こんにちは、金丸弘美です。
今日は「飛騨高山の農家を訪ねる」のお話
時事通信社の内外情勢調査会という全国組織がある。行政関係と地域の有力者向けのセミナーが毎月行われている。時事通信社は全国の行政の動向や政府の動き、人事などの情報を新聞、出版、インターネットで配信をしている。
内外情勢調査会で、ありがたいことに毎月各地に講演に呼ばれている。このところ、水戸、桐生、飛騨高山とめぐった。飛騨高山は何度か出かけているが、今回は少し早めに出て、役場の方に、農家を2軒案内してもらった。
その一つが畜産を中心とした農家。飛騨牛の子牛を育てている。ほかにほうれん草とシイタケを栽培している。地元では規模は大きい方で意欲的な農家である。そこで、ちょっと気になることを尋ねてみた。それは、今、アメリカやブラジルではトウモロコシのエタノールへの転換で、飼料が高騰している。また原油価格もあがっているが、それらの影響はないかということだ。
というのも、僕の地元の唐津のハウス栽培のミカンでは、原油価格の高騰からハウス資材や重油の価格があがり、採算があわない農家も増えていると聞いたからだ。餌代はトン当たり8000円から1万円上がっているという。現在は、飼料の定価安定のために積み立てた基金でトウモロコシや大豆やふすまなどの濃厚飼料のみ補填しているために、なんとかなっているという。
ただ牛の場合、1kの肉を得るために、7kgの飼料が必要となる。しかも、餌の自給は2割程度。あと8割は輸入なわけで、この先安定するという保証はない。この農家は、ハウスでほうれん草を栽培もしている。ハウスは1棟で10アールあたり70万円ほどだったのが、ここ3年で2割から3割値上がりし、1棟あたり90万円に高騰したという。
私たちは、新聞でアメリカやブラジルでの海外のエタノールの記事や、オーストラリアのトウモロコシの不作などを、なにげなく見ている。最近では、間接的影響で、メーカー各社が、マヨネーズや小麦などの価格を上げることとなり、会計に響くなどという報道が盛んにされているが、実は、身近な足元の農業と食料の現場では、もろに、しかもかなりの額で高騰をしているのがわかる。
農家の方の話では、いかに牛から肉を量的に効率的にとるかということで、牛の価格の評価も、最近、判断基準に大きさも入るようになってきたという。しかし、いくつかの矛盾を抱えてもいる。大きくするには餌や管理も難しく、また病気の問題も出てくる。
牛を増やすと餌代も高額になってくる。さらに糞尿処理が問題となる。なにせ、牛は1頭で一日30kgもの糞をする。糞を放置すると公害になってしまう。糞尿の処理のための堆肥工場の設置と、それを還元するシステムが大掛かりに必要となるのである。
もう一軒の農家は、トマトのハウス栽培の農家であった。こちらも意欲的な農家である。1棟のハウスが年間100万円にもなる。これは米作りより10倍という値段。今、国では、集落ごとに集まって、村落でまとまって農業をするように指導をしている。また横断品目といって自給率の低い大豆や小麦栽培をすると補助金が出るということになっているが、この政策にのる人は皆無のようである。なぜなら今土地にあった作物を作るほうがはるかに収益が高い。それよりも、今、なんとか地域が元気なうちに、土地に見合った、新しい活性化の手立てがほしいというのが本音であった。当然のことだろう。ここでは飛騨の小さな枝に餅をつけた飾りをお土産に開発して販売を始めたという。
いずれにせよ、農業生産だけでなく、加工や販売や、それをうまく加工から、サービスにつなげる手立て。あるいは、付加価値の高い地域が継続的に経済性をともなって、活動ができる形を、みんなが模索をしているというのが、はっきりとわかった。
■ラジオに出演します。
●「木村政雄の楽園天国」文化放送 AM1134KHz
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・6月18日(月曜日) 夜 20:00〜20:30
・6月25日(月曜日) 夜 20:00〜20:30
徳之島に家族が移住した話、食への関心から食育やスローフードの活動に関わった理由、私たちの食生活、大分県の食育アドバイザーになったことなどを2週にわたってお話します。
●「生島ヒロシのお早う一直線」TBSラジオ 954KHz
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・6月19日(火曜日)早朝5:45〜5:55
食育についてお話します。ゲストは山本益博さんです。
●「澤木久雄のとれたてラジオ」SBS静岡放送
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・6月20日(水曜日)早朝6:30〜9:00
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