こんにちは。金丸弘美です。
佐賀県の山内町でのパチンコ店の建設反対の運動が地元で始まった。
僕はめったなことでは、反対運動などしないのだが、今回は地元の自然景観を生かした街づくりを進めている若い人たちに共鳴して、町に手紙を送った。その手紙が建設反対のキャンペーンに使われることとなった。
反対運動はすでに大きな反響を呼び、また署名も続々と集まり新聞でも報道された。以下にその手紙の全文を紹介する。
長尾光義町長殿
稲田幸男助役殿
初めてお便りします。
実は、山内町にパチンコ店ができるという噂を耳にして、非常に残念に思いペンをとりました。
山内町には、商工会の講演で呼ばれたこともあり、とても思いの深いところです。なにより景観が美しく佐賀県のなかでも、里山や農業景観が素晴らしいところとして、とても印象に残ったところです。また町としても、『黒髪の浪漫と自然公園の町』を掲げ、その方針を町の景観作りにも生かしている稀有な例として賞賛もしておりました。
さらに先般は、地域食材で料理を扱う『なな菜』も開店して、大変盛況だとお聴きし、とても喜んでいました。それこそが、今、賢い消費者や観光客が望むことであり、もっとも時代にかなったものだからです。
ところが、今度、パチンコ店ができると聞いて、信じられない思いです。これでは町が掲げる方針とは矛盾するし、また国や県が進めているツーリズムや農業景観の保護や、環境保全の方向とは、真っ向から反することになります。
なにより、これだけ何百年もかけて生まれ、しかも県内でも数少なくなった美しい景観を損ねることは犯罪行為にも等しいことだと思われます。
いちど景観を崩してしまえば、もう元には戻らないでしょう。
また、遊興施設を設けても、他の町がさらに大きな施設を作ればたちまち閑古鳥の憂き目にもあいかねません。また、子供たちの自然環境、教育環境を台無しにします。
なにより、今時代が、国さえも、自然景観を生かしたツーリズム、環境保全、農業活性化、食育を推進している中で、もっとも時代錯誤な、視野の狭い、貧困の発想といわねばならないでしょう。
町長はどう考えていらっしゃるのでしょうか。もし、あなたのお孫さんが、あるいは都会に行った子供たちが、将来の山内町を見た時に、「昔、美しかった町の山々を、こんなひどい環境の町にしたのは、おじいちゃんのせいだったの?」と言われてもよろしいのでしょうか。
今からでも遅くはないと思います。目先のわずかなお金儲けの奴隷になることなく、また業者のいいなりになることなく、どうか未来の子供たちに、素晴らしい先祖が残した環境を、町が掲げている『黒髪の浪漫と自然公園の町』を裏切りませんよう、ぜひパチンコ店建設を踏み留めてください。
この件に関しては、知事も含めて、県内の有識者、マスコミ、多くの関係者の方々にも広く知らしめるとともに、大きな判断も仰ぐ所存でもおります。
心よりお願い申し上げます。
食環境ジャーナリスト 金丸弘美
山内町は、僕の実家のある唐津から車で30分ほどにあり、里山が美しいところなのである。焼き物の伊万里市と有田町にはすぐ近く。陰で焼き物を支えてる町でもある。人口約9800名 世帯数約2650で、農業も多い。
その町のホームページには、「その土地に伝わりゆく誇るべき風習を「美風」と呼びます。
ここ、山内町は、そんな誇るべき歴史や文化、そして自然の風が、心地よくそよぐ「美風」の町です。
きっとこの町を訪れると、あちこちで美しい風たちが、忘れかけたやさしい時を、あなたに届けてくれることでしょう」と、ある。
町の掲げた自然のある町を生かそうと、町の若い人たちが、地域農産物と地域の焼き物を使ったレストランや、農産物や加工品の販売を始め、大変な反響を呼び、その人たちがパチンコ店の反対に立ち上がったので
ある。だから、僕は彼らに共鳴して手紙を出したのだった。
◎山内町役場
〒849-2303 佐賀県杵島郡山内町大字三間坂甲13800番地
TEL:0954-45-2511 FAX:0954-45-2564
e-mail:yamauchi@town.yamauchi.saga.jp
http://www.town.yamauchi.saga.jp/
■新春のラジオ出演のお知らせ
◎金丸さんとピーターさんに聞く、
「新春鼎談★2005年LOHASと食育の行方」(予定)
番組名:J-WAVE「LOHAS MORNING」
(番組内の「センスオブライフ」のコーナーです)
ナビゲーター:鳥越さやか
放送日:1月3日〜1月7日
放送時間:朝6時45分頃〜10分間
http://www.j-wave.co.jp/original/lohas/
鼎談に参加くださるピーター・D・ピーダーセンさんはLOHASの考えを日本に初めて紹介した方。
環境コンサルティングを手がける会社、「イースクエア」の代表取締役社長です。月刊誌「ソトコト」(木楽舎)1月号に特別インタビューが載っています。