ホーム > 旅日記 > 2005度 > 「静岡県での二つの食の講師という貴重な経験」
スローライフ旅日記
各地の食の取り組みや地域活動、本や映画のことを紹介
最近の旅日記
過去の旅日記一覧
  旅日記 no.050
「静岡県での二つの食の講師という貴重な経験」
2005年7月27日
こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「静岡県での二つの食の講師という貴重な経験」のお話を静岡県で二日連続、二つの貴重な講師を経験をさせていただいた。
一つは、伊東市の八幡野小学校6年生2クラス60名の食育の授業である。これは昨年、お米を使って、テイスティングの授業を旭小学校で行ったところ大好評で、今年リクエストがきたのだ。

この授業をとりもってくれたのは、民間のコーディネーター「きてきて先生プロジェクト」の香月よう子さん。香月さんが、僕に「外部講師が一年に一度、小学校に来て行うプロジェクトがあるんだけど金丸さん、食育の授業をしませんか?」と誘ってくれたのだ。
そこで昨年、僕が提案したのは、イタリアのスローフード協会や、フランスで行われている五感教育の日本バージョンだった。

香月さんや、旭小学校の渥美先生などと、ご飯を何種類か炊いて、「見た目、香り、味わい、感触」をみながら、テイスティングを行い、五感を豊かにするというもの。そうしてオニギリにして、一緒に給食を食べるのである。とても単純だが、生徒たちはこんなにあるのというくらい、豊かな表現をしてくれる。また今年も生徒たちに、たくさん刺激をもらってとても感謝した。

もう一つは、翌日、三島の日本経団連ゲストハウスで行われた日本経団連の「東富士夏季フォーラム」でのセミナーにおける講師である。2日間にわたって実施されたフォーラムは、各企業のトップクラスがずらり。テーマは「戦後60年ー日本の課題と好機」である。
その顔ぶれをみて、びっくりなのだが、僕が講師をしたのは「レディースプログラム」というもので、同伴されたご婦人方への特別プログラム「スローフード運動と地域づくり」である。

この話をもらったときは、どんなフォーラムかまったく知らなかったので、のんきに構えていた。ところが打ち合わせで、事務局の担当の長沢さんの話を聴いて仰天した。まずフォーラム自体が、トップ企業のリーダーが集まり、日本経団連のミッションと企業のありかたと考える会議として位置づけられているものだったのだ。そのなかで僕の講師は、各企業の会長や社長夫人向けの特別プログラムなのであった。

その顔ぶれをみて、えっと思ったのだ。なにせ、ソニー会長顧問夫人、トヨタ自動車会長夫人、松下産業会長夫人など、お歴々のご夫人方の名前がずらりとある。思わず緊張。しかし、なんで講師に選ばれたの?という素朴な疑問もあって尋ねたら、リサーチもされたのだそうだが、かつてアサヒビールの環境講座の講師をしたこともあって、その実績も評価されたとのことであった。

当日は、お願いをして、第一セッションの日本科学未来館館長・毛利衛さんの講演「ユニバソロジの世界観ー社会活性化する意識改革」と、その後の意見交換会を特別に聴講させてもらった。毛利さんとは、2002年、日本科学技術振興財団の「若者と夢フォーラム」で実行委員をさせてもらい、ご一緒させていただいている。もっとも話す機会はなかったのだが、毛利さんに著書をお送りしたら、ご丁寧に自らのサインの入った本を贈ってくださったことがあり、とても嬉しい思いをしたことがある。

日本経団連の僕の講義は、毛利さんの後、別室の会議室で行った。
イタリアのスローフード協会の取り組みの様子と同時に、日本各地の現場の活動を、多数のスライドを使い、具体的に紹介していくというスタイルにした。これには、前日行った「きてきて先生」も急遽入れた。そうしてレジュメも具体的にわかりやすものとしたのである。話したのは、1時間45分ほどだったが、そのあと質疑応答が相次ぎ、時間は延長され、持ち時間2時間を20分ほどオーバーした。

僕が取り上げたのは、三重県の「モクモク手づくりファーム」や福岡県の「グラノ24K ぶどうの木」の新しい農業産業、宮城県田尻の自然循環型の田んぼの取り組み、大分県竹田の環境を生かした町づくり、鹿児島県大崎のゴミの資源化と循環システム、佐賀県七山村の村丸ごとの町づくり、徳之島と山梨をつないだ幕末アンパンプロジェクトなどである。

この後、食事となったのだが、ご一緒だったのは森下松下電器産業会長ご夫妻。ご夫妻から講義のお礼を言われて恐縮した。その後、席をクラブに移して、お酒となったのだが、たまたま腰掛けたら、お隣が、ソニー最高顧問の出井伸之さん、日本ホールディングス会長の氏家純一さんであった。出井さんから「妻が講義を受けたそうで、よかったと言ってました。ありがとうございます」とお礼を言われて、あわてて「あっ、こちらこそありがとうございます」と、頭を下げた。「僕も受けたかったけど、どんな話をしたの」といわれたので、スローフードの組織について話したのである。

実は、あちこちで講演に呼ばれる機会が多いのだが、スローフードの話になるとき、「郷土料理」「ゆっくり食べること」と解釈されて言葉が使われているのがほとんで、NPOの組織で110名のスタッフを抱え、イベントや大学運営をしていることは、まず知られていないケースが圧倒的である。そんなことを出井伸之さんと氏家純一さんに話すと、出井さんが「なるほど、そういう組織だったのか。
初めてわかったよ。それにしても彼らは頭がいいなあ」と感心された。

その後、出井さんが「こないだビル・ゲイツが訪ねてきたよ。彼は、もうコンピュータはあやうい、これから農業だといってたよ」という話はびっくり。というのも、先週、世界40カ国の農業の現場をみてきたという、作家・山下惣一さんと対談したのだが、そのとき山下さんからもブラジルで、ビル・ゲイツが農場を買い付けにきているという話を耳にしたばかりだったからだ。

その後、氏家純一さんには、ヨーロッパ滞在のときの話をじっくり聴くこともできて、大満足の時間を過ごすことができた。それにしても、静岡の二つの講師は対象が極端だったこともあり、それだけに下準備もそうとう必要で、だから僕にとっては、ものすごい刺激になったばかりでなく、今後の学習の課題もたくさんいただいて、充実した時間となったのだった。

■掲示板
北海道の農業就農の支援をしています。大阪での、初のフォーラム開催。
せひ多くの方々に声をかけていただけると幸いです。

「北海道の農的な暮らしは面白い!」新規就農フォーラム in 大阪

・日時 2005年9月18日(日) 14:00〜16:00 
(開場 13:30/個別相談 16:00〜17:00)

・会場 大阪東急イン 
(大阪府大阪市北区堂山町2-1 TEL:06−6315−0105)
アクセス JR大阪駅 〔阪急・阪神・地下鉄梅田駅〕 徒歩10分

※ マップは大阪東急インのHP〔http://www.osaka-i.tokyuhotels.co.jp/
で確認ください。入場料は無料です

・コーディネーター
高井 瑞枝さん(トータル フードコーディネィター)
・パネリスト
荒川 恵美子さん(北海道旭川市江丹別町 (有)オサラッペ牧場)
勝又 武司さん(北海道清里町 畑作農家)
土居 健一さん(北海道北竜町 ファームトゥモロ代表)  

(問合せ先)
・NPO法人 新規就農サポートセンター
〒074-0001 北海道深川市1条5番10号
TEL 0164-26-2710 FAX 0164-26-2715
E-mail newsupport@siren.ocn.ne.jp

・拓殖大学北海道短期大学 環境農学科「新規就農コース」
〒074-8585 北海道深川市メム4558
TEL 0164-23-4111 FAX 0164-23-4411
E-mail nishino@takushoku-hc.ac.jp

●金丸弘美正式ホームページ
http://210.255.173.147/tml/kanamaru/kanamaru10.html
●メールマガジン『金丸弘美のスローライフ旅日記』
http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/9697.html登録無料
●毎週「毎日新聞」デジタルメディアにて食のエッセイ連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/

・ライターズネットワークhttp://www.writers-net.com/
・日本ペンクラブhttp://www.japanpen.or.jp/
・ニッポン東京スローフード協会http://www.nt-slowfood.org/