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  旅日記 no.054
「映画のなかのヘアスタイル」
2005年8月27日
映画のなかのヘアスタイル
 フリーランスになる以前から映画を見続けてきて、映画のことを雑誌に書いてきた。そんななかで、今度、美容雑誌の『BOB』(髪書房)に映画の連載をすることになった。この雑誌は、創刊されて、まだ間もない。実は、美容雑誌の老舗である新美容出版のメンバーが独立して始めた会社である。
もう20年前のことだが、僕は業界の雑誌である新美容出版の編集者であった。そんなことから、当時の先輩たちが立ち上げた出版社につてができて、久しぶりに再会することとなったのだが、それで連載を始めることとなったのだ。
そこで提案したのが、映画とヘアスタイルの話である。いい映画というのは、小道具からヘアスタイルまで、じつにうまく計算をしてある。心理状態や人生の変わり目といったときに、ヘアスタイルが変化する。ヘアスタイルをドラマとからめて語りながら、なおかつ専門家の視点で、どんなカットなのか、あるいはどんなウエーブなのかということを紹介するというものだ。
もちろん、僕のように素人では、ヘアスタイルのファッション的なことは、具体的なことはわからないことがある。そこで、パートナーとして推薦したのが、表参道と吉祥寺に店舗をもっているヘアサロン『連獅子』の五十嵐憲生さんである。
僕はカットを『連獅子』の五十嵐君にしてもらっている。もともとはお兄さんの大濱君にしてもらっていたのだが、北九州に戻ってしまったので、現在は、弟の五十嵐君にカットをお願いしている。
『連獅子』との出会いは、もう25年前になるだろう。吉祥寺を歩いていて、看板を観て、その看板が歌舞伎の『連獅子』から取られていたのと、目立っていたので、直接訪ねたのが始まりだ。
背広姿の男が、突然店にやってきて、オーナーに会いたいと、言うのだから、なにかのセールスと勘違いされたのか、当時のオーナーの大濱君は、とても慎重で警戒したようだ。
それでも業界の雑誌編集者であること、看板が面白かったこと、どんな人のサロンか知りたかったことを告げて、そのときは、それでおわった。それから、店のインテリア、経営、従業員教育など、雑誌になんども登場してもらうこととなった。
当時、まだ20代だった大濱君は、なんと100坪の店を運営し、しかも繁盛させていたのである。その背景には、北九州のお父さんがバックアップもしていたのだが、しかし、そのパワーはすごかった。なによりセンスがよかった。
当時のセンスのよさと、店の繁栄振りは、弟の五十嵐君の代になっても、まったく変らない。いろんな店でカットを頼んできたが、僕は連獅子が、いちばんすっきりする。それに雰囲気がよくて、ずっと通っているのである。
五十嵐君は映画も好きなようで、サロンでは映画の話になる。そんなことから、雑誌社に五十嵐君との映画の連載を持ちかけたのである。映画に関しては、とりあえずほとんどの映画会社から僕のところに試写の案内がくる。それで映画の選定は僕が行う。選定した映画を五十嵐君と編集者に観てもらい、ヘアスタイルの視点からのファッションのことを加えてもうらうという展開である。
一回目に選んだのは、ボクシングをテーマにした『シンデレラマン』である。主人公の妻、レネー・ゼルウィガーのヘアは、当時の流行のボブなのだが、ゆったりとしたウエーブがある。基本はボブ。五十嵐君に言わせると「フラッパーなボブですかね」ということになる。「当時のウエーブだから、ヘアを挟むクリップと丁寧なフィンガーウエーブでしたのだろうね」なんて、話しで盛り上がった。
あとはお洒落に帽子によるアクセントを加えるというものだが、しかし、ドラマの展開と主人公の境遇によって、これが微妙に違う。ヘアスタイルも、きちんと心理や状況を考えてあることがわかる。
二回目に選んだのは、圧倒的に面白かった『シン・シティ』。ブルース・ウィルス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェンなどが登場するハードボイルド。モノクロを多用した、非常にスタイリィシュな映像が、まずみせる。まるでレイモンド・チャンドラーや、かつてのボガードの『マルタの鷹』みたいだし、あるいは劇画のようだと思ったら、やはり原作者が、チャンドラーや「子連れ狼」のファンであるということがリリースに書いてあった。
この映画では、何人かの女性が登場するのだが、ほとんどが娼婦かストリッパーたち。であるから、せいいっぱい女性らしさと、世間に対する自己主張が、より強くヘアスタイルに現れているのだが、そのあたりが、また映画のアクションとは視点を変えると実に面白いのである。
■掲示版
・スローフードのすすめ 食をテーマにした地域活性化のすすめ
金丸弘美&三國清三 in HIDA 講演と公開対談
・2005年9月6日 火曜日 19:00〜
古川町総合会館 大会義室 入場無料
― 講 演・対 談 内 容 ―
・第1部 金丸弘美講演会
「今、食の安全・安心と、食文化の見直しが始まった」
・スローフード運動〜食をテーマにした地域活性化のシステム。
・日本における各地の新しい町づくりの取り組みの具体事例。
・なぜ、食における取り組みが必要とされているのか。
・第2部 三国シェフと金丸氏による公開対談
「三國シェフの食べ物哲学と食育」
主催:飛騨市 お問合せ:産業経済部商工観光課
 TEL:0577−73−7463
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『本物を伝える 日本のスローフード』(岩波書店)
『伊賀の里 新農業ビジネスただいま大奮闘』(NAP)
『ゆらしぃ島のスローライフ』(学研)
『メダカが田んぼに帰った日』(学研)
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●金丸弘美正式ホームページ
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・ニッポン東京スローフード協会http://www.nt-slowfood.org/