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スローライフ旅日記
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  旅日記 no.105
「新しい地域づくりをする佐賀の人々」
2006年8月16日
こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「新しい地域づくりをする佐賀の人々」のお話

 この一週間で佐賀に二度行くことになった。一度は、8月9日、酒問屋の森山藤一郎さんの案内で、酒蔵を案内してもらうこと。
もう一度は、佐賀テレビの特番「スロー風土佐賀」の収録のためである。この佐賀の旅は、とても実りが多いものであった。
同じ思いの人たちと巡りあえたからだ。

森山さんと会ったのは、昨年の佐賀県で始めた食のネットワークオリザジャポニカクラブがきっかけだった。彼は酒のプロデユースをしているとのことだったが、実際は、どんな仕事なのか、よくわかっていなかった。よくよく訊いてみると問屋さん。
問屋さんだが、これまでとは違って、新しい時代にあった、オリジナルの酒を酒蔵から連携して生み出してる、ということが今回の旅でやっとわかった。

森山さんに興味をもったのは他でもない。奄美・徳之島で唯一といってもいい徳南精糖の本物の純黒糖を使ったオリジナル焼酎「まーらん舟」を生み出したのが彼だとわかって興味をもったのだ。実は家族が徳之島に移り、そこで純黒糖の存在を知り、地域の黒糖で黒糖焼酎をオリジナルで作ればいいのにとずっと言い続けていたからだ。実は奄美の黒糖焼酎の奄美原産はたった一割しかない。ほとんどはヴェトナムなど海外の黒糖が使われている。

ところが3年前に「まーらん舟」という焼酎が奄美の富田酒造でできたという。限定1000本(現在は3000本)。「あーやっぱり、同じことを考えている人がいるんだなあ」と思っていたら、その仕掛け人は、佐賀県の森山さんだったのだ。「まーらん舟」は、他の黒糖焼酎と違って、非常にまろやかで、黒糖の香りがぷんとする、きわめて個性的な焼酎なのである。

そんな森山さんの案内で佐賀県の蔵元に言った。三養基郡(みやきぐん)みやき町の天吹酒造である。「佐賀県でもトップクラス」とのことだったが、蔵に入ってびっくりである。どうどうとした作りで、木造家屋の建物のなかには、美しく清掃された中庭があり、木をふんだんに使ったティスティングの部屋まできちんと作られていた。

タンクは小さめなものがずらりとあって、量を追うのではなく、品質を高めるために、手の届く範囲の設備になっていたり、酒造りの酵母に花からの天然酵母が使われていたり、室は最新に作り直されているが、杉をふんだんに使い、古くからの手法は、すべて生かされ、しかし温度管理はセンサーとパソコンが組み合わさっているとか、伝統的な酒造りを現在に見事にマッチングさせた、それも質の高い酒造りがされていた。

天吹酒造の後に案内されたのが、佐賀市のお堀沿いにある小さな酒屋さんの山田酒店。この商店、佐賀の酒を中心に日本酒や焼酎などを扱っているが、なんと売り上げは1億2000万円。
小さな商店の酒屋さん、しかも30代の若さ。その彼が、親の小さな、それも借金のあった店の後を継ぎ、酒蔵に教えをこいながら、それまでのビールやウイスキーなどを売っていた店から、地域の酒に特化した、新たな専門店としてリニューアルをし、見事復活させた。

山田さんのところでは、毎月、お酒の勉強会が行われている。
ティスティングの会も行われている。山田さんの取り組みは、地域のこだわりの飲食店にも愛されて確実に売り上げを伸ばしている。これぞ商店街活性化の見本のような店である。

一度東京に戻り、8月12日に佐賀入り。テレビの打ち合わせ。共演者は、設計家の山田信行さん、富士大和森林組合事業課の川埜ゆかりさん、消費生活アドバイザーの林真美さん、それにミュージシャンの上田正樹さん夫妻。山田さんは、かつての木造建築のよさを生かして、地域の木材を使った建築を始めた。集落を考えたエコビレッジを計画している。

川埜さんは今年佐賀大学農学部を出たばかり。森林組合で自然循環型の森作り、植林、旱魃、学生の体験教室、木材を使った新たな取り組みを始めている。林さんは、市民レベルでのエコロジーや環境教育をしている。上田さんはスローライフの実践者である。佐賀の森山さんをはじめとするメンバーは、すべてジャンルはこなるが、エコや循環を考えた活動の実践者ばかり。
このメンバーとは、もう明日からなにか一緒にやれると、確信をもった。素敵な出会いの時間だった。

■シンポジウムのご案内
「見つめ直そう! 食と農 くまもとフォーラム」
8月23日 13:30〜17:30
13:45 基調講演 「食からの地域再生」
 学校給食から町起こしまで 金丸弘美
13:30 くまもとの食をめぐる現状
16:00 双方向メッセージ
      消費・生活者からのメッセージ
      生産者からのメッセージ
16:30 質疑応答および意見交換
17:30 セミナー宣言・閉会
場所:メルパルクKUMAMOTO 
主催:熊本市認定農業者協議会、熊本県農業補遺人協会、熊本県
担い手育成総合支援協議会 
電話096−384−3333
FAX096−385−1468

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■絶賛発売中!
『子どもに伝えたい本物の食』(金丸弘美著 NTT出版)
ご注文はAmazon.co.jpからhttp://www.amazon.co.jp/

「食育」をテーマに全国の実践例を紹介。
「読売新聞」「朝日新聞」「生島ヒロシのエイジング・ジャパン」
「月刊学校給食」「TBSラジオ週刊エコラジー」「農業と経済」
「赤旗」「安心」「JFN 全国FM局」などで紹介されました。

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◎全国「食」の活動は毎日新聞デジタル「ゆらちもうれ」で連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/

◎ホームページhttp://www.jgoose.jp/kanamaru/

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