懇親会
■ライターズ・ネットワーク大賞・特別賞
田島安江
詩の創作、詩誌の発行、地域の文化活動と日韓を結ぶ文化イベントのマネジメント。ライターズ・ネットワークでの知恵と情報と、地域の特性を存分に生かした多彩で意欲的な出版活動など。性差や年齢を軽々と超える、 福岡の「良かおなご」の諸活動に対して。
(W・ネットワークの運営に関しては、現行ホームページの作成者であるとともに、八面六臂の活躍が記憶に新しい、事務局長としての多大な貢献 があります)
■ライターズ・ネットワーク大賞
1、金丸弘美・『ゆらしぃ島のスローライフ』
常に現場にあり、“フットワークこそネットワーク”を行動原理にして多様な活 動を繰り広げ、その成果の積み重ねのうえに氏が確立した「食」の領域とその社会的評価に対して。また、その著作活動の頂点をなす本書に対して。
2、菊池道人・『周瑜』
学生時代にして文筆の道を選び、“書くこと、ひたすら書き続けること”を信念に、歴史物を中心とした地味なジャンルに腰を据え、営々と、そして着々と築きあげてきた独自な世界の達成に対して、また弛まぬその姿勢に対して。
3、久我勝利・『分類する技術が仕事を変える!』
古今東西・未来・SFを含む純正科学+不思議科学という特異なジャンルを専門領域にする氏にして初めて可能になった、知的分類手法の総集編的著作に対して。
凡百の類書とは明確な一線を画する仕上がりである。
ライターズ・ネットワーク大賞選考委員会
■好評発売中!!
『ゆらしぃ島のスローライフ』(学習研究社)金丸弘美著
編集・大西由美子 写真・阿部雄介 絵・唐仁原教久
デザイン・レスパース若山嘉代子
本の購入はアマゾンから。
http://www.amazon.co.jp/
・第10回ライターズネットワーク大賞受賞
・大賞授賞式およびシンポジウム 9月25日(日)12:00〜
・申込/ライターズネットワーク
http://www.writers-net.com/
●毎週「毎日新聞」デジタルメディアにて食のエッセイ連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
●金丸弘美正式ホームページ
http://210.255.173.147/tml/kanamaru/kanamaru10.html
・日本ペンクラブ
http://www.japanpen.or.jp/
・ニッポン東京スローフード協会
http://www.nt-slowfood.org/