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  旅日記 no.007
徳之島のコーヒーの物語。
2004年10月6日
こんにちは、金丸弘美です。
今回は徳之島のコーヒーの物語。

家族が3年前に奄美諸島徳之島に移ってから、僕の暮らしも出会いも大きく変化した。なかでも特筆に価するのが、徳之島でコーヒーを栽培してる吉玉誠一さんとのめぐり合いである。彼のことは僕のエッセイ「ゆらしぃ島のスローライフ」に登場しているのだが、すごいロマンチストで、コーヒーに夢を託している。

もっともコーヒーの樹木はたった140本。収穫できるのは、年間5kgくらい。それも初めて畑を観にいったときは、たった500gしかなかった。当然、これでは食べてはいけない。だけど、吉玉さんは、土建の仕事をしながら、なんと20年もコーヒーを育ててきた。すごい夢見人。そして笑顔がいい。一度会うと、みんなを魅了して、たちまち好きになってしまう。根が純粋な人だからだ。

うちの女房の提案で、島に呼んだ世界一周自転車旅行の坂本達さんのイベントがきっかけで、同行した義姉の大ぞの千恵子さんや仲間に記念の植樹をしてもらい、「コーヒーの木のオーナー制度を作ろう」という話になった。そうして、これを東京の30年来の知人藤原ゆきえさんに話したら、小さな珈琲店をしている「カヲリの木」の狩野知代さんを紹介され、徳之島のコーヒーのオーナーを募集してくれることになった。

このオーナーがとんでもないもので、一本5000円。育つのに5年かかり、毎年管理費を3000円いただく。2万円のコーヒー。
できるのは500gくらい。しかも島まで摘みにきてもらうというものなのだ。ところが、狩野さんが、メンバーをインターネットで呼びかけたら定員20名でなんと一週間でたちまち30名が集まった。そうして東京で、徳之島のコーヒーを飲む会も行われ僕も出席したのだが、結構若い人が多かったのには驚き。その一人、東京農大の女学生に尋ねたら「私が大学に入って卒業するのと、木が育つのが同じ年月がかかる。そのコーヒーの木の生長と私と吉玉さんの夢をを重ねてみたいと思ったんです」という。

昨年、UCCの上島達司社長、関東支社長の辻本誠さんに話したら、コーヒーの専門家の長沢勝さんという方を派遣してくださり、畑やコーヒーの診断をしてくださった。なんと吉玉さんのコーヒーはどうやら30年前ほどブラジルから伝わったもので、現地でも今では作られなくなった珍しい品種なのだそうだ。
「貴重だからぜひ作り続けてください」ともいわれ、ますますもりあがった。

僕は常々、生産の現場に行って「物を売るな、物語を売れ」と言っているのだが、徳之島のコーヒーで、ほんとに物語が売れることを実感した。実は、「カヲリの木」のHPでは、吉玉さん自身の物語や、僕が撮った写真や、狩野さんの徳之島体験などを掲載したのだ。
 そしてオーナーの一人になったライターの斉藤政喜さんは、なんと奄美までコーヒーを飲みに行き雑誌「DIME」(小学館)で、その素敵な出会いを書いてくれ、単行本にまで収録してくれた。

こうしていくつかのマスコミに取り上げてもらったのだが、「島のツアーができませんか?」という朝日カルチャーセンターの申し出でまで生まれ、徳之島のコーヒーを始め、島の農産物でもてなすツアーが今年6月に実現し、これが大成功。コーヒーのオーナーになってくれた若い20代男性、近藤君、富田君もきてくれた。このツアーは来年から定例化することとなった。

また島では吉玉さんを中心とした農産家の集まり「太陽と島土の会」、ツアーをもてなす「島の名人会」も結成。農産物とグリーンツーリズムを、これから本格的に売り出すことになった。


■徳之島関連のコーヒーのこと

・「カヲリの木」のホームページ
 http://www.kaorinoki.com/coffeestory.htm
・「島の名人会」徳之島ツアーライブ報告
 http://www3.synapse.ne.jp/mcmaru/yurashii02.htm
 
・「シェルパ斉藤の週末ニッポン再発見 スローな旅で行こう」
 斉藤政喜著 イラスト・中村みつを(小学館)
 1200円 ISBN4−09−3666068−9

・『ゆらしぃ島のスローライフ』(学習研究社)
 金丸弘美著 イラスト:唐人原教人 写真:阿部雄介
 1300円 ISBNコード ISBN4-05-402312-6 C0036

・本は宅配のブックサービスからも購入できます。
 電話03ー3817−0711 FAX03−3818−5969
(代金引換・送料210円)http://market.bookservice.co.jp/
 
■〜スローライフな旅シリーズ・第2弾〜
 会津若松の酒蔵と食の旅
 同行講師: 食環境ジャーナリスト 金丸弘美氏
 訪 問 先: 福島県会津若松市

厳選された完全無農薬な“米”と150年枯れることなく沸きつづける“地下水”から作り出される美味しい“酒”を作り続ける末廣酒造の“嘉永蔵”を見学し、その完全無農薬の米作りをしている農家を訪ねます。
参加者の方全員に末廣酒造の日本酒“大自然”のお土産付き
□日程:平成16年11月19日(金) 〜11月20日(土) 
 1泊2日*JR会津若松駅集合・解散
□旅行代金:(お一人様)49,000円
(ACC・ニッポン東京スローフード協会会員)  51,000円(一 般)
□募集人員:20名様(最少催行人員15名様) 

■旅行に関するお問い合わせ・お申込み先
 日本通運(株)首都圏旅行支店
 〒105-8322 東京都港区東新橋1-9-3日通本社ビル18階
 電話:03−6251−6356
  FAX:03−6251−6366
   担当:蔦谷(ツタタニ)・朝岡

・企  画: 朝日カルチャーセンター
・協  力: ニッポン東京スローフード協会
・旅行主催:日本通運(株)首都圏旅行支店

■始めよう、東京のスローフード2004 参加者募集中!
 http://www.tokyo-slowfood.com/
 上記アドレスからお申込みください。