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  旅日記 no.115
「FOOD」
2006年11月1日
こんにちは、金丸弘美です。
今日は「FOOD MAESTRO COOKING SCHOOL」のお話

 バンタンデザイン研究所の別組織であるシンプル・アイの「FOOD MAESTRO COOKING SCHOOL」が、始まり、その2回目の講座で呼んでもらった。この講座は、基本の食材を使って18回のコースで学ぶ味覚の講座。僕が担当したのは、「塩」である。さまざまな塩と、その重要性について紹介を行い。最上の食材でおにぎりを作るという、きわめてシンプルな講座だ。

きっかけを作ってくれたのは、トリノで行われるスローフードの最大のイベント「サローネ・デル・グスト」で会った、柴田香織さん。彼女は、スローフード協会が設立した食文化大学の専門課程の一期生である。彼女は、一年間の大学の授業を受けて、今年の4月に帰国した。

彼女とは、イタリアにいるときからやりとりをしていたのだが、話がいろいろと共通すことがあって、意気投合したのである。柴田さんは、もともとJR企画という代理店にいて、なにか新しいことをと、思い切ってイタリアの大学におもむいたのだという。
彼女がイタリアに行って、共感し、非常に感銘を受けたというのが、「味覚の講座」のワークショップである。

僕も、食材を使った「味覚講座」は、すっかり魅了されてしまった。地域にある食材の、歴史、加工法、味わい、香り、食感、形状から、生産、そして料理法までを学んでいくものである。味覚こそ地域の文化であるというコンセプトのもとで行われている。
これは広く消費者に、本物の素材を知らしめ、地域の食材の素晴らしさをアプローチする講座。ワインはもちろん、チーズ、オリーブオイルを始め、ありとあらゆるものがある。

この味覚講座は、食材を知るというだけでなく、味覚を表現するという表現力を養い、その食の持つ表情を表すという特徴がある。
自分自身が、文章を書いていることもあって、食べ物を表現することがいかに難しいかをよくわかっている。だからこそ、食材の表情を読み取るという、味覚の講座にひかれた。

それだけではない。地域の本物の食材を広くアプローチすることで、消費者に知らしめ、その価値を認めさせ、購入させ、マーケットに残すという、きちんとした経済活動に繋がっている。食材をとうして地域の存在を知らしめ、それが特産品作り、地域のグルメツーリズムの観光行政と密接に繋がっているのである。さらに、学校教育から大学、出版、イベントまでが、一貫して貫かれている。そのブランド戦略には、驚かされた。それをまた州政府を始めとする行政、企業がスポンサードして、支援しているのである。

つまり、地域の食材をしってもらえれば、特産品としてきわだつのはもちろん、観光において、そこにしかないグルメツーリズムに直結し、観光資源として大きな資産となるという考えだ。イタリアのスローフードの背景には、中山間地の農業の衰退と後継者不足、経済の安定が背景にある。EU諸国を始めイタリアは、山間地の農業への生産物の支援という形をとっていない。環境を守る農業に対しての環境支払いをいう支援制度をとっている。日本とはまったく違うのである。

環境を守る農業で、景観保護をする。農家にホテルなみの施設をしてもらい、そこで泊まってもらう。そして、地域ならではの食材をつかった料理と地域のワインが登場する。という形になっている。つまり農業景観と宿泊と料理とが三位一体になっているのである。そこにスローフード協会の、味覚講座という戦略がある。
そのあたりを具体的にわかって、スローフードを取り組んでいる人は、ほとんどいないだろう。国内では、スローフード以前に、すでに同じ戦略構想で動いていた大分県の大山農協や、三重の手づくりモクモクファームなどがある。だが、ほとんどの地方行政では、まだ形になっていない。

また「食育」では、食材の言及というところには、いたっていない。日本は栄養価が主体であって、米が400種類あって、それぞれに味が違うことや、トマトが200種類あることや、大豆が500種類あることなどや、大根が100種類、カブが60種類など、その地域で違う品種があり、それぞれの形状、味、香りが、違うなどという講座をしているところはない。食のブランド作りにおいても、個性を見極める味覚表現を戦略としているところなど、ほとんどないだろう。

そのあたりの味覚の文化を構築したいと動き始めたのがバンタンデザイン研究所。そうして柴田香織さん。彼女は精力的に、料理家、大学教授、食品会社を回っている。僕の味覚講座の塩とオニギリも、ジャパンソルトの塩、新潟・萱森農園のコシヒカリ、宮城県のふゆみずたんぼ、武富勝彦さんの雑穀、にんべんの本枯節、丸八製茶場の加賀棒茶、大山町農協の梅干、滋賀県の丸中醤油など特選素材を集め、その人たちであわせることができる人は彼女に紹介もした。トップのプロから最高級の食材を集め取材も行っ
た。テキスト作りも始まった。新しい活動にわくわくしている。

■「唐津玄海の食プロジェクトが始動!」
○唐津特産市
 唐津くんちで、海、山、川、台地など多様で豊かな自然と食の資源を持つ唐津ならではの食べ物を一堂に集めた特産市を開催。
・日時  11月3日(祝)・4日(土)9時から17時
・場所  唐津ふるさと会館アルピノ
     唐津市新興町2881−1(唐津駅東側)
・問合先 佐賀県くらしの安全安心課(0952−25−7096)
唐津市地域振興課(0955−72−9220)

○ワークショップ「オイスターアラカルト」(味覚講座)
 唐津の美味い牡蠣(オイスター)を最上の日本酒とともに。
・日時  11月28日(火) 15時〜16時30分
・場所  旧唐津銀行 唐津市本町1513
・内容  唐津の各地区の牡蠣と他県の牡蠣の味覚講座
 天然物 高串産(肥前町)、浦産(唐津市)、串浦産(鎮西町)
養殖物 唐房産(唐津市)他県産 
・参加者 プロジェクト実行委員会+唐津市及び玄海町の関係者
・参加費 1,500円程度(予定)
・問合先 佐賀県くらしの安全安心課(0952−25−7096)

○シンポジウム「スローフードと地域活性化」
 スローフードの専門家や全国から選りすぐった実践事例の関係者が一堂に会して、食による地域活性化をテーマに議論するシンポジウムを開催。
・日時  11月28日(火) 18時〜20時30分
・場所  唐津市高齢者ふれあい会館「りふれホール」(定員200名)
唐津市二夕子3丁目155−4
   電話:0955−72−9611
・内容 
・主催者あいさつ(プロジェクト実行委員会会長)
・唐津玄海の食プロジェクトについて(金丸弘美氏)
・実践報告 松崎了三氏(高知県馬路村ゆず販売戦略仕掛人)
      河野友通氏(大分県竹田市観光課)
      小役丸秀一氏(福岡県岡垣町ぶどうの樹オーナー)
・パネルディスカッション
テーマ「食による地域活性化」
コーディネイター 金丸弘美氏
パネリスト    実践報告者3名
・問合先 佐賀県くらしの安全安心課(0952−25−7096)
■ラジオとテレビ出演
TBSラジオ環境プロジェクト(TBSラジオ関東ローカル)
「今日よりちょっといい、明日を」
11月4、11、18、25日(土曜日)午前5:20〜5:30
パーソナリティー 柳井麻希 

■テレビ放映のご案内
「Ageing japan」(生島ヒロシ司会):情報ワイド番組
番組コーナー:「金丸弘美のス農(ノー)フードな旅」
三重県伊賀市「モクモク手づくりファーム」を紹介します。
http://www.moku-moku.com/
日時:全国の主要ケーブルテレビ120局で原則土・日
(週2回、月8回)繰返し放送。詳細はhttp://www.at-mie.tv/

◎全国「食」の活動は毎日新聞デジタル「ゆらちもうれ」で連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
◎ホームページhttp://www.jgoose.jp/kanamaru/
◎ライターズネットワークhttp://www.writers-net.com/
◎日本ペンクラブhttp://www.japanpen.or.jp/