こんにちは。金丸弘美です。
一月に久々に唐津に行った。農業改良普及所の講演だったのだが、町おこしのメンバーと会ったり、古川康佐賀県知事のラジオ番組にゲストで出演したりの多忙な帰郷となった。
とくに印象的だったのは、唐津、東松浦地区にも農家の直売所(ファーマーズ・マーケット)と呼ばれる売り場やレストランがたくさんできてきて競争がきびしくなり、いよいよ個性化の時代になりつつあるということだった。
農家の直売所は、全国13、000ヶ所はあるといわれていて、農家として自分で値段をつけて直接販売することで、現金収入になる。消費者にとっては、新鮮で値段も手ごろということで人気がある。ところが、あちこちに似たようなところが建ち始めると、集客・売上げともにおぼつかなくなるのが現状だ。おまけに値段を安くしているとすぐに頭打ちとなり、先が見えなくなってしまう。
そこで、独自の戦略が必要になってくる。この直売所も最初のころは、町が出したり、農家がまとまって出したり、道の駅に併設されたりするのだが、販売、加工、サービスまで、計画的に配慮したものが案外少ない。何件か訪ねたのだが、あるところは商品に統一性がなく、どこにでもあるようなものが結構多くあり、魅力にかけていた。またあるレストランは、料理はいいのだが、建物を先に町で建ててしまったために、厨房も狭そうだし、外見もファミリーレストランのようで、ちょっと入りにくい。
そんな中でも個性が際立っていたのが、七山村の直売所「鳴神の庄」で、ここは人口わずか3、000人あまりだが、売上げは2億4、000万円もあり群を抜いていた。しかも販売しているのは、地域の農産物や加工品で、そこに徹底していることが、独自性につながっていると言えるだろう。つまり、そこで何を売り、どう展開していくかを、きちんと計画しておかないと、ただ新鮮なだけでは難しいということである。
そんな中で、町おこしの人に紹介されて何軒かの唐津のレストランを訪ねた。知らないうちに新しい店ができていたりして、へぇと感心したりした。唐津市西寺町には地場素材にこだわったイタリアンの「Deux Cent Deux」というこじんまりした良い店があった。そこを訪ねたとき知り合ったのが、呼子のフレンチのシェフ、前山仁さんだ。
翌日さっそく呼子へ行き、海のすぐそばにあるフレンチ「セゾンドール」を訪ねた。地場の魚を使った創作フレンチで、非常に上品で量も適度。素材の持ち味を生かしていて、とても美味しくいただけた。この店を母に話したら、すぐにうちの従姉妹たちと行ったらしいのだが、とても良かったという。
私はそこで、私たちが知ったお勧めの店だけを推薦し、本物素材を扱う農家だけを紹介する・・・そんなネットワークを作ろうと言ったら、農家、栄養士、町おこしの何人かの人たちが賛成してくれた。
そのことを県知事にも話したら、応援してくれるという話になった。
みんな、そんなネットワークが欲しかったという。さっそくみんなに声をかけ、いよいよ佐賀県から新しい食の団体を立ち上げるつもりだ。
■2月21日に開催予定のフォーラム概要をお知らせします。
主催 読売新聞西部本社
テーマ 食育と佐賀のスローフード(仮)
会場 佐賀市民会館大会議室(佐賀市水ヶ江)
パネリスト 環境ジャーナリスト 金丸弘美氏
村岡総本舗社長 村岡安廣氏
佐賀県知事 古川康氏
佐賀県食育推進研究会長 渋谷里美氏
葦農会代表 武富勝彦氏
基調講演 金丸弘美氏
午後1時30分開会です。
基調講演は、開会あいさつ後に45分程度。
2時半―3時45分まで、パネルディスカッション。
4時閉会予定です。
今回のフォーラムは、「農業の現場と食卓をつなぐ」
「佐賀の農業を発展させ、食文化を見直すと共に、豊かで健康的な食生活につなげる」がテーマです。
■新刊がでました。
『生産者のためのスローフード入門』(ベネット)
金丸弘美著 定価 1000円
問合先03−5913−2627ベネット・担当 中村、青木)
(申込FAX03−5913−2628)
(冊数:送料1冊210円、2冊310円、3冊以上サービス)
●金丸弘美正式ホームページ
http://210.255.173.147/tml/kanamaru/kanamaru.html