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  旅日記 no.061
「おいしい食と幸せの関係」
2005年10月12日
こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「おいしい食と幸せの関係」のお話

 このところ幸せが続いている。というのも素敵な人、おいしいものに、ずっと出会い続けているからだ。

 先般マガジンハウスの雑誌『クロワッサン』から声がかかった。
11月10日発売号でお取り寄せの大特集をすることになり、話し合いをしながら、試食をしてほしいとのこと。メンバーを見たら、田沼敦子さん、冬木れいさんだ。

この3人が巻頭を飾るらしい。そのメンバーに入れてもらえて光栄である。『クロワッサン』の編集部の島田さんによると、「この3人のメンバーが、食材のリストをいちばん多く出してくださったんです」とのことだった。

田村さんとは、何度かあっているので、もう顔見知りで、再会を喜んだのだが、冬木さんとは初対面。お二人とも料理研究家で知られる人だから、ちょっと恐れ多いなあとおもいつつ白金のスタジオに伺ったのだが、試食が始まるや打ち解けてしまった。

というのも、目の前の食べ物のことをあれこれ話していたら、とどめもなく話題が広がっていく。お二人の著書『取り寄せても食べたいもの』(田沼敦子)、『つくって楽しい、食べておいしい お取り寄せ』(冬木れい)を読んでいると、なるほど、こんな食べ物があったかとか、こうして食べるのかとか、この家では食卓をこう楽しんでいるのか、というのが見えてきて面白い。

お二人には、ものすごく身近に引き寄せた、料理の観点がふんだんにあって、とても参考になることばかりなのである。それと、ときどき僕も作り手をよく知っている食材が登場していて、そのことも親しみを感じるのである。例えば、田沼さんの本には、川越の小野哲郎さんの「なかせんなり」という大豆を使った最上のざる豆腐が登場する。
冬木さんの本には、鹿児島の国産菜種で作る村山實盛さんの菜種油が出てくる。それだけで、話が盛り上がる。

スタジオに並んだ食材を、朝11時から夕方5時半まで、えんえんと試食を続ける。といってもティスティングだからむやみに食べるものではないが、ついつまみたくなる。蜂蜜からジャム、パン、お茶、ケーキ、ヨーグルト、ご飯のあてからご飯まで、少しづつ味わいながらコメントを語る。その食材の入れ替えの時間に、食についての話が、どんどん広がって楽しい。

たとえば、盛岡の藤原養蜂の日本ミツバチの蜂蜜から西洋ミツバチとの違い、田村さん推薦の海外の蜂蜜とチーズとの相性とチーズの話、黒ゴマ入りの蜂蜜のペーストの素晴らしさ、花による蜂蜜の味わいと香りの違いなんてことを話しているうちにどんどんひろがっいく。
田沼さんや冬木さんのふだんの利用の仕方も興味深い、だから、ずっと会っていたい気分になる。

撮影の後、田沼さんに「黒ゴマの蜂蜜送ってあげるね」といわれて、なんともう翌々日には、秋田ローズメイというところから、どっさり蜂蜜が届いた。「蜂蜜胡麻」の白と黒、「アカシヤ蜂蜜」「フォーフルーツ・マーマレード」「七殻辛味噌」。並んでいるだけで至福になれる。これで食卓が華やいだ。

実は、この『クロワッサン』の撮影の前後、素晴らしいことが重なった。福岡では、パッチワークアーチストの山口怜子さんの山口酒造を訪ねて、600本限定という「樫樽熟睡麦焼酎 樽酎」をいただく。上品な香りのグラッパみたいな焼酎である。

埼玉の萩原さとみさんの萩原ファームを訪ねたら、ちょうど収穫のときで、できたばかりの新米のオニギリに、里芋に野菜をたっぷりいれた味噌仕立ての煮物をいただき、帰りに新米と里芋をお土産にいただいた。お米も里芋も実に味わい豊か。それだけで嬉しい。

その頃に重なって、有田の白濱美保子さんからは、佐賀から柑橘「木の酢」が届いた。これは、柚子やかぼすのようなもの。佐賀独自のものだが、こぶりで品がよく種が少ない。毎日搾って蜂蜜を入れて飲んだり、料理にかけて楽しんでいる。柑橘の甘酸っぱい香りで、心がやわらぐ。

長野からは、栄養士の杉木悦子さんから葡萄「ナイアガラ」と、イチジク、新米がやってきた。箱をあけると、葡萄の香りが部屋いっぱいに広がり、中は野草もあしらって、素敵に飾ってある。三重の「モクモク手づくりファーム」からは、「ごーひちご」というもちもち感のある新米が届くというわけで、この一週間は、とても幸せな気分である。食が素晴らしいということは、どれだけ素敵な気持ちになるのかを、存分に味わった気がするのである。

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●毎週「毎日新聞」デジタルメディアにて食のエッセイ連載中。
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