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  旅日記 no.066
「30種類の各地の牧場のヨーグルトを食べる」
2005年11月16日
こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「30種類の各地の牧場のヨーグルトを食べる」お話

 前に、ヨーグルトの本を作ろうと思っていたが、途中で、一時、保留になってしまった、ということを書いた。ところが、先般、雄鶏社の武内千衣子さんから、突然、電話があって、ぜひ発売をしたいということになって、急遽、出版が決定。復活することとなったのである。出版は2006年1月となり、あわただしく打
ち合わせが始まった。

雄鶏社は、編み物や料理といった実用書では有名な出版社。来年は創立60年になる。初期の頃は、総合出版でミステリーや文芸書、映画雑誌も出していた。その当時の映画雑誌の編集者が向田邦子さんだったことは、よく知られている。その後、編み物と料理の専門出版となり、現在も多くの出版物が出ている。

ヨーグルトを牧場側から作ろう、そんな本をと思い立って、茶色いジャージー種を飼育する八王子の磯沼正徳さんの磯沼ミルクファームの牧場に半年も通ったのは、おととしのことだった。磯沼さんのヨーグルトはぴか一だからだ。ところが、牛の乳からヨーグルトを作るというのは、普遍的でないということで、いったん、棚上げになったのだ。

その後、僕は、イタリアにいったり、他の牧場にいったり、いろんな本を読んだりして、ヨーグルトや、牛のことも調べたりした。
そうして、今だからこそ、冷静にヨーグルトの本を出せるなあと思っていたときだっただけに、雄鶏社の企画の復活は、嬉しい限りである。

今回は、牧場よりだった視点をそうとうに変えて、料理と本物素材という観点から組みなおした構成になっている。これは僕も考えていたことだったので、まったく異論はない。料理は牧場主の磯沼さんのヨーグルトのチーズやカルピスなど、素材を生かした最上のヨーグルトのアレンジや、草月会館のレストラン「薔薇」の宮口シェフのヨーグルト料理がメインとなる。もちろん、僕の牧場レポートも登場する。担当の武内さんは、きちんとデザインを考える編集者だから、できあがりは、まったく心配していない。

さて巻末に入れたいと前から思っていたのが、各地のヨーグルトのこと。牧場単位であげるときりがないのだが、知り合いに呼びかけて、北海道から九州まで、20の生産地で30種類ほどのヨーグルトを推薦してもらい、それを編集部の毛利さん、渡邊さんと、半日がかりでティスティングをした。

驚くなかれ、全部味が違う。僕のベスト5は、北海道の「フローマジュ・ド・アドナイ」、新潟「ヤスダヨーグルト」、長野「清水牧場」、茨城「鈴木牧場のヨーグルト」、静岡「丹那乳業」、大分「ガンジーファーム(みどり高原牧場)」である。いずれも、すべてプレーンタイプ。

ヨーグルトは、どこも加糖やぶどう糖、砂糖を入れたものが多いのだが、これだと、甘みが強く出て、本来の味わいがよくわからない。それにすぐあきてしまう。プレーンで食べると、そのミルクのよさが、すごく引き立ってきて、うまみがよくわかるしあきない。それにいろんなものを足して応用範囲も広くなるのだ。

北海道の「フローマジュ・ド・アドナイ」は、チーズの専門家の方が作ったものだ。濃厚で、とろりとした感じで、まるでカマンベールチーズのような味わい。酸味もあって、肉料理には最適かもしれない。これは全員でティスティングしたなかでもベストだったもの。

新潟「ヤスダヨーグルト」。クリームっぽくて爽やか。ほどよい酸味がある。新潟では有名なヨーグルト。このさわやかさは、牛の飲む水のせいかもしれない。近所のスーパーでも売っている。
残念ながら、近所ではプレーンがなくなって加糖されたものになった。断然、プレーンがおいしい。

長野「清水牧場」。もっとも有名なジャージー種の牛を飼う牧場。とろりとして、ノンホモ。こってりしたクリーム層ができる。そのまま食べて、口にころがすと、ミルクの甘さが、じんわり広がってくる贅沢なヨーグルトである。

茨城「鈴木牧場のヨーグルト」。さわやかで、癖がない。まるで、牧場のすがすがしさを、感じさせるような味わい。

静岡「丹那乳業」。きわめてフレッシュ。なんにでもあうという感じだ。

大分「ガンジーファーム(みどり高原牧場)」。大分県の竹田市の久住高原にある。環境は最上のところだ。ここは、ガンジー種という、小型の牛を飼っている。日本でも珍しい。爽やかな味わいで、みためは羽二重のような美しさをしている。

というわけで、各地で個性的なヨーグルトが出始めた。ちなみに、僕は、ここ何日かは、長野「清水牧場」のヨーグルトに、佐賀県知事ご推薦の貴重な佐賀県産の柿を入れて食べている。長男いわく「ヨーグルトに柿を入れて食べるのが、こんなに合うとは思わなかったな。」とのこと。もっとも、ヨーグルトも柿も厳選されたものだから、そんじょそこらのものとは違う。長男が唸ったのも、あたりまえなのだ。

■佐賀で「給食祭り」が開催されます。
・11月19日(土曜日) 9:00〜16:30
場所:アバンセ(佐賀市天神3−2−11)
電話:0952−26−0011
主催:佐賀県教育委員会・佐賀県学校栄養士会
対象:県内小中学校の児童生徒とその保護者および県民・学校関係者。当日は調理実技、展示、農産物の紹介、栄養相談などがあります。
・14:00から「食育」の講演とシンポジウムが開催されます。
・基調講演:「これからの食を考える」 講師:金丸弘美
・シンポジウム:「食育シンポジウム」
学校関係者、PTA、学校栄養教諭他。金丸も参加します。

問合せ:0952−25−7234 佐賀県教育庁保健課

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●毎週「毎日新聞」デジタルメディアにて食のエッセイ連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
●金丸弘美正式ホームページ
http://210.255.173.147/tml/kanamaru/kanamaru10.html
・ライターズネットワークhttp://www.writers-net.com/
・日本ペンクラブhttp://www.japanpen.or.jp/
・ニッポン東京スローフード協会http://www.nt-slowfood.org/