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  旅日記 no.113
「本醸造の醤油の丸中醤油」
2006年10月18日
こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「本醸造の醤油の丸中醤油」のこと。

先日、醤油が数本送られてきた。鰹節の「にんべん」の常務の秋山洋一さんからの紹介である。秋山さんが東京農大の小泉武夫さんと滋賀県に行ったときに、相談をうけたものだという。送られてきた「丸中醤油」を、秋山さんからいただいた本枯節にかけて、オニギリを作った。最上のオニギリができた。

醤油は非常にまろやかで、上品。かおりが自然のさわやかな感じで、とてもデリケートな味わい。一味で気に入ってしまった。醤油が届いたその日、醤油の営業をしているという岡部敦子さんから連絡があり、一度、お会いしたいという。それで、祖師谷まできていただき、会ってみることとした。それは、いい醤油だったからだ。

彼女は、きちんとしたスーツ姿で祖師谷に現れた。食事をしながらの話となったのだが、営業は、ゼロから始めたのだという。もともとは両親がやっていた蔵。それを現在、弟さんと叔父さんが継いだというのだ。小さい頃は、地味で暗い蔵が大嫌いだったという。

ところが親がなくなり存続が危なくなったとき、突然、なくしたくないという思いがつのり、なんとか蔵を守り、存続させるためにも、醤油を売りたいと、思い始めたのだという。現在、あちこちに営業に行き、少しずつ理解者を探しているということだった。

醤油は、滋賀県の地元の大豆を使い、木桶で3年間寝かしてのもの。しかも大豆作りから農家と連携して行うという、最近では、めったに見られない、本格的な醤油である。どうりで、大豆のよさも十分に生きている。本醸造の醤油は、普通は1年半くらいの仕込みだが、丸中醤油は3年も寝かす。

なぜだろうと考えていたら、3年も寝かすのは、どうやら山間地で低温のために微生物発酵が弱く、時間がかかるからのようだ。
それで3年かけての熟成となるようなのだ。それが、丸中醤油のまろやかな、品のいい醤油となっている。これまで、あまり知られなかったのは、親が職人気質で、営業や広報をほとんどしてこなかったからだという。岡部さんは、後を継いだ弟や叔父に代わって、現在、営業中だという。

彼女にいくつかアドバイスをした。醤油の大豆作りや畑や、風景や、作り手など、ドラマをきちんとファイルにし、物語を売れるようにすること。いい食品店や加工品店と連携をとれるようにすること。本格的な醤油を語れるように、ポイントをきちんとまとめて、明確に個性を打ち出すように、話すこと、などである。そこまで、彼女に語ったのは、醤油が本物だったからだ。

最近、各地に行って、刺身をいただいたり、料理を食べたりするのだが、困るのが、醤油なのである。結構、促成の醤油もどきのものが非常に多い。脱脂大豆、アミノ酸、サッカリン、カラメル、グルタミン酸などの入った、醤油もどきを平気で使ってる。それを地元の人がまったく理解していない。料理店やすし屋でも平気で出てくる。おかげで素材が台無しだし、料理そのものが人工調味料の味が強くて、後味が悪い。

奄美の徳之島もそうだし、鹿児島や、大分や、佐賀でも、促成の醤油もどきの「醤油風調味料」が、まかり通っている。醤油だけでなく、味醂、料理酒も、たいてい、「もどき」商品である。それで、地域の食の町おこしなどといって、料理コンテストや、食での観光をうたっているところが少なくない。この人工調味料を、ぜひやめて欲しいのである。なにせ、料理がほんとうに不味いのだから。

その点、丸中醤油は、大豆、小麦、塩だけの本格派。この醤油ならお勧めできる。今や希少性の高い商品。ぜひ一度試してみてほしいものである。

蔵元 丸中醤油株式会社

(販売事業部) 岡部敦子

(蔵元) 中居真和
滋賀県愛知郡愛荘町東出229
電話0749−37−2719
FAX0749−37−4363

■「料理を楽しむワークショップ」のお知らせ。

大分県の「食育事業アドバイザー」をしています。
毎月、美しい竹田市に行っていますが、こちらは100年前から薬用としてサフランが栽培されています。そこで、農家の周辺の美しい景観と歴史ある農家の建造物を生かしてのワークショップを提案したところ、実現することとなりました。

11月に美しい薄い紫の花を咲かせます。サフラン農家を解放していただき、サフラン農家での料理会を開催します。

・日時 11月8日(水)10:00〜14:00
・場所 大分県竹田市 サフラン農家の庭先
・参加者 限定30名(締め切りは10月末日)
・参加費 3,000円(雨天決行)

・当日は、お料理に参加していいただき、体験しながら味わっていただきます。

・内容
*サフランのお話とサフラン摘み体験
*パエリア作り(2種)
  佐伯からの新鮮な魚介たっぷり〜海のパエリア
  竹田の旬の食材をちりばめた〜山里のパエリア 
*生ハムのマリネサラダ
  辰巳芳子先生ご指導により久住高原で作られた生ハムを使ったサラダです
*デザート作り
  サフランの花びら入りの美しいかぼすゼリー
*飲み物
  汲んできた入田の名水でかぼすハニー・サフラン水をお楽しみ下さい
*おまけ(お土産)
  サフラン入り地鶏めしおにぎり 

・申し込み・お問い合わせは
竹田研究所
〒878-0011
大分県竹田市大字会々2250番地1(竹田温泉花水月内)
TEL 0974-63-0585 FAX 0974-64-1127
H P : http://www.taketan.net/
E-Mail: takeken@oregano.ocn.ne.jp

金丸弘美
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■秋祭り「唐津くんち」の本絶賛発売中!
5年間にわたり祭りを追いかけたフォトドキュメント
『えんや 写真集・唐津くんち』
写真・英伸三、文・金丸弘美(家の光協会)

3年間にわたり100人をインタビューした祭りを作る人々
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金丸弘美著(無明舎出版 全国図書館協会選定図書)

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■テレビ放映のご案内
「Ageing japan」(生島ヒロシ司会):情報ワイド番組
番組コーナー:「金丸弘美のス農(ノー)フードな旅」
日時:全国の主要ケーブルテレビ120局で原則土・日
(週2回、月8回)繰返し放送。詳細はhttp://www.at-mie.tv/

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