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スローライフ旅日記
各地の食の取り組みや地域活動、本や映画のことを紹介
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  旅日記 no.109
「地域の食と農業とデザインそして日常の食」
2006年9月20日
地域の食と農業とデザインそして日常の食
 武蔵野美術大学の小谷育弘芸術文化学科教授のお誘いを受けて、デザインの特別授業の講師をつとめた。テーマは、農業。なぜ、デザインで農業なのか? 疑問に思った生徒もいたようだ。僕は、地域性のデザインが、農業と地域に必要だと思っていたので、そのことを話したいと言ったら、小谷教授から「ぜひ、そのテーマで」と言われたのである。
実は、全国に出かけて、あちこちの農業の現場にいくのだが、地方の景観がひどいところが多いのである。パチンコ店、チェーン店、道路の拡幅、大型スパーなど、どこも同じ。画一化。それも全体のバランスなど考慮されていないケースが圧倒的。農業は生産や安心安全などに目が向いているが、地域景観のデザインもあってこそ、地域が生きるというものだ。
そこで、イタリアのスローフードの町並みを生かしたイベント、彼らのデザイン力。日本の地域のデザイン性を配慮した取り組みなどを紹介した。その前に、食と農業をテーマにイラストで紹介した『フードクライシス 食が危ない!』(ディスカヴァー)の絵をパワーポイントで上映しながら、私たちの取り巻く食のことを話した。
実は、この授業で、大ポカをしてしまった。90分と言われたのを勘違いをして、90分の2講座で構成していて、90分で終わらなかったのだ。慌てて、「まだ先を聞きたい人がいたら、続けて授業を後90分します」と、突然言ったら、なんと、次の予定がない生徒の約半分30名近くが「まだ聴きたい!」と残ってくれたのだ。小谷教授は「こんな授業は初めてです」と苦笑い。
質疑応答もかなりあった。そうして、ほとんどの生徒がびっしりとアンケートに答えてくれた。今回の授業とアンケートを通じてわかったのは、すごく食や農業に関心をもっているということ。食の安全についても関心が高いということだ。すでにファーマーズマーケットの利用で、農家とコミュニケーションをしながら、ふだんの食を作っている生徒もいた。
多くの報道やメディアを通して食のことが報じられていると同時に、健康と食について、若い人が関心度が高いということを知った。このあたりをもっとリサーチするべきではないかと思った。同時に、農業の現場の話をすると、さまざまな質問が飛び出し、報道やあやふやなテレビの情報を、きちんと確かめたいという強い欲求があるのがわかった。
最近「食育」が盛んに言われているが、食の教育というよりも、生徒たちを通して思ったのは、きちんと食を語ると同時に、一緒に食べる機会をより多く作ることだと、強く思った。そうして正確な情報を伝えることの重要性を痛切に感じた。
実は、現在、東京に仕事をする事務所があって、ここで、長男と暮らしている。長男の恋人が毎日ようにやってくる。日曜日となると友人たちもやってくる。その昼や夜は、長男と一緒に食事を作ることにしている。鍋やお好み焼きやパエリアやパスタやスープやと、たくさん作れて楽しそうなもの。そのときどきの雑誌や本で見た美味しそうなものを作る。
長男の友達にいろいろ話を訊いてみると、やはり朝ごはんを食べていなかったり、インスタントを食べたりもしている。それで、一方では、そういった食生活が、あまりよくないということも感じているのである。そこで、一緒に食事をすると、「うまいうまい」と喜んで食べてくれる。そんなときに、「この塩はさんご礁の海からとれた沖縄の塩だよ」とか、ときどき食材の話をすると「面白い」とちゃんと話を聞いてくれる。
高校生も大学生も食に対しては関心がきわめて強い。これは小学校の授業の体験でも感じたことだ。これから、地域活動で、機会があれば、親子が接する食の場を、いくつも作ってみたいと思うようになった。
■セミナーのご案内です。
第8回 都市経営セミナー
テーマ 「豊かさとゆとりを体感できるまちづくり〜団塊パワーの可能性を引き出す〜」
開催日時   平成18年10月5日(木)13:00〜17:10 
会 場   日本都市センター会館 3階「コスモスホール」
対 象   全国都市関係者(市区長、議員、職員等)
参加費   無料
主 催   財団法人 日本都市センター
後 援   全国市長会 /社団法人 全国市有物件災害共済会
プログラム  13:00 開会
・13:05 基調講演
「暖かいふれあいと生きがいのあふれるまちを!」
堀田 力(弁護士・さわやか福祉財団理事長)
・14:00 事例報告
黒須隆一(東京都八王子市長)
麻生圭子(エッセイスト)
・15:10 パネル・ディスカッション
「豊かさとゆとりを体感できるまちづくり〜団塊パワーの可能性を引き出す〜」  
・コーディネーター 
中邨 章(明治大学副学長・大学院長・政治経済学部教授)
・パネリスト
西寺雅也(岐阜県多治見市長)
津村重光(宮崎県宮崎市長)
金丸弘美(食環境ジャーナリスト)
細内信孝(コミュニティビジネス総合研究所所長・埼玉女子短期大学客員教授)
17:10 閉会
・申し込みは、以下のホームページから。
 http://www.toshi.or.jp/keiei_semi08.shtml
■発売たちまち増刷!
「東京の自給率は1%」「そばの自給率は14%」「食料の輸入が
とまると肉は10日に1食」など、食の姿が見えてくる48の事実を、
豊富なイラストで紹介するオールカラー・ビジュアルブック。
・『フードクライシス 食が危ない!』
・金丸弘美著 イラスト・ワタナベケンイチ 
・出版社:ディスカヴァー http://www.d21.co.jp
・価格1260円(税込) ・問合せ:電話03−3237−8991
「クロワッサン」「VOCE」「SPA!」「週刊現代」
「ダヴィンチ」「生島ヒロシのお早う一直線」「ビッグイシュー」
「生島ヒロシのエイジングジャパン」「FM東京」などで
多くのマスコミで取り上げられています。
メールマガジンhttp://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/9697.html
◎全国「食」の活動は毎日新聞デジタル「ゆらちもうれ」で連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
◎ホームページhttp://www.jgoose.jp/kanamaru/
ライターズネットワークhttp://www.writers-net.com/
・日本ペンクラブhttp://www.japanpen.or.jp/