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  旅日記 no.035
「地域再生は現場から始まる」
2005年4月13日
こんにちは。金丸弘美です。
今回は「地域再生は現場から始まる」について

宮城県仙台市での講演そして伊豆沼、田尻町での「日本雁を守る会」の呉地正行(くれち・まさゆき)さんや田尻高校の岩淵成紀(いわぶち・しげき)さんたちの田んぼの生き物調査の研修会を取材させてもらって東京に戻り、4月11日に東商ホールで行われた「財団法人地域活性化センター」主催の「地域活性化フォーラム」のパネラーとして参加させてもらった。

テーマは「地域再生のすすめ 地域の特性を活かしたまちづくり振興策」である。このシンポのパネラーに強く押してくださったのは立教大学経済学部教授の山口義行先生である。山口先生の授業は非常に親しみやすく具体的で分かりやすいと評判で、大学でもいつも講義は満員。実際に何度か講演を拝聴したのだが話のテンポがよく、アクティブでポジティブ。魅力的で一度会えば魅せられるというのがよく理解できる。

先生の『地域再生は現場から始まる』(中公新書)では各地の中小企業や地銀などの具体的活性化が紹介されている。これを読めば閉鎖し低迷しているという地域が、じつはやり方次第で活性化している事例がいくつもあることを教えてくれる。

山口先生は僕らの出番がある開演のなんと4時間前に集合をかけて、事前にどんな参加者であるか、それぞれの地域で取り組んでいることについて具体的に話をさせそこから構成をだし、かつその上で予定調和にならないようにということで参加者のみんなのポイントを把握して進行するという仕込みであった。この段取りの建て方はとても勉強になった。というのもたいていはそこまで配慮することは意外とないのである。

会議で紹介していただいたのはまずは内閣官房地域再生推進室・構造改革区推進室副室長の御園慎一郎(みその・しんいちろう)さん。
御園さんは特区を推進している人である。例えば、農家で泊まれるようにする「農家民宿」とか、自前の酒作りの「どぶろく」特区などである。これまで法的にできなかったことを認める制度を作った部署だ。また、市町村合併で余った学校や公共施設などを民間で使うことができることを認めることができるように法改正を推進したところでもある。

ここで質問した。「家族が住む徳之島でも人口が激減し、高校が統合され農業高校が廃校になる。そこで民間組織で高校にある加工施設を使って農産物の加工をしたいのですが、これはどうなのですか?」。すると御園さんは「民間で使えるように法を改正したのです。それは使えます。すでに実行している例があります」との答えだった。民間できちんとした団体を作り政策を具体化すればこれまでの公的な施設も使えるように対応をしてもらえるということが分かったことは大きな収穫であった。

次に紹介されたのが、社団法人日本旅行協会国内旅行振興策提言部会委員で近畿日本ツーリストの津上俊治(つがみ・としはる)さんである。津上さんは修学旅行のセールスを長く担当していたという。
現在、国土交通省と社団法人日本ウオーキング協会が選んだ「美しい日本の『歩きたくなる道』500選』というのがあり、そこから具体的な歩きたくなる観光の道を募集しているのだという。なかでも僕の出世地唐津ではとてもいいプランが出ているということであった。しかも津上さんは佐賀市出身で「ぜひ佐賀を盛り立てましょう」と言ってくださりとても嬉しかった。

最後に紹介されたのが、奈良のタウン誌の会社の代表で「NPO法人なら燈花会」の前会長・観光カリスマ(国土交通省が名前をつけた地域で成果をあげた人につけている)である朝廣佳子(あさひろ・よしこ)さんである。朝廣さんは奈良の町、参道、神社仏閣などに蝋燭でライトアップを行って観光につなげた仕掛け人である。8月6日から11日まで商店街の人々が協力して蝋燭を毎日夜燈す。
これは1999年から始まったそうなのだが最初は決して周りは協力的ではなかったが、理解ある賛同者の協力で徐々に広がりいまでは、ボランティアスタッフ140名、協力者2600名参加という。
そうして観光客は、なんと70万人動員という。

燈花会の催しの直接効果は15億円、間接効果は19億円と経済試算もされているという。これにかかる費用は4300万円。1600万円が奈良県の補助。1100万円が商店街。残りがNPOでのグッズ販売での収入でまかなっているという。それにしても女性を中心に蝋燭で新しい町おこしをしてしまったのだから素晴らしい。

僕も各地の事例、また自分が関わった徳之島の1200名の長寿調査や横浜のベーカリーと徳之島の黒糖、塩、山梨の農家の小麦と結んだ「幕末アンパン・プロジェクト」のことを話した。具体的な話が出たことで僕もとても勉強になったのだが、聴衆の方々からも評判が良かったときいて嬉しくなった。


■掲示板
◎4月12日から毎週「毎日新聞」デジタルメディアにて食を訪ねる連載を始めます。タイトルは「ゆらちもうれ」(奄美・徳之島の言葉で「ゆっくりしていきなさい」という意味)です。
 第一回目は、徳之島の黒糖と塩、山梨の小麦農家と横浜のパン屋さんをつなぐ「幕末アンパン」プロジェクトです。
以下はアドレスです。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
ぜひ観ていただけると幸いです。

◎4月27日(水曜日)講演開催 横浜市
『幕末あんぱん』とスローフードについて
講師:金丸弘美
・2005 年 4 月27 日(水) PM6:30〜PM8:30◇入場無料 ◇◇◇
【会 場】●神奈川区民文化センター「かなっくホール」
横浜市神奈川区東神奈川1-10-1  TEL(045)440-1211
【問合せ先】●幕末あんぱんプロジェクト実行委員会
TEL(045)431-1178(クシザワ内)

◎4月28日(木曜日) 東京池袋
カルチャーセンターの新講座が開講しました。
池袋コミュニティカレッジ
『「美味しさ」を楽しく追求 金丸弘美のスローフードの魅力』
【曜日・時間帯】 木(第4)   18:30〜20:00
【開講日】 4月28日〜 7月28日〜
【回数】 6ヵ月6回 3ヵ月3回
【受講料】 6ヵ月 18,900円 7月期 10,395円  
●お問い合わせは、03(5949)5487まで     
− 資料請求はこちら−
TEL:03-5949-5486(代表) FAX:03-5949-3747
ホームページ
http://college.e-doc.co.jp/ikepri/files/200504/homepage/public/hp/20050412889.html

■好評発売中!!
『ゆらしぃ島のスローライフ』(学習研究社)
金丸弘美著 絵・唐仁原教久
定価:1300円 四六版 176頁

・NHKラジオ『私の本棚』の連続朗読番組になったほか、新聞、雑誌、ラジオなど90媒体で紹介されました。本の購入はアマゾンから。http://www.amazon.co.jp/

●金丸弘美正式ホームページ
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