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  旅日記 no.097
「木の花ガルデン」
2006年6月21日
こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「木の花ガルデン」のお話

大分県の「大分大山町農業協同組合」は、全国的に有名で、町おこしというと、必ず名前があがる。そこに行ってみたいとずっと思っていた。もちろん行こうと思えば簡単にいけるのだが、誰かつてがあるといいと考えていたのである。そんなおり、組合長の矢幡欣治さんと知り合うことができた。

大山は福岡から車で1時間の山間地。人口3900人。農業は先行きがないというなかで、大分県では、収益がトップ。しかも、どの農協も農業の生産や事業部門は平均1億6000万円の赤字といわれなかで、農産物を販売だけではなく、加工、レストラン経営までを手がけて、売上げ56億円をあげて利益を上げている。

他の農協は、トップの農林中金の金融の海外投資で補っているのが現状といわれる。最近の農協合併の顛末は、赤字の大幅削減ということになる。しかし、現在の農業政策では、どのみち合併をしたところで、農業の未来はないだろう。なぜなら現在の農業政策は、規模拡大と村落の集約にシフトされていて、ほとんどが効率化と画一化、価格競争に耐えられるという形になっている。

どう考えても、農業の生産は、企業の食品供給の下請け化になっているとしか思えない。農業を生産の拡大と効率だけで考えている限り、衰退の一途をたどるだろう。なぜなら、農業の現場は、効率化も限度がある。なにより多様な農業の豊かさや地域の文化は間違いなく崩壊する。農業生産と市場出荷では、まともな生活はできない。どう頑張っても、生産物の販売を主体としている限り、それほどの利益をあげられないのである。

とりわけ、僕の家族が住んでいる奄美や、山間地の大山となると、どう効率化しても農業生産だけでは、どうにもならない。農業と地域全体が連動して、加工、販売、サービス、農業景観を生かした観光など、複合的な組み合わせでの農業でないと成り立たない。
それに自らが、価格決定権をもたないと、農業は先行きがない。

新しい6次産業としての農業の経済活動にスローフードがあり、三重県のモクモクファームがあり、福岡のぶどうの樹があるといった、各地の事例を含めて紹介した。そんな話を実は、行政の指導機関である「市町村アカデミー」の講義で話した。

「市町村アカデミー」は、千葉県の幕張本郷にあり、全国から市町村長の役場の人たちが、町づくりや財政などの研修をうけにやってくる、いわば行政マンの専門学校のようなところ。ありがたいことに、僕にも講師依頼が、4年前ほどからくるようになり、「食からの地域再生」というテーマで、話をさせていただいている。

その講義日程を見ていたら、僕の後の3時間目が、「大分大山町農業協同組合」の組合長の矢幡治さんだったのである。ぜひ話を聴かせていただきたいと申しでたところ、矢幡さんからも、「そちらの授業を聴講したい」とのことで、それぞれの講義を聴くということになった。そして挨拶をし名刺交換をしたところ、なんと、私の親しい、そして尊敬をしている世界的なパッチワークアーチストで有名な、山口怜子さんのお兄さんとわかって、びっくりである。たちまち意気投合してしまった。

その講義の後に、帰りを秋葉原までご一緒させていただいた。そうして翌日、大分県の食育事業アドバイザーで、大分県の竹田市、佐伯市に出向いたところ、八幡組合長から連絡があり、「ぜひ大山によっていただきたい。ご相談したいことがある」との話。しかし、僕は、竹田市、佐伯市を経て、唐津、有田と巡り食育の授業をすることになっていて、その後、NHK福岡の生番組に出演することになっている。

調整してみると、有田の授業の後なら時間が作れそうだ。そういうと、有田まで車を回してくださり、それで、急遽時間をとって、大山にむかった。一つは、新しいキノコの売りだしの相談。そうして組合向けの緊急講演である。「私も今の農業政策では、農業の未来がないと思っている。大山は、生産、加工、販売までやって、収益をあげるようになった。金丸さんが、あれほど今の農業の生産だけでは未来はないと、はっきり明言していらっしゃったけれど、あんなきちんと言った人は、初めて。それを、あなたからぜひ話してもらえないか」という頼みだった。

それで引き受けた。そうして有名な、地域の生産物を駆使したレストランで食事となったが、たった一億円で建築したものだという建物での食事は、実に素晴らしかった。大山の間伐材を使い、景観に配慮した建物は、全体のデザインが、じつに考えられている。それに感動した。

聴けば、全世界132カ国を巡り、ドイツの建築を取り入れられたものという。生産物の加工、レッテル、いただいたパンフレットまで、きちんとコンセプトが貫かれている。それが素晴らしい。
あちこちで農家のレストラン、直売所、道の駅など、全国で、みてまわるが、全体、それも地域をふくめたデザイン力があるところは、ほとんどないと言っていい。そのデザイン力が大山の力だと、改めて感じた。

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食の安全について語ります。『フードクライシス』は、「日本の
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この機会にぜひご参加ください。

■講座タイトル:『フードクライシス 食が危ない!』
■会場:東京都渋谷区道玄坂1-2-2 渋谷東急プラザ 7・8階
■講座日時:6/24(土)19:00〜20:30
■受講料:一般 2800円(税込)
■申込締切:6/22(木) 電話予約可

お申し込み・お問い合わせは、カルチャースクール東急セミナー
BE(TEL:03-3477-6277)までお願いいたします。

カルチャースクール東急セミナーBE HPはこちらから
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『フードクライシス 食が危ない!』の詳細はこちらから
  http://r18.smp.ne.jp/u/No/41151/FC02869E_8109/mm0620-07.html

↓金丸弘美さんのHPはこちらから
 http://r18.smp.ne.jp/u/No/41151/FC02869F_8109/mm0620-08.html