こんにちわ。金丸です。
今日は「竹田市からの便り」です。
大分県竹田市から嬉しい連絡があった。サフランの農家でのパエリアのワークショップが、観光事業として行われ、大変評判がよかったということだった。竹田市はサフラン栽培で100年の歴史がある。現在、70軒の農家が栽培をしている。サフランは、クロッカス科の球根で、薄紫の美しい花が咲く。この雌しべを乾燥してサフランとして販売される。球根が30個で、やっと1g。値段は竹田市で1g1000円する。東京だと0・5g1000円。
竹田市は大分県の食育事業で1一年間通った。景観も素晴らしい。いい人が多い。サフランは明治期に持ち込まれ、鎮静剤として薬用として使われている。サフラン栽培は独特で、農家の専用の家屋で、棚に箱に入れて並べられ、花を咲かせる。これは湿気を避けるために竹田独自に生まれた栽培法だ。サフランは薬用として大阪の薬会社に販売されてきた。しかし、最近は、海外からの輸入も多くなっている。また農家も高齢化し始めている。
そんななかで、サフランをなんとかしたいという話から、昨年、サフランの農家を解放してのパエリアのワークショップを行ったのである。山口県のソル・ポニエンテのシェフ湯城明彦さんが料理をしてくれたことから、素晴らしいワークショップとなった。しかも竹田サフラン100年の歴史のなかで、初めての農家でのパエリアだったのだ。
サフラン栽培をしている渡辺親雄さんの家にうかがったとき、その周辺の情景が素晴らしかった。お堂や田んぼ、棚田が昔のままに残っていた。これをそのまま生かせば、素晴らしい。そこで、情景を使ってのパエリアの料理会にしたのである。そのときに、棄てられていた花びらを、水鉢に浮かべるという生け花もした。
このパフォーマンスの手法は、保健課の堀田貴子さん、読売新聞社の堀込千恵さん、直売所の店長平田泰浩君、商工観光課の工藤隆浩君、農林畜産課の前原文之さんなどに受け継がれ、チームができあがり、地域でのイベントで、その後も盛んに行われるようになった。そして、サフランの花が咲く今年の11月に、別府温泉のツアーに組み込まれ、農家を使ったワークショップが観光事業として実施されたのである。
堀田さんからの電話で「とてもよかったですよ。雌しべから摘むということからやって、パエリアをつくり、その後、直売所にもよってもらってサフランも売れたんですよ」とのことだった。
竹田のワークショップがきっかで、さまざまな以後の活動が生まれた。その一つがテキストの作成である。サフランの研究をしていた前原さんに頼んで、サフランの歴史、栽培法までの具体的なテキストを作ってもらった。
かなりグレードの高いもので、サフランのことがよく理解できるようになっている。これがベースとなって、この後の、佐伯市、豊後大野、玖珠町、平戸市、唐津市のワークショップのモデルとなった。
食材からわからないと食育もブランドつくりも料理もできない。食品の安全もわからない。いま偽装問題が、あちこち取り沙汰されているけれど、そもそも、使われている素材そのものがなにか、ということ自体がわかっていない人がほとんどだろう。地域で行う観光事業や町作り、特産品を作るとき、素材がなにかということを明確にしておかなければならない。そのためにも素材を知るテキストと味覚を知るワークショップはかかせない。
それと肝心なことは、どんな料理になるのかという組み合わせである。これはやはりプロの料理家たちのコラボレーションがかかせない。その意味で、竹田市のワークショップは、とてもいい形でのスタートを切ることができたのである。今後の展開が楽しみである。
■インフォメーション
ドキュメンタリー「いのちの食べかた」を、雑誌「ビッグイシュー日本」で紹介。掲載号は、82号で11月1日発売です。
「ビッグイシュー日本」は街頭で販売される雑誌です。
イギリスから始まったもので、ホームレス支援のものです。
http://www.bigissue.jp/定価の300円のうち、160円がホームレスの方にわたります。
映画は地方では公開してませんが、ホームページがよくできています。これだけで、現在の食の現状が、よくわかる絵本になっています。食の安全がいわれる毎日ですが、私たちの食がどこからやってくるのかを知るには最適です。ぜひ観てください。
http://www.espace-sarou.co.jp/inochi/
2007年11月10日より、渋谷シアターイメージフォーラム他で公開
「いのちの食べかた」OUR DAILY BREAD
(92分 ドイツ・オーストラリア 35mm カラー)
監督・撮影:ニコラウス・ゲイハルター
追記:
「クロワッサン」にてエッセイ「なんだかんだの、病気自慢」を書きました。12月10日号です。
http://croissant.magazine.co.jp/
。
金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎メールマガジン
http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/9697.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■最新刊のご案内。絶賛発売中!
『創造的な食育ワークショップ』金丸弘美著(岩波書店)。
定価1800円。表紙:峰岸達
「日本経済新聞」「朝日新聞」「毎日新聞」で全国版で広告掲載。
「TBSラジオ 生島ヒロシのお早う一直線」「静岡放送 愉快、痛快、阿藤快」「ソトコト」「日本農業新聞」「西日本新聞」「大分合同新聞」「佐賀新聞」「読売新聞(九州版)」「毎日新聞(佐賀版)」「ガスエネルギー新聞」「日本食糧新聞」「産経新聞」「学校給食」「グルメジャーナル」「専門料理」「社会新報」などで紹介されています。
アマゾン「食育関係図書」おすすめベスト10の第1位。
本の購入はアマゾンから
http://www.amazon.co.jp/もできます。
保育園から大学、地域作りとして実際に行った「味覚のワークショップ」の計画立案から具体的な進行の仕方、食材のテキストやワークシートの作り方、目的別の事例を紹介します。
◎日本ペンクラブ
http://www.japanpen.or.jp/
◎ホームページ
http://www.jgoose.jp/kanamaru/
◎ライターズネットワーク
http://www.writers-net.com/
◎関東ツーリズム大学
http://tourism-univ.net/