こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「四万十川に天然うなぎを食べに行ってきた」お話。
ずっと気になっていたところで、行ってみたかったのが高知の四万十川(しまんとがわ)である。それが、天然うなぎを食べるという、なんともありがたい形で実現したのだ。
夏場になると、いろんな雑誌でうなぎ特集をしているが『一個人』編集部の編集者・寺林真規子ちゃんと話していたら、次の号で「うなぎ」を紹介したいのだという。
「金丸さんって、魚は得意な人ですか?」
「べつに得意というわけじゃないけど、魚の取材も行ったことあるし、 イリコや鮭なんかは漁船に乗りにいったこともあるよ。なんで?」
「今度、うなぎの特集なんですよ」
「うなぎ!! うなぎはやったことあるよ。」
「天然うなぎって、ありますかね?」
「都内じゃ野田岩とか、ごく一部。それも限定だろう。ほとんどは 養殖だよ」
「そうですよね。どこかないですかね」
「それなら、四万十だろう」
「ほんとですか?」
そんな話から四万十に行くことになった。実は、近所のレストラン「キヨビスカ」の岡村美郷ちゃんが、なんと四万十の農家に嫁に行くことになって、四万十の村おこしに知恵をくれと言われていて、一度、四万十に行かねばと思っていたのだ。それに、柚子で有名になった高知の馬路村農協のアドバイザー松崎了三さんに尋ねれば、釣り好きだから絶対、うなぎにたどり着くと思ったのだ。
岡村ちゃん紹介の四万十の村おこしの会社「四万十ドラマ」の畔上さん、それに松崎さんに連絡ととったら、まったく共通した四万十のうなぎ名人と市場を手配してくれた。こんなときに、全国に知り合いがいるというのは、とてもありがたい。
訪ねたのは、四万十の中流域にある四万十市西土佐川崎の下原功美さんといううなぎ名人。それに四万十のうなぎや川エビ、鮎などを扱う四万十川西部漁業協同組合(鮎市場)の林大介さん。近所の鰻屋「いわき食堂」である。
四万十には、高知空港からバスで40分かけて四国へ行き、そこから特急から鈍行と乗り継いで、およそ3時間あまりで江川崎に着いた。駅に林さんが迎えにきてくれて、そこから下原さんの家に案内してもらった。早速下見を兼ねて、四万十に行ったのだが、川がじつに広い。周辺の四国山脈が、ずっとどこまでも続いていて、壮大である。
このところ雨が少なくて、水域は50センチも低くなっており、うなぎがかかるかどうか、わからないという。下原さんの仕掛けは「ころばし」といって自家製のわなを使う。細長い、それこそ、うなぎの長さくらいの箱で、脇に鉄の錘(おもり)がついている。なかには、うなぎの餌のヤマトエビという四万十で取れたカワエビが入っている。
その日、宴会をしましょうと、下原さんに知り合いの方々の輪に入れてもらった。鮎とエビを焼いて食べたのだが、エビがうまい。
オスはものすごく手が長い。しかも右と左の長さが異なる。なんでこんな長さなのという不思議さ。これをボイルと焼いたので味わったのだが、ボイルが止まらないほどのうまさ。もっとも市原さんに言わせると、秋はもっとおいしいという。
夜は四万十が一望できる「ホテル星羅四万十」に泊まった。第3セクターのホテルだというが、広々としておしゃれでサービスもいい。
翌日、ふたたび四万十に下原さんと行き、仕掛けを引き上げたら見事に大きなものがかかっていた。それからあゆ市場に行って、林さんにさばいてもらった。林さんによれば、この地域では、料理屋さんも天然うなぎしか出さないそうである。
いわき食堂でさばいたばかりの最上といわれるうなぎを焼いてもらった。これがじつにさっぱりしている。東京で食べるうなぎとはまったく異なる。下原さんも、あゆ市場のいわき食堂の岩城千恵己さんに尋ねても、四万十流域の人は、うなぎといえば、天然しかないというからうらやましい。それにしてもなんとも贅沢な旅であった。
(うなぎは、7月26日発売『一個人』9月号で登場します。発売元はKKベストセラーズ)
■掲示板
・7月16日(土) 「からつ大好きフェスタ」参加
シンポジウム 10:10〜11:00
テーマ:「食と農が人を育て、スローな時代を創る」
講師:山下惣一・金丸弘美
会場:唐津駅前 唐津市ふるさと会館 アルピノ
主催:唐津青年会議所
・毎週「毎日新聞」デジタルメディアにて食のエッセイ連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
・雑誌『一個人』(KKベストセラーズ)8月号(6月25日発売)
・「五穀 元気の源 雑穀ご飯」好評発売中。
・雑誌『ソトコト』(木楽舎)8月号(7月5日発売)、「八王
子ふたば保育園の楽しい給食」を紹介。好評発売中。
・好評発売中
『メダカが田んぼに帰った日』(学習研究社)
田んぼにメダカやサギや白鳥がやってきた。自然を呼び戻した田
んぼの物語。本の購入はアマゾンから。
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