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  旅日記 no.161
「大分の食育事業」
2007年10月25日
こんにちわ。金丸です。
今日は「大分の食育事業」についてです。

大分県の食育事業で、今年は豊後大野市と玖珠町に行っている。どちらも景観がいいところがたくさんあって、素敵なところだ。景観と食と文化がうまく結びついてくれば、最高の観光地になるだろうし、また食のブランドも容易だろうというものが潤沢にある。

「食育」事業をやってみてわかったことは、担当部署がどこかで、内容がかなりことなる。竹田市は、最初から観光事業をめざすということだったので、食をテーマに、料理や特産品をどう見せて、売るかということで一年間かかわった。佐伯市は、企画課が担当だったので、町のイベントが中心となった。

現在通っている玖珠町は保健課が担当。食と健康というテーマがはっきりしているので、逆にやりやすい。栄養士さんもいるし、食改善グループのお母さんも手伝ってもらえる。小さい会の積み重ねだが、とても素晴らしい。

9月は、地域の年配の方に身近な取り巻く食糧問題を話し、妊娠中、もしくは乳幼児を持つお母さんにためには、料理教室を開いてもらい、小さいときの食の大切さを話した。いずれも具体的に、身近なところで話をし、料理も作ることができたことで好評だった。なにより、引っ越してきて、身近に仲間のいない若いお母さんにとっては、同年代の知り合いができたことが、いちばんよかったようだ。

先般は、玖珠町立森中小学校で、塩とおにぎりの授業を5年生を対象に行った。担当の先生がとても面白がってくれたのがなにより。まず児童に、事前に授業の内容を話してもらい、お米についての児童に質問を出してもらった。それに対して資料を送り、当日にそなえてもらった。

塩の5タイプと、炊きたての4種類のご飯をティスティングをして、おにぎりを作るというものだ。塩の違いで、料理が変わるということで「とても面白い」と言ってくださったのは、担当の後藤奈緒子先生。先生がのってくれているので、とてもやりやすい授業となった。ご飯を選ぶことになって、児童がいちばん手をあげたのが、見事地元のお米の2種類。みんな舌は敏感。いいお米を毎日食べていることがわかる。

豊後大野市は、今回、大野ルンビニー保育園での、お母さん向けの授業で、子どもの肥満や、アトピーなど、食生活の偏りからくる、生活習慣病の話をした。質疑がとても多くて、熱心で、いい会になった。この後、時間があったので、園長の大原瑞雲さんと、副園長の大原聖子さんと話した。身近な話がとてもよかったとのこと。「この次には、参加型のワークショップはいかがですか?」と言うと、「ぜひやってみたい」とのこと。

この後、木造が素敵な直売所の「清川ふるさと物産館」を訪ね、ようやく代表の三浦俊荘さんと会う。なぜか、これまで行くと、必ず東京で、完全な入れ違いになっていた。大柄の三浦さんに会うと「覚えてますか? 金丸さんとは東京で会ってます」とのこと。なんと、直売所研究会の旗揚げの会合ですでに面識があった。

直売所の参加農家は227名。常時出荷は150名。売り上げは全体で3億円。もっとも平均年齢は73歳で、10年後が心配という。出荷者で(年金プラス150万円)という人はたくさんいるそうで、田舎暮らしとしては、恵まれているといえるだろう。今後をどうするかということで、僕が提案したのは、食材を高付加価値にもっていくための具体的なメニュー化である。これにプロの料理家も参加するワークショップ。

三浦さんは「ぜひやりたい」とのこと。しかし、急にはできないので、とりあえず、全国の事例で、地域で参考になるものを、来月、参加農家を集めて話をすることとした。豊後大野市の担当は企画課の河室 晃明さん。彼は、役場では異色の存在。新しい提案を、面白がってくれて、すべて形にしてしまう。

前回は、漆喰で土壁の民族館を開放し、地元の鷹来屋酒造の杜氏・浜嶋弘文さんを招いて、和食とのコラボレーションを実現した。その翌日は、茶園とお茶の試験場を開放して、手づくりの紅茶、緑茶の飲み方の、ワークショップ形式で開いた。かなりのレベルの高い取り組みで、こんな形が、イベントの中心になると、今後、間違いなく、外部のお客も呼べるし、商品も売りやすくなるだろう。

■映画公開
食の現場のドキュメンタリー「いのちの食べ方」の映画がまもなく公開されます。この作品は、私たちの食がどこからくるのかを、描いたものです。http://www.espace-sarou.co.jp/inochi/

2007年11月10日より、渋谷シアターイメージフォーラム他で公開

なお「いのちの食べかた」は、雑誌「ビッグイシュー日本」で紹介しました。掲載号は、82号で11月1日発売です。久々の映画評です。
「ビッグイシュー日本」は街頭で販売される雑誌です。
イギリスから始まったもので、ホームレス支援のものです。
http://www.bigissue.jp/定価の300円のうち、160円がホームレスの方にわたります。

「いのちの食べかた」OUR DAILY BREAD
(92分 ドイツ・オーストラリア 35mm カラー)
監督・撮影:ニコラウス・ゲイハルター

追記:
「クロワッサン」にてエッセイ「なんだかんだの、病気自慢」を書きました。12月10日号です。
http://croissant.magazine.co.jp/


金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎メールマガジンhttp://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/9697.html
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■最新刊のご案内。絶賛発売中!
『創造的な食育ワークショップ』金丸弘美著(岩波書店)。
定価1800円。表紙:峰岸達

「日本経済新聞」「朝日新聞」「毎日新聞」で全国版で広告掲載。
「TBSラジオ 生島ヒロシのお早う一直線」「静岡放送 愉快、痛快、阿藤快」「ソトコト」「日本農業新聞」「西日本新聞」「大分合同新聞」「佐賀新聞」「読売新聞(九州版)」「毎日新聞(佐賀版)」「ガスエネルギー新聞」「日本食糧新聞」「産経新聞」「学校給食」「グルメジャーナル」「専門料理」などで紹介されています。

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保育園から大学、地域作りとして実際に行った「味覚のワークショップ」の計画立案から具体的な進行の仕方、食材のテキストやワークシートの作り方、目的別の事例を紹介します。

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