こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「山口怜子 アンコール展 パッチワークの世界」のお話。
パッチワーク・アーティストの山口怜子さんの個展「山口怜子 アンコール展 パッチワークの世界」の案内をいただいた。9月6日から14日まで、福岡の三越で行われるという。
チラシには、色彩豊かな男女の姿が見事に描かれている。使われた布地の色合いの組み合わせと、それを縫い綴った繊細で、それでいて優雅な広がりは、とても素晴らしい。派手なのに、なぜか落ち着
いて、心が和むのは、基本に日本の古い生地が使われ、その日本の色彩が、そもそも自然のなかから生み出されたものだからかも知れない。その素材の融合が壮大な宇宙を創り出している。もっとも、そこに山口さんの大きな包み込むような、たおやかな視点があっての造形だからだろう。
今回の個展は、日本の巡回展のアンコールということなのだが、注意深くみると、山口さんが、関わってきた農家の人々との無添加の地域の加工品も多数陳列され販売されるという。
山口さんと知り合ったのは、2002年のイタリアのスローフード・アワードの授賞式のときである。スローフードのことが知りたくて、スローフード協会が主催する食の祭典トリノの「サローネ・デス・グスト」に出かけたときに、世界の優れた生産者を紹介する賞があり、その授賞式で初めて日本人として受賞したのが、同じ佐賀県で面識のあった武富勝彦さんだった。
授賞式は、なんとオペラの格式ある劇場で行われ、つまりは、食文化は、芸術であるとのコンセプトから、会場が選ばれているらしかったが、その演出の奇抜さというか、展開の見せ方に笑ったものの、スローフード協会のこだわりに、感心もしたのだった。なにせ、受賞者は民族衣装を着ることになっているらしく、会場の舞台に現れた武富さんは羽織袴で、最初は誰かわからなかったのである。このあたりも、あとでわかったけれど、対外のマスコミ向けの演出も考えての計算である。スローフードは、したたかなのだ。
その後レセプションがあったのだが、武富さんの傍らにそっと黙って座っていらしたのが山口さんだった。
帰国後、僕の故郷の唐津の秋祭り「唐津くんち」に、武富さんを誘ったところ、一緒にきてくださったの山口さん。実は、山口さんが、世界的に知られたパッチワークアーチストであるとは、まったく知らなかったのだ。教えてくれたのは、実はわが母と、従姉妹たちである。母も従姉妹も山口さんの個展は見たことがあり、大ファンだったのだ。そればかりではない。高校の先輩たちも山口さんのことは、よくご存知であった。つまりは知らなかったのは、私だけであったというわけだ。
昨年、武富さんの誘いもあって、というか、武富さんの仕事もみたくて、大分県の地蔵原という湯布院からさらに先にいった小さな山の頂にあるアトリエ、それは木造で屋根は茅葺という、新しいが、古い装いのよさを見事に取り入れた建築物があったのだが、そこにうかがった。実は、そこは山口さんのパッチワークの、アトリエで、全国から山口さんを慕って来た人たちが集まっていた。
ここで初めて、山口さんが、嫁ぎ先の酒蔵の酒の添加物を止めさせ、有機栽培の米による酒造を始めたことや、多くの地域の農家と無添加の加工品を送り出してきたことや、そのなかで武富さんと出会ったことなどが、ようやっとわかってきたのである。
山口さんのパッチワークは、嫁ぎ先の酒蔵に眠っていた古着を再生したことに始まる。その展覧会と農産物の加工品のコラボレー
ションが、蔵で行われている。そのことは、従姉妹から聞いてはいたが、まだ、行ったことがない。山口さんに「気軽に遊びに来て」といわれているのだが、今、僕の頭のなかには、雑誌の写真で見た酒蔵のアートを思い描いている。
地元での町と蔵と生産者が一堂に会する「筑後の土蔵」は、10月1日〜23日まで久留米市の天保3年創業「山口酒造場」(福岡県久留米市北野町)を開放して行われる。
■掲示版
・スローフードのすすめ 食をテーマにした地域活性化のすすめ
金丸弘美&三國清三 in HIDA 講演と公開対談
・2005年9月6日 火曜日 19:00〜
古川町総合会館 大会義室 入場無料
― 講 演・対 談 内 容 ―
・第1部 金丸弘美講演会
「今、食の安全・安心と、食文化の見直しが始まった」
・スローフード運動〜食をテーマにした地域活性化のシステム。
・日本における各地の新しい町づくりの取り組みの具体事例。
・なぜ、食における取り組みが必要とされているのか。
・第2部 三国シェフと金丸氏による公開対談
「三國シェフの食べ物哲学と食育」
主催:飛騨市 お問合せ:産業経済部商工観光課
TEL:0577−73−7463
■好評発売中!!
『スローフード・マニフェスト』(木楽舎=きらくしゃ)
金丸弘美、石田雅芳 共著 定価:1700円
(全国図書館協会選定図書)
スローフード協会は110名のスタッフを抱えるNPOです。
彼らが小さな生産者を世に出し、それをプロモートすることで、経済性を生む社会貢献活動をしています。イベント、出版、大学運営、学校教育など、多彩な活動をしています。
本の購入はアマゾンから。
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●金丸弘美正式ホームページ
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・ニッポン東京スローフード協会
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