こんにちは。金丸弘美です。
今日は「ホテルブリランテ武蔵野のシェフ山田清人さん」のお話
食のことを取材するようになって、農家や加工品を扱う人など多くの人と出会いが生まれた。食べ物は奥が深い。だから食に興味が生まれると、いろんな世界が広がってとても面白い。なにせ米の歴史だって2000年以上もあり、現在、国内だけでも400種類あり、それをいろんな場所で栽培しているのだから、お米を調べ始めてもここで終わりというのがないのである。いろんなところに出かければ出かけるほど興味は深まるばかりだ。
最近嬉しいのは、いろんな料理人の人たちと出会うことが多い。おかげで毎回さまざまな料理を食べる機会があって、これまた人それぞれに料理のことを教わる。もっとも、料理ができるわけではないから、いつもプロの技にはただただ感心するばかりである。この頃出会ったばかりなのに、もう昔からの知り合いのようになってしまった人にホテルブリランテ武蔵野のシェフ山田清人さんがいる。
ホテルは埼玉県さいたま市のさいたま新都心駅前にある。もう一年ほど前にちょっと寄ったことがあって、ランチメニューとパンフレットを見たときに、とても印象に残っていたのだ。
というのも料理人がパンフに掲載されていて、その料理メニューも個性的で独自性があふれていたからだった。まさか、このホテルのシェフから声がかかるとは思っても見なかったのだが、やはり一瞬気になっていたことが出会いを生み出したのに違いない。
7月16日にホテルで行われる『大人の食育セミナー&スローフードディナー』のパネリストとして声をかけていただいた。ほんとうは『ソトコト』の編集部への依頼があり、そこから『スロー』編集長・伊東史子さんを経て私にまわってきたのである。そうして一度打ち合わせしたいということで、4月16日にホテルに呼んでいただいた。そこには、山田さんと企画担当の方、それに前・埼玉県食品安全局長(現在、埼玉県立大学事務局長)の加藤ひとみさん、農家で「田舎暮らし体験塾 ファーム・イン さぎ山」を運営する萩原さとみさんがご一緒だった。しかも、山田さんのフレンチのコース料理を食べながらという贅沢さ。このときは欠席であったが、パネリストは、他に有機農業農家の金子美登さん、埼玉県立所沢高校の家庭科の西澤廣人さんというメンバーである。
7月に行われるセミナーは、学校の教職員を対象としたもので農家、シェフ、料理人、ジャーナリスト、食育実践者がパネリストとなり、すべてつながりが見える形で現場の実践の場から語るというもの。
しかも埼玉の農家の食材を使い、当日は山田シェフが自ら腕をふるい、材料から説明し、素材を栽培した農家も私もシンポのメンバーもディナーを楽しむという趣向。「埼玉から、もっと食材からきちんとしたものを発信したいんです」と山田さん。
話を聞いていると加藤さんは埼玉県はもちろん、いろんな食の現場に足を運ばれているらしくそうとうに食に詳しい。萩原さんは農家で学生はもちろん、一般の人たちを迎え入れての体験学習を早くからされているらしく、こちらも新しい農業や食育のあり方に精通してらっしゃる。山田さんは料理はもちろんだが、萩原さんたちとコラボレーションをして、子供たちに料理を教えることもしていらっしゃる。それに埼玉県の食材も詳しいし、学校給食への関心も深い。というわけで、すごいメンバーなのであった。
僕も埼玉に何度か取材に出かけているから、川越で最上の豆腐を作る小野食品の小野哲郎さんや、深谷市の上柴小学校の給食の素晴らしさ、神泉村の御用蔵の醤油などの話をしたらみんな現場に行っていらっしゃると見えて、よくご存知。共通の知り合いも出て、たちまち話は盛り上がり、話がえんえんと続く。このときお見えにならなかった農家の金子美登さんは、有機農業で有名な人なのだが、10年前からずっと会ってみたい人だったのだ。そのことを話すと「じゃみんなで会いに行きましょうよ」と山田さん。
こうして5月8日、再びホテルに集合して料理担当の別の方の運転で加藤さん、西澤さん、山田さんと、僕とで、金子さんの有機農業の里、小川町に向かったのだが、その途中でランチとなった。
なんと山田さんはアウトドア用のテーブル、椅子まで用意してあって、なおかつ人数分の手づくりのサンドイッチ、ピクルス、それにコーヒー、生ハーブでのティーまであってびっくりである。
「こういうのぬかりないんです」と山田さん。こんな調子だから、話が盛り上がらないはずはない。しかもみなさん好奇心旺盛だから酒、お菓子、料理はもちろん、塩のありかたから、豆腐の味の違い
、農業から食育から、映画から文学までと果てしなく話は広がって尽きないのであった。
金子さんの農場見学も素晴らしかったが、その後は、小川町の老舗の酒蔵・晴雲酒造が出したばかりという昔からの住まいを生かした「自然食事処 玉井屋」で軽く食事をし、それからまたホテルまで戻って、当日の机の配置から流れまで打ち合わせ。「本番では、金子さんの農場の様子も上映する予定です」と山田さん。さらに「来週は、萩原さんの農場見学をしましょう。集合は、南浦和駅で11時です。お昼はまかせてください」。というわけで、毎週埼玉県に行くことになったのだが、ここまでミーティングするシンポはそうそうない。でも、現場からお互いにわかってこそ食育というものだ。
素敵で面白い人たちとめぐり合ったものだと喜んでいるのである。
■お知らせ
いつもご愛読ありがとうございます。「食・環境・地域コミュニティ」については、『毎日新聞』のデジタルメディアでのエッセイ『ゆらちもうれ』(奄美・徳之島の言葉で「ゆっくりしていきなさい」という意味)で毎週連載中です。あわせてご愛読いただけると幸いです。アドレスは
以下のとおりです。
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http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
■掲示板
特別番組のお知らせです。
スローフードの特集番組に参加させていただきました。
一時間あまり話させてもらい楽しかったです。
スローフードはイタリアのNPOで、出版、イベント、大学運営などを行い、食文化を核とした事業を行っている110名ものスタッフを持つ団体です。
そんなことや日本での事例などを話しました。
ぜひ観てください。
・放送局 BS-i(TBS系列BS衛星デジタル放送)
・放送日 5月15日の日曜日放映予定。夜9時から10時
・番組名 NEWSアカデミー
・司会 うじきつよし 秋沢淳子(TBSアナウンサー)
・ゲスト 金丸弘美
番組では、スローフードの仕組み、日本の食の話、私が関わった幕末アンパンプロジェクト(詳細は
http://www.kusizawa.com/)家族が徳之島に行ったわけ、などをお話します。
◎注記:
特別番組等で放送日時が変更になることもございますので、併せまして、番組ホームページ(
http://www.bs-i.co.jp/)、新聞などでのご確認もお願い致します。よろしくお願い申し上げます。
■「KKB鹿児島放送」の特別生番組のゲスト・コメンテーターで出演します。
・6月4日土曜日 15:00〜17:30
・「スロースタイルかごしま」
鹿児島各地を結んでの生番組です。こちらは徳之島から家族も登場予定。
■好評発売中!!
◎『スローフード・マニフェスト』(木楽舎=きらくしゃ)
金丸弘美、石田雅芳 共著 定価:1700円
イタリア・スローフード運動のことを日本で初めて具体的に紹介
した本。現地イタリアで取材。全国図書館協会選定図書。
「毎日新聞」『人』欄での紹介始め多数の雑誌・新聞に登場。
本の購入はアマゾンから。
http://www.amazon.co.jp/
◎『生産者のためのスローフード入門』(ベネット)発売中。
金丸弘美著 定価 1000円
問合先03−5913−2627ベネット・担当 中村、青木)
(申込FAX03−5913−2628 venet@nifty.com)
(冊数:送料1冊210円、2冊310円、3冊以上サービス)
・イタリアのスローフード協会はもちろん日本で新しい農業活動
「モクモク手づくりファーム」「ぶどうの樹」のこと、横浜との
「幕末アンパンプロジェクト」のこと、奄美諸島徳之島で行った
「長寿シンポジュウム」やツーリズムのことなどが登場します。
●金丸弘美正式ホームページ
http://210.255.173.147/tml/kanamaru/kanamaru10.html
・ライターズネットワーク
http://www.writers-net.com/
・日本ペンクラブ
http://www.japanpen.or.jp/
・ニッポン東京スローフード協会
http://www.nt-slowfood.org/