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  旅日記 no.090
「食育ネットワークさが」
2006年5月3日
こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「食育ネットワークさが」について

連休は佐賀県に戻ることとなった。佐賀で県の呼びかけによる「食育ネットワークさが」が発足し、その基調講演「子どもに伝えたい本物の食」をすることとなった。タイトルは、3月に出たNTT出版の本から採られている。県の人が本にあわせて配慮してつけてくださった。

2005年に「食育基本法」が施行され、食育は国民運動として位置付けられている。各県での取り組みが始まったが、佐賀県の活動は全体のなかでもまとまった大きなものといえるだろう。

食育基本法の背景には、衰退する農業と自給率の低下による食糧危機、加工品やファストフードを始めとする簡易な食、生活リズムの乱れから起こる生活習慣病の蔓延、などが大きな背景としてある。

幼稚園から大学、栄養士会、PTA、農業団体、医師会、漁業団体、市町村など100団体に声がかけられ、4月17日準備会が行われ、4月29日、佐賀市のアバンセホールで、13:30から16:00までをかけて設立総会が行われた。

それぞれがネットワークで連携し、食に関しての各団体の持ち味を活かして連携することとなっている。この会には、民間団体として唯一僕らが立ち上げた「オリザジャポニカクラブ」が、幹事団体の一つとして選ばれた。

もう2年ほど前に、古川康佐賀県知事に、佐賀からの食の文化を発信する会を立ち上げたいと話し、それを2005年、具体的な活動を行う団体として発足させた。民間の歴史ある住宅を使っての食事会や、公開の学校給食の会、農業とレストランを連携させた先端事例の視察を行った。それらの活動が評価され
たのだろう。ありがたいことに知事自身があちこち、宣伝してくださっている。

食育活動は、本来ならば、国や県が言うことではないと思っている。自らの活動を通じて、自主的に行うべきことだ。なぜなら、それは私たちの健康と環境、子どもたちの未来を守ることだからだ。しかし、現実には、個人では守れないほどに、私たちの食の環境は、はなはだしいほどに崩れかけている。

行政と連携した活動が必要だ。なぜなら、食は地域全体の問題でもあるからだ。学校給食や、一般の飲食の問題や、地域のコンビニやファストフードの蔓延、農業の合理化と多様な食材の喪失、農業や町並のファスト風土化など、さまざまな問題が横たわっている。

だからといって行政まかせにはできない。私たちが知恵をわかちあい、連携して、具体的な政策をだし行動で示していかなければならない。今回のネットワーク作りは、その大きな橋頭堡ができた、といっていいだろう。これからが本格的な始まりである。

それにしても、久しぶりに戻った唐津は、目を覆うばかりに、悲惨な状況になっている。商店街は衰退し、郊外の大型店やスーパーが中心となり、コンビニやチェーン店が増えている。景観は、大きな看板や、安直な大型店ばかりで、どこでも画一したものに成り果ていている。大型の道路を作り拡幅した車優先の町づくりは、かつての町から人々や商店を奪い、郊外のよその資本の味気ない、大型店で占められている。町の景観が、毎年貧しくなっている。

唐津の海は、沖合いで業者に砂をさらわれ遠浅の浜辺は消失し、小さな生き物はいなくなっている。商店は道路の拡幅で、人が歩けない。郊外のスーパーに客を奪われ商店街は衰退してしまった。川は両岸が整備されて多様な生き物が消えてなくなった。
郊外の里山は次々と壊され、四季のある風景も田園も喪失した。
もう40年前の、僕らが親しんだ風景は、どこにもない。親しんだ海も川も里山もない。たった40年で、唐津は貧しい町になったなあというのが実感である。

抜本的な町のデザインができる手腕を発揮しなければ、ますます荒廃したものとなるだろう。僕らは、食をテーマに活動を始めたのだが、しかし、地域の食、文化、歴史、をたどるとき、自然や景観づくり町づくりの視点も欠かせないもとのとなる。
これからどう具体的に形にできるか。これからが始まりである。

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「食育」をテーマに全国の実践例を紹介。
「読売新聞」「朝日新聞」「生島ヒロシのエイジング・ジャパン」
「月刊学校給食」「TBSラジオ週刊エコラジー」「JFN 全国
FM30局」などで紹介されました。

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