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  旅日記 no.111
「港めぐりとお魚」
2006年10月4日
こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「港めぐりとお魚」のこと

大分県佐伯市、鳥取県境港市、長崎県平戸市と、ここ3週間で、湊をめぐることとなった。いずれも漁業をどう活性化させるのかと、いうことと、食での地域おこしというのが密接に関連している。佐伯市は「食育事業」という形で、境港は食の講演で、平戸は総務省の人材講座の講師で、ということでうかがった。

漁業の復興と町おこしといっても、一筋縄ではいかない。漁業も農業と同じ高齢化と従事者の激減を始め、漁獲量は30年前の半分、アサリやマグロのように採れなくなってしまったものもある。
漁業権の緩和、環境問題の取り組み、漁獲量と環境を考慮した漁業など、いくつかおおきな政治的な課題もたくさんある。おまけに魚の消費量は減っているのである。それも輸入が半分もあり、私たちの食べる二匹に一匹の魚は海外のもの。その海外のものに追われて国内の漁値はあがらないという構造になっている。

しかし、現場に行って思うのは、もっと身近な、だれでもできる改革が欲しいということである。どの町おこしをみても、大きなイベントがらみだったり、よく売れる魚に特化した、特産作りがされているのである。たとえば、佐伯市では、伊勢えびの振興をはかって「伊勢えび街道」というキャンペーンが張られている。また寿司のイベントも行われている。それも一斉に寿司。
 ネタが大きいのもので大々的に打ち出すというものだ。境港では、新しい弁当を考えたということで、弁当のイベントというものだった。

ところが、漁港に行って町を歩いてみると、もっと身近な、ふだんのお魚を気軽に、お洒落に食べてもらう提案がないなあと、つくづく思うのである。漁港の近くには、福島県の相馬や、境港には、魚の市場がある。その近くで販売されるのは、焼き物や練り物といった旧来の売り方である。その出口の食べ方が狭い。新鮮なイカなどが、たくさんあるのに、ぼくなどは、これでパスタを作ればおいしいだろうとか、小魚があるので、ブイヤベースが食べられるといいのにとか思う。雑魚の魚をすり身にして、この場で揚げて、あつあつのものを食べればうまいのに、と思うのだが、そんな気軽でお洒落で女の子や主婦が気軽に入れるような店がない。

そもそも、魚を食べる人が少なくなっているのだから、もっと身近なところで、魚の素晴らしさ、楽しさ、美味しさを伝えなければ、将来につながらないと思うのだ。どうしても特定の魚に特化してしまうのは、それが金額的、おおきな商いになるからのだが、しかし、足元で、魚が身近に食べられていないのでは、町や地域の活性化には、どうみても繋がらない。

佐伯市の漁港を訪ねて、組合長さんに話してみると、驚いたことに、僕と考えがまったく同じだった。「マグロの解体ショーなどをイベントをやったりしていますが、あれは一過性のもの。私らにとっては、日常の毎日入ってくる小さな魚をなんとかしたい。それを学校給食で食べてもらいたいし、お母さんたちに食べてもらいたいんです」とのこと。

そこで、僕は、自分のアイディアを話した。それは親子に漁港見学をしてもらって、プロの日常の魚を教えてもらう。その後に、プロの指導をうけて、その日あがった小魚を使って、ブイヤベースを作るというものだ。身近で簡単な提案。すると「そんなことだったら、ぜひ協力したい」とのことだった。

ほんとは、地元であれば、小魚も使って、寿司や、パスタや、ブイヤベースや、弁当や、給食やと、さまざな取り組みがあったほうがいい。それを妨げていることがいくつかある。それは給食であれば、メニューと大型化するセンター方式。今は、1000名を超える給食がざらにある。だからどうしても、人数分あわせようとすると、結果的に揃えられないとなって、給食はだせない。
また早々にメニューを決めてしまうと臨機応変に対応できないことになる。だから話し合って、どんな形の料理、魚なら可能か、にすることが必要だ。

また地元の料理店もメニュー優先で、小料理やレストランなど、どちらかというと特別なときとか、という店が多い。または逆に輸入の安い食材を使ったチェーン店となってしまう。もっと気軽にビュッフェ方式や、気軽なランチで、そのときのものを使うお店の工夫が欲しい。現に、三重県のモクモクファームや福岡県のぶどうの木は、地域の旬の食材を生かして、メニューではなく、素材を優先したビュッフェ方法で大人気になっているのである。

フランスやイタリアの評判の店というのは、地域のその旬のさまざまな形もふぞろいな食材を用いて、いかに創作して、自分の個性を活かすか、というのが、持ち味やブランドになっている。ところが、日本の各地をみてみると、どうしても同じもので、大々的にという打ち出し方がほとんど。結果的に無個性化している。

■セミナーのご案内
「おおいた・食と農を楽しむ食育の集い」

日時:10月21日(土曜)12:00から15:00
場所:ビーコンプラザ・フィルハーモニーホール
大分県別府市山の手町12−1 電話0977−26−7111
入場料:無料
主催:大分県・九州農政局大分農政事務所・食を考える国民会議
協力:大分県食生活改善推進協議会・おおいた食育コーディネーター
事務局:大分県生活環境部 食品安全衛生課 食品安全班
    電話097−536−1111
    FAX 097−533−9500

プログラム ・オープニングセレモニー 12:00〜
・食の文化祭 
・おおいた・食育シンポジウム 13:00〜15:00
 基調講演「食で創る魅力あふれる地域づくり」
 食環境ジャーナリスト・大分県食育アドバイザー 金丸弘美

・シンポジウム
コーディネーター 料理研究家 高橋知子
パネリスト
食環境ジャーナリスト       金丸弘美
湯布院料理研究家         前 岳
蒲江観光協会会長         橋本正恵
イモリ谷苦楽分まつぼっくり農園  荷宮英二
大分県合同新聞社編集局政治部   田中 竜
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5年間にわたり祭りを追いかけたフォトドキュメント
『えんや 写真集・唐津くんち』
写真・英伸三、文・金丸弘美(家の光協会)

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■テレビ放映のご案内
「Ageing japan」(生島ヒロシ司会):情報ワイド番組
番組コーナー:「金丸弘美のス農(ノー)フードな旅」
日時:全国の主要ケーブルテレビ120局で原則土・日
(週2回、月8回)繰返し放送。詳細はhttp://www.at-mie.tv/

◎メールマガジンhttp://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/9697.html
◎全国「食」の活動は毎日新聞デジタル「ゆらちもうれ」で連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
◎ホームページhttp://www.jgoose.jp/kanamaru/
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