こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「映画『ホテル・ルワンダ』」のお話
アフリカのルワンダの大量虐殺のときに、高級ホテルに逃れた1,200名を救ったホテルマンのポール・ルセサバギナ氏を主人公とした映画『ホテル・ルワンダ』HOTEL RWANDAを観た。
この映画は2004年度作品。未公開だったものが、多くの署名運動で公開にこぎつけたものという。作品は、南アフリカ=イギリス=イタリアの合作である。
2004年度のアカデミー賞脚本賞、主演男優賞、助演女優賞にノミネートされ、多くの評価をうけながらも公開にいたらなかったのは、日本では知名度の高い人気のスターがでていないということもあったのかもしれない。気になっていた作品であったので、公開が決定したのはなによりである。力のある作品なので、おそらく大きな話題となるだろう。2006年1月に渋谷のユーロスペースで公開が予定されている。
1994年、アフリカのルワンダで起こった、当時の惨殺のことは、うっすらは知っていたものの、これほどひどかったのかと、胸が痛んだ。民族間が対立し、いわれなき差別とデマが流れて、100日で100万人が殺害されたという。あまりにも痛ましい。
資料を読むと、ルワンダは、ケニアとタンザニアに隣接するところ。
もともと多くの民族が住んでいたところだという。その民族のなかで、ツチ、フツと呼ばれる民族が大きな流れとなる。1860年にツチが王を誕生させ一大勢力となる。ところが王が亡くなり、ツチのリーダーたちは、ドイツに保護を求め、それによって支配を強めることとなる。
しかし、第一次世界大戦後、国際連盟は、ルワンダをベルギーに提供する。これはドイツが敗戦したことによるものだろう。そうしてベルギーは、ツチ、フツ、トウウとにわけ、ツチをヨーロッパ人に近いといういう理由で優遇し、他の民族に対して徹底的な人種差別政策を行うのである。
1950年代に国連の介入があって、民主政策が進められる。そのなかで、今度は、ベルギーは、一転、ツチ支持から、フツの反乱を支援するのである。1962年に選挙が行われ、ベルギーからルワンダは独立。フツの支配が始まる。フツに軍事クーデターで大統領が生まれる。軍事力で圧制と支配が行われる。
1990年、ルワンダから亡命していたツチを中心としたメンバーが、ルワンダ愛国戦線(RPF)を結成したことで、内戦が始まる。ところが、1994年大統領が暗殺され、フツの民兵が、あらゆる略奪と殺害を始めるのである。そうしてツチともくされる者は、見境なく殺される。殺害は3ヶ月の間続き、ルワンダ愛国戦線(RPF)が、首都を制圧するまで続く。
その1994年の惨殺の渦中に、ベルギー系の高級ホテルミル・コリン・ホテルの支配人であったポールと、その家族、ホテルに逃れてきた市の人々、そこでのできごとを、事実に基づいて、映画化されたのが、
『ホテル ルワンダ』である。ポール(ドン・チードル)は、フツでルワンダ生まれ。ホテルの支配人までなった。しかし、妻タチアナ(ソフィー・オコネドー)はツチ。ポールを頼りした知り合いが、次々に逃れてくる。また教会や修道院、国際赤十字に救いを求めた人たちなど1,200名もの人がホテルに非難をしてくるのである。
映画は、ホテルのポールに焦点が絞られているのだが、そこに、民族の対立の、まったくの理不尽さ。ホテル運営が、政府関係者や、警察、業者などと、賄賂でたくみに繋がっている構図。民兵たちに大量の中国からの武器が運び込まれていること。国連軍もホテルにくるが、少数で、その目的は、地元の救済よりは、ホテル滞在の白人が中心になっていることなど、まさに、僕らの世界の縮図のような風景がみえてくる。
ホテルが救済地になってかろうじて守られているのは、ベルギー系の高級ホテルであり、多くの白人の海外旅行の拠点になっているばかりでなく、政治家、軍人、商人など、取引の場にもなっているからである。
つまり、商売や政治の取引にも重要な地点というわけである。ポールは、賄賂や入手の難しい高級酒をつかうことで、なんとか、家族とホテルと逃れた人たちを守り抜く。
小さな国の対立の背後には、海外の列強の国々の思惑も大きく働いていて、これは、イラクの戦争となんら変わりがない。衝撃的な作品だが、しかし、力のあるメッセージをもった作品となった。ときどき、強い主張のある映画に行き当たる。そうして、僕らの政治を国を、自分自身の行動を、揺さぶる。
そんな作品は、2003年のアカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞受賞作品「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白」
(THE FOG OF WAR)(監督:エロール・モリス)。
2004 シカゴ国際映画祭審査員特別賞、2004 サンパウロ国際映画祭特別観客賞、2005 ロッテルダム国際映画祭観客賞、2005 ベルリン国際映画祭、平和映画賞など数々の賞を受賞。米軍によるイラク侵攻後にイラク・クル、ディスタンで現地の子どもたちを主人公に撮られた『亀も空を飛ぶ』
(監督・脚本・製作:バフマン・ゴバディ)。
それらの優れた作品とともに、『ホテル・ルワンダ』は、最近、もっとも衝撃的なものとなった。
http://www.hotelrwanda.jp/
■テレビ放映のご案内
「Ageing japan」(生島ヒロシ司会)という全国120局のケーブルテレビに僕のコーナーができて、現在、放映中です。
12月は、千葉・多古町での里山を歩き、農家11軒を解放して手作り料理を楽しむ「BRAブラしんのみ祭り」に出かけました。
:情報ワイド番組「Ageing japan」
(全国120局1,200万世帯のケーブルテレビ視聴者をつないだ番組です)
番組コーナー:「金丸弘美のス農(ノー)フードな旅」
日時:全国の主要ケーブルテレビ120局で、12月の原則土・日(週2回、月8回)
繰返し放送。詳細は
http://www.at-mie.tv/
なお、全国の食による地域の取り組みは以下でも紹介。↓
●毎週「毎日新聞」デジタルメディアにて食のエッセイ連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
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