こんにちわ。金丸です。
今日は「豊後大野市・玖珠町の食育事業」の話です。
平成18年、19年と日本でも初めての「大分県食育事業アドバイザー」として、竹田市、佐伯市、玖珠町、豊後大野市と2年間にわたって、4つの地域にほぼ毎月うかがった。今回が最終回。
2月19日から大分に入り「老人クラブ・イキイキげんき大学」で豊後大野市と狭間の2箇所で講演。テーマは「食文化を伝える 地域に根ざした食育と高齢者の役割」。
それぞれ満員。家族が住む徳之島の長寿の調査の内容と、各地での高齢者がかかわる地域づくりを紹介して好評だった。長寿といわれる奄美や沖縄で、若い世代で生活習慣病が広がり、長寿が足元から崩れていることが調査でわかり、伝統的な食文化を見直しをする取り組みが行われていることを話した。
奄美、沖縄は、本土から押し寄せてきた現在の簡易な食生活が広がり始めており、このままにしておくと、あと20年後には長寿はいなくなるかもしれない。
2月22日は豊後大野市での一年間の取り組みの発表会。担当は企画課の河室晃明さん。河室さんとは、お茶の試験場を開放しての手作り紅茶とティスティング、木造と土壁の民俗館での日本酒と和食での中秋の名月の料理会、野菜のスィーツなど、地域の物作りの達人を連携してかなりグレードの高い食のワークショップを行った。このままで、観光とブッキングすれば、メインのものとなるだろう。それくらい洗練されたものだった。
また小学校6年生たちと行った「朝ごはんを食べよう」も、すぐれもののワークショップ。保健課や地域の方々の協力で、2回にわけて実施。一回目は、さまざま料理をカードにして、それを組み合わせてグループごとに、朝ごはんをシュミレーションをしてみる。そこから次に栄養バランスを考えて、もういちど理想の朝ごはんを組み立てるというもの。
2回目は、調理実習で、実際の地域の素材を使って、味噌汁やスクランブルエッグなどを使い、朝ごはんを作ってみるというもの。6年生に尋ねてみると、意外や家では料理をしていないことが判明。しかし、自らやってみて、しかも地元の素材で作ったものは、とてもおいしくて好評だった。
2月23日は玖珠町での一年間の取り組みの発表会。ゲストに熊本県人吉市「ひまわり亭」の本田節さんを呼んで「食からはじめる地域の輪」をテーマに講演をしていただいた。本田さんは東京のグリーンツーリズムの会でお会いし、その後、竹田市のシンポジウムにお呼びしてすっかり仲良くなった。
彼女は民家を移築し、地元の野菜を使い四季を織り込んで、栄誉バランスまで考え、調味料から手配しての本格的なレストランを運営している。年間5万人を集める。彼女のところへは玖珠町から多くの人たちが視察に行き、地域のものを生かした健康づくりの食のありかたを学び、それは、さっそく農家の民泊に活用されることとなった。しかも調味料や味噌も手作り、塩も大分のものを探すということで、素晴らしい形に広がることとなった。
本田さんの講演後に、彼女も交えてのパネルディスカッションを行った。玖珠町は保健課が担当した。女性人が着実に地味だが、妊婦、乳幼児の親子、保育園、小学校、中学、高校、農家民泊まで、地域全体にまんべんなく同時進行で「食育」の活動が行われた。小さい町だからできたとは思うが、しかし、これだけ地域のあらゆる階層にむけて一年間でやりとげた町は、ほかに見当たらないのではないか、そう思うほどの素晴らしい取り組みとなった。
農家民泊は今年で3年目。17軒の農家が取り組み、北九州から12校の中学生を迎えている。2007年は3000泊。料金は一泊2食付で6000円。2008年は4000泊の予定という。
「玖珠町グリーンツーリズム研究会・農泊部会会長」の宿利忠明さんは「子どもたちが来て、花が綺麗とか、川に魚がいるとか、私たちが普通と思っていることが、どんなに素晴らしいことかということを気づかされた。子どもたちに村の素晴らしさを教えられた。おかげで、とても元気をもらった。もっと地域のことを知って、子供たちに伝えられるようにしたい。これからもやっていく自信になりました」とのことだった。
なんとも嬉しい時間となった。こういった取り組みを広げたい。伝えたい。大分県での活動は、多くの共感する仲間ができ、実行し、現地で形となり、それを着実に広げる人たちがいる。とても手ごたえを感じた2年間だった。そしてメディアを通して100媒体以上に発信された。本にもなった。これから、さらに全国に広げていきたいと思う。
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イタリアでのスローフード協会の食のワークショップや、静岡の小学校の「おにぎり」での味覚の講座、徳之島での1200名の長寿の食の調査と町を巡るワーキング、全国の学校給食の現場など、自ら参加したものをメインにまとめました。
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金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
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