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  旅日記 no.044
「奄美諸島をもっとも素敵に紹介する「HORIZON」という雑誌」
2005年6月15日
こんにちは。金丸弘美です。
今日は「奄美諸島をもっとも素敵に紹介する「HORIZON」という雑誌」について

徳之島の「幕末アンパンプロジェクト」メンバーとちょうど入れ違いに、今度は鹿児島からの取材陣・久保等さんと、浜田太さんと、沖縄の粟国島から「沖縄海塩研究所」の小渡幸信(おど・こうしん)さんがやってきた。空港で「幕末アンパンプロジェクト」の澤畠さん、木村さん、加藤さんを見送り、今度は、新たに来島メンバーを迎えるということになった。
久保等さんは、秀巧印刷�蠅亮�児島支店の支店長。秀巧印刷は、タウン誌で、九州でもトップを走っていた「福岡タウン情報」を出していたところである。なにせ15万部を誇っていたのである。もっとも、タウン誌は無料の情報誌各社が次々に発行、またインターネットの出現に押されて、休刊となり秋に改めて新雑誌が登場するという。

久保さんの徳之島の訪問は、実は鹿児島県が来年に出す鹿児島のPR広報誌の取材のためであった。秀巧印刷�蠅�、鹿児島県の仕事を引き受けたのだという。県の広報誌に初めて奄美の各島を特集するということになって、僕と仲間を取材するというのだという。この話は、空港で初めて知ったのだが、段取りをしたのは徳之島観光協会の丸野清さんだった。島の宣伝になるのならと、徳之島の魅力について話した。このときのカメラマンは、浜田太さん。奄美大島に住み、「HORIZON」という奄美の広報雑誌を出している。


実は取材を喜んで受けたのはカメラマンが「HORIZON」の編集者であるということがわかったということも大きい。「HORIZON」は、個性的な奄美諸島のPR雑誌で、非常にテイストが高い。全国各地を巡っていることもあって、各地の県や町の観光用の広報誌を見る機会が多いのだが、どれもこれもどんぐりの背比べ。最近は写真も綺麗だが、構成がだいたい決まっていて個性的なものがない。というのもどれもあらゆるものを均等に紹介していて、主張が弱いのである。

そんな中で図抜けているのが、奄美の「HORIZON」なのである。
まずカメラマンが編集者だから、写真が中心で、美しいのである。
次に編集の視点がきわめて面白い。例えば、奄美の食についての料理はもちろん、食材についてまで丁寧に豊富な写真で紹介されているばかりでなく、食文化についても専門家の手できちんと裏づけが取材されている。僕は島にきて初めてのとき、徳之島の空港で「HORIZON」をみつけて、バックナンバーをすべて揃えたほどである。

「HORIZON」は、年2回発行されているのだが、毎回特集形式になっている。奄美の島々、鳥、蝶、夕日、海、食、魚、などが、その歴史的背景を含めて紹介される。また、島に住む民俗学者や、それぞれの分野の研究家といった専門家も登場させて、裏づけのとれた紙面づくりがされているのである。

浜田さんに尋ねたら、もともと都会でカメラマンをしていて、島に戻ってきたUターンメンバー。最初は、都会からの仕事を引き受ける仕事だけをしていたという。ところが雑誌やPR雑誌の都会からの仕事を受けると、相手の奄美のパターンがだいたい決まっていて、どれも似たようなものになってしまう。奄美にはいろんな顔があるのに、と思っても伝えられない。それで雑誌を出すことにしたという。

「最初は苦労しました。奄美の観光協会がついて、買い上げてもらうことができるようになって、なんとかやっていけているのです」と浜田さん。奥さんが編集長をしているのだという。それにしても、広報誌としては、もっともグレードが高い。僕が見た中では、おそらくナンバー1でないだろうか。

この「HORIZON」のよう視点こそが、全国の町の観光PRの広報誌に欲しいのである。いつも各地の観光の売り込みで相談されたときには必ず「HORIZON」の例を話すのだが、なかなか理解してくれる人は少ない。
今、無料のPR雑誌やインターネット情報があふれるなかで、ここしかないという切り口で見せてくれる地方からの訴求と発信能力が求められている。それを「HORIZON」は、見事に実現している稀有な例だろう。

http://www.amami.or.jp./horizon

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【講師プロフィール】
ノンフィクション作家・ドキュメンタリー映画監督・東京新聞記者。愛媛県生まれ。青年海外協力隊としてエチオピアで活動後、コロンビア大学大学院修了。
東京新聞にカメラマンとして入社後、記者に転じる。一方で、カンボジアやルワンダ、アフガニスタン、イラクなどを精力的に取材し、ノンフィクション作品を発表。近年は、ドキュメンタリー映画の制作・監督もこなす。93、94年東京写真記者協会賞、95年開高健賞を受賞。

主な著書に『漂泊のルワンダ』(TBSブリタニカ)、『青年海外協力隊の正体』(三省堂)、『いきあたりバッチリ』(新潮社OH文庫)、『なぜ記者は戦場に行くのか』『イスラム銭湯記』(現代人文社)、『イラクりょこう日記』(妻詠美子さん・長女ふみさんとの共著、エクスナレッジ)、『人質』(郡山総一郎氏との共著、ポプラ社)、『なぜ日本人はイラクに行くのか』(平凡社新書)など。ドキュメンタリー映画に『アフガン戦場の旅』『笑うイラク魂』『戦場の夏休み』『人質』などがある。
ホームページはhttp://yoshi.net/


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・4年前に奄美諸島・徳之島に家族が移住したことから始まった25の物語。「ゆらしぃ」は、島の言葉で「ゆっくり」の意味。
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