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スローライフ旅日記
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  旅日記 no.036
「コシノ・ヒロコ・コレクション ラ・ボエーム」
2005年4月20日
こんにちは。金丸弘美です。
今日は「コシノ・ヒロコ・コレクション ラ・ボエーム」のお話

 かつてファッション雑誌『ハイファッション』『装苑』『MR』『クロワッサン』『しんびよう』などに原稿を書いていたというと、たいていの人は「えっ!?。なんで」と不思議な顔をする。
実は僕がフリーランスになってせっせと寄稿していたのは、映画や演劇のエッセイだった。まっさきに雑誌にエッセイを書かせもらったプロデビューの仕事は、当時『MR』のちの『ハイファッション』の編集長であった故・秋元澄子さんからだった。

そのときのエッセイは70年代、東京にさまざまな新しい演劇が台頭した時代の蜷川幸雄の桜社や唐十郎の紅テント、つかこうへい事務所や渡辺えり子の300、佐藤B作の東京ヴォードヴィルショー、柄本明の東京乾電池などの話である。当時は演劇も映画も年間100本近くは観ていた。そんな話を書き始めたのがファッション誌だったから、秋元さんのおかげでずいぶんとファッション関係の人たちを紹介していただいた。それでいまだファッションショーの案内をいただくのが豊口武三さんとコシノ・ヒロコさんなのである。

コシノ・ヒロコさんのコレクションは毎回楽しみにしている。
スケジュールの調整がうまくかみ合わず、昨年はどうしてもいけなかったのだが、今回の「ラ・ボエーム」には行くことができた。
演出は毎回、案内状から始まっている。インビテーションカードのデザインが実によく考えられていて、カードそのものからコレクションのイメージを膨らませてくれる。

今回のカードは四角形の薄いベージュの封筒に入っていて、中からカードを取り出し開くと裏が赤い螺旋階段になったような案内状になっている。別に意味はないようだが、スカートにも見えるし、メビウスの輪にも見えるし、30年代のハリウッドミュージカルの舞台のようにも見える。じっとながめているとキューブリックの『2001年宇宙の旅』の宇宙船のようでもある。カード一枚が想像を膨らませてくれる。そして実際のコレクションも時空を駆け抜けていた。

ショーは東洋的な紅とグレーの色調のものから始まった。この色合いがなんともいえない。ゴージャスなのだが色彩はとても洗練されていて大陸の世界に溶け込んでいるかのよう。まるで『紅いコーリャン』『初恋のきた道』『HERO』などのチャン・イーモウ監督の映画世界のようだ。服のデザインのデフォルメが存分に抑えられファッション性が高いが、しかし機能性と見事に融合してすぐれてみえる。すぐにでも近くの女性に着てもらえたらとまで思わせる。

色合いは紅とグレーからブルーや薄い緑、素材は織物風からシルク、ニット、毛皮などさまざまな色調や素材が巧みに織り込まれ、かつデザインは中世の騎士を思わせるものや乗馬の服、あるいは東洋の武士のようなものや、あらゆる自空間を巡ってコシノ・ヒロコという人の色感によって現在の時間を生きている。西洋の様式を取り入れながらも、そこには東洋が培い育んだ色彩の美しさがしっかりと溶け込んで、コレクションは僕らを東京から運び去りはるかアジアに抜け出したかのような錯覚を覚えるようである。

コレクションを終えたパーティーで、スタッフの小川さんと久しぶりに再会したのだが尋ねてみると、コシノ・ヒロコさんは現在68歳だという。「ここまでのものを出していくには私らスタッフも、さまざまなものをインプットしていかないと相応のレベルのものは出していけないね」とのことであったが、もちろんそれはコレクションを見ていると十分感じ取れる。でも、それがコシノ・ヒロコそのものとしてのテーストとしてさりげなくそれでいて確かな技術と感性によって提示されているのが素晴らしいのだ。それにしても今コシノ・ヒロコさんはいちばん充実しているのではなかろうか。
創作活動は当分見逃せそうにない。

■掲示板
◎僕のスローフードの活動や、食と旅のツアーのことを、ジャーナリストの広瀬さんが「環っ波」というサイトで、インタビューつきで、このたびまとめてくださいました。
http://www14.plala.or.jp/wappa/salt/st01-prp.html

◎毎週「毎日新聞」デジタルメディアにて食を訪ねる連載開始。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
「食」関連記事は、こちらで毎週報告します。

◎奄美大島・徳之島を訪ねた特別番組が放映となります。
「スローライフ スローフード 長寿の徳之島」が特集されます。
ナビゲーター:金丸弘美
■BS-i(TBS系衛星デジタル放送 チャンネル161)の「i-style」
●5月2日(月)18:41〜18:54 
「徳之島〜長寿の食卓」
●5月9日(月)18:00〜18:54 
「徳之島〜徳之島コーヒー」
「徳之島〜悠々の島暮らし」
「徳之島〜古代塩とドラゴンフルーツ」
「徳之島〜長寿市」
●5月11日(水)18:00〜18:54 
「徳之島〜牛と共に暮らす」
「徳之島〜カムイヤキ古窯群」
「徳之島〜長寿の秘訣教えます」
「徳之島〜追い込み漁」

◎注記:
特別番組等で放送日時が変更になることもございますので、併せまして、番組ホームページ(http://www.bs-i.co.jp/i-style)等でのご確認もお願い致します。よろしくお願い申し上げます。
詳細はこちらhttp://www.bs-i.co.jp:8080/i-style/

●「スローライフ スローフード 長寿の徳之島」のツアーも開催されます。 〜ゆらしい島のスローライフ〜旅の様子はHPにて紹介しています。
http://www3.synapse.ne.jp/mcmaru/yurashii01.htm
□日程:2005年6月9日(木) 〜6月12日(日) 3泊4日
□一人125、000円(会員)、一般127、000円。
□旅行費に含まれるもの:受講料、宿泊費(3泊)、航空運賃、
貸切バス代、食事(朝3回、昼3回、夜3回)
□利用予定宿先:サンセットリゾート 0997-85-2349
企 画:朝日カルチャーセンター 電話:03-3344-2041 担当:大野
協力:ニッポン東京スローフード協会、
観光かごしま大キャンペーン推進協議会
旅行主催:日本通運(株)首都圏旅行支店日本通運
電話:03−6251−6356 担当:蔦谷(ツタタニ)・名塚
http://www.acc-web.co.jp/sinjyuku/0501koza/G0201.html

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『ゆらしぃ島のスローライフ』(学習研究社)
金丸弘美著 絵・唐仁原教久
定価:1300円 四六版 176頁

・NHKラジオ『私の本棚』の連続朗読番組になったほか、
新聞、雑誌、ラジオなど90媒体で紹介されました。
本の購入はアマゾンから。http://www.amazon.co.jp/

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