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  旅日記 no.089
「ココシリ」
2006年4月26日
こんにちわ、金丸弘美です。
今日は、圧倒的な力強さチベットを舞台にした「ココシリ」のお話

圧倒的な力強さでぐいぐいとひきつけ、僕らの現在の暮らしそのものへ問いかけを遠く山のかなたから突きつけたのは、中国映画「ココシリ」である。この作品の強靭さは、最近の作品のなかでも郡を抜いていた。

これまで見てきた中国映画とは、まったく一線を画するものだったし、社会と自然と、国際社会、そして民族のありかたというものに、チベットの奥地の一地域から問いかける。見事な作品となった。

「ココシリ」とは、チベットの言葉で「青い山々」、モンゴル語で「美しい娘」を指すという。標高4700メートルのチベットでロケをされたという。

チベットカモシカの密猟者を追いかけ排除するために戦った民間警備隊の男とたちを描いたものだ。ロケの雄大な自然の存在感のスケールのすごさ、そこで、命がけでチベットカモシカの密猟に命をかけて阻止をする男たち、その真摯な姿には、彼らの心臓の音がそのまま伝わってくるかのようだ。

この作品は、事実を基にしているという。チベットカモシカは、1981年に絶滅に瀕する動植物種国際貿易条約に加入して以降、1988年中国国際一級保護野生動物に指定されて後、1990年から密漁が横行し、100万頭いたチベットカモシカは、なんと10万分の1になったという。

それは国際市場でショールの原料として高価格で取引されるといったことから、密漁が行われた。1993年に民間のマウンテン・パトロールが結成され、彼らが無給で、チベットカモシカを守るために密猟者と戦う。この戦いで、死亡者も出ているという。

映画は、北京から来た記者の目で描かれている。その記者の記事がきっかけで、密漁の実態と現状が公となり、国家級自然保護区管理局が設立されたのだという。

密漁の背景には、民族間の対立、密猟者の目の前のお金にすがる生活、その生活の背景に砂漠化による牧畜の衰退、毛皮を求める経済社会などが、すけて見えてくる。マウンテン・パトロールのメンバーは、チベットカモシカを守るというだけでなく、神々の山の脈々と続く自然の営みを守ろうという、姿が見える。

パトロールのメンバーは、チベットカモシカを守るという戦いに誇りをもった男たち。その戦いに出るまでの日常や、彼女との付き合いや、別れなど、その日常の営み、またパトロール中の生活が、じっくりと描かれ、その緩急が、全体のメリハリとリズムを作り、映像の詞を紡ぎだしている。

その姿と自然が見事に調和して、いささかもあきさせない。それにしても、役者が役者を飛び越えている。ドキュメントタッチといえばいえるのだが、きわめてリアリティに満ちた力が全編にみなぎっている。とりわけリーダー格役のデュオ・ブジエが素晴らしい。

・「ココシリ」2004年中国作品
1時間28分
脚本・監督 ルー・チューアン
出演・デュオ・ブジエ、チャン・レイ、キィ・リャン、チャオ・
シェジュン、マー・ツァリン

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