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  旅日記 no.180
「安心院の農家レストラン」
2008年3月7日
こんにちわ。金丸です。
今日は「安心院の農家レストラン」の話です。

 大分県豊後大野市、玖珠町から宮崎に行くことになって、その間で、半日時間が空いている、といったら、「どこか行きたいところありますか?」と、尋ねてくれたのが、堀米千恵さん。彼女は、大分県竹田市が気に入り住み始め、現在は、「読売新聞」の竹田支局の記者になっている。彼女は、大分の「食育ネット」のメンバーで、竹田では、毎回、食のワークショップのスタッフとして参加してくれた。

それだけでなく、時間があると、いろんなところに連れて行ってくれる。それが、どこも素敵なところだったので、今回も「お任せします」と言っておいいたら、県の食育担当の川ノ上実君とで、「安心院にしました」と言う。とても嬉しかった。というのは安心院は、グリーンツーリズムで有名で、一度行ってみたいと思っていたところだったからだ。安心院は、大分県の北部の中山間地。人口8000人の農村地帯。2005年に合併して宇佐市になった。

湯布院の駅で待ち合わせて、ちょっと地元のチョコレートショップに寄ってから、ということになった。湯布院は久しぶり。裏通りに入ると素敵な店が多くて、なんだか表参道の裏通りとほとんど変わらない。洗練された店が多く、すごいなあとすっかり感心してしまった。

向かったのは、時枝仁子さんの「百年乃家 ときえだ」である。時枝さんの家は、どっしりした門構え。古くからの家屋を活かして、リニューアルをし、新しいのだけれど、古い梁や屋根裏の部屋や、大きな広間などが、とても素敵に演出してあった。とても清潔で、部屋の雰囲気がとてもいい。裏には山がある。

農家民泊のおかみさんを推奨する制度が「財団法人都市農山漁村交流活性化機構(愛称:まちむら交流きこう)」で、今年から始まり、全国で20名が本年度選ばれた。そのなかに時枝さんも入り、この日はお祝いの会だという。それで料理はだせないということだったらしいのだが、それでも、手作りの自家製味噌を使った鍋とおにぎりでもたなしてくださった。

2007年から予約制でレストランも始めたという。3人以上で30名以内。ランチは1500円から。一年間で4、500名がみえたという。泊まりの客は100泊になるという。1泊4500円(朝食つき)で、夕食は1500円。1泊2食で6000円。

この地域は、昔は養蚕が盛んだったところだという。時枝さんのところは米が1・5haと野菜を少し作っている。そのほかに桑畑だった2haで、野菜を作っている。地域の農家は、農業だけでは、食べていけない。そんななかで、農家で普通の営みを体験してもらう農家民泊が始まった。

スタートは、1966年。ブドウ農家の宮田静一さんを中心に、地域の30名から始まった。現在、宇佐市だけで50軒が取り組んでいる。この制度は大分県全体にひろがり、今では、玖珠、豊後大野など、全体で150軒になるという。全体の質を落とさず、農家民泊のよさを知ってもらうために、「グリーンツーリズム実践大学」を開催しているばかりか、みんなで積み立てをして、海外研修も行っているというから驚きである。
http://www3.coara.or.jp/~ajimu/mokuji.html

以前東京で「大分学」という講座が開かれて、湯布院の取り組みが紹介された。そのときの旅館のおかみさんが講座をしたのだが、そのときの話が、今でも忘れられない。「安心院は、農家に泊まるグリーンツーリズムが盛んです。安心院の農家の女性人は、とても勉強が熱心で、私たちの旅館も高いお金を払って、ちゃんと泊まりにきて、どういうもてなしがされているのか、学んでらっしゃる。そういう姿勢が、安心院を力のあるものにしているんですね」

その話を時枝さんにしたら「ほんとですか。そんな話がでるなんて嬉しいですね」とにっこり笑顔になった。

金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎ホームページ
http://www.banraisya.co.jp/kanamaru/home/index.php
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