こんにちは。金丸弘美です。
先日「みやぎ生協」に呼ばれて仙台国際センターの講演に出かけた。
会場にはなんと、生産者や消費者1200名が集まり超満員。テーマは「地産地消費とスローフード」である。最近、もっとも多い講演タイトルなのだが、ここ3年イタリアのスローフード協会本部や、イベントに出かけたときのスライドを使い、スローフードの活動をできるだけ具体的に話すようにしている。
スローフードがNPOの団体名であり、その団体が地域経済システムを築く活動をしていること。出版、イベント、会費収入でまかなわれていることなどを話すと、初めて知ったという人が少なくない。よく雑誌で「スローフードは地産地消です」という言葉をみかけるが、イコールではない。日本で行われ、あるいは言われている「地産地消」「食育」「グリーンツーリズム」「地域活性化」「農家民宿」「ブランド化」などの総合プロデュサー的な役割を行うNPOであり、それがスローフードである。
つまり日本ではいえば、電通、博報堂のようなことをNPOが行っているというのが、いちばんわかりやすいだろう。ただし、テーマはあくまで、地域の基本食材であり、食文化なのである。
この頃求められる話は、スローフード運動のイタリアにおける生産や消費者の現場の具体的活動、なによりも、では日本では、どんな生産の現場で、地域経済構築の運動があるのか、ということである。いちばん具体的な例として、農業が、加工、販売、レストラン、サービス、営業、そうして地域教育のファームにまで乗り出している、福岡のグラノ21「ぶどうの樹」、茨城の「ポケットファームどきどき」、三重の「モクモク手づくりファーム」を紹介している。スローフードの肝心なことは、地域農業と食文化に根ざしながら、いかに地域の永続的基盤を築く活動であるか、ということである。
講演でもっとも爆笑と反響が大きかったのが、今年6月に、僕が行なった徳之島へのグルメツーリズム。農家と作り上げたメニューで、地域の自然と食と農家を結んだイベント。これは農作業見学と野菜を使った郷土料理などで、ツーリズムとしてお金を取ったという発想に農家の人がびっくりしたのだ。
それとご飯を炊き比べ、味わいを知ってオニギリを作るという伊東市の「きてきて先生プロジェクト」で、僕が6年生に授業をしたときのビデオ紹介。
ごはんを炊くという単純明快な授業で、生徒たちが、すごい感性と豊富な言葉で、「ごはん」を表現する姿を見て、みんながびっくり。農家の人の「こんな身近なことから、ほんとは我々自身がやっていかないといけないんですね。
とても元気をもらいました」という声は、とても嬉しかった。
翌日、久しぶりに東北福祉大学に出かけ、地域の食材を使ったレストラン「風土」に出向く。ここは大学教育の食育の実践の場としてのレストランとして位置づけられていて、とても健康的で、しかも素材がすべて地域農産物と明確にしてあるうえに、すごく美味しい。
ここのプランナーでもある教授の畠山英子先生と久しぶりに再会し、先生の「食育」の授業も見学。あらためて授業とレストランのコンセプトが密接に結びついていることを確認して、うれしく、しかも具体的な活動に拍手。あとで、レストランで畠山先生と食事をしながら、ゆっくり話を交わし、しばし楽しいひとときを過ごしたのだった。
■新年の唐津で、最近全国で盛んになってきた直売所(ファーマーズマーケット)の方々と消費者が出会う交流と講演会に参加することになりました。
ここで最近のイタリアのスローフードの事情や、新しい国内の取り組みなどを話したいと思います。ぜひご参加ください。
◎唐津・東松浦地区農産物直売所ネットワーク交流会
テーマ:はじめましょうスローフード
農家に学ぶほんものの味
講師:金丸弘美
日時:1月7日 金曜日 13:30〜16:30
場所:唐津総合庁舎 大会議室
入場料:無料
対象:唐津・東松浦管内の農産物直売所・加工所メンバー、食と農に
関心ある消費者、関係機関、団体
問合せ:東松浦郡農業改良普及センター
経営係:松村ますみ、横山比呂美
電話:0955−73−1121
■『ゆらしぃ島のスローライフ 奄美に訪ねる長寿の食』の第2弾が決定!!
2005年2月10日から13日まで。3泊4日。
・お問い合わせは、朝日カルチャーセンター03-3344-2041(事業部)へ。
http://www.acc-web.co.jp/sinjyuku/0501koza/G0201.html