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  旅日記 no.098
「ライターズネットワーク」
2006年6月28日
こんにちわ、金丸弘美です。
今日は「ライターズネットワーク」のお話

 フリーランスライターの集まり「ライターズネットワーク」を作ったのは、1993年。一人では、フリーのライターなど力がない。それで、何人かが集まって、勉強会をしようと始めたものだ。幻冬舎の見城徹さん、草思社の片瀬昌男さん、漫画家の美内すずえさん、作家の沢木耕太郎さんをはじめ、70名近くの講師
を呼んでの勉強会を10年近くやってきた。

僕がいろんな本を出せるようになったのも、あちこちのメディアに登場できるようになったのも、ライターズネットワークで、多くの出版社の編集者、作家の人たちから学んだものがあるからだと思っている。そして、さまざまな発想、メディア展開を教えていただいた。

その間、メンバーは増え続け100名近くになった。また、インターネットに詳しい人たちが登場し始め、そのメンバーの力で、現在は、ライターの専門分野と名簿が検索できるデジタル名簿もできて、これが、あちこちの出版社や代理店で利用されている。

その途中から、年に一度は、シンポジウムと仲間を表彰することをしようと、ライターズネットワーク大賞とあわせて行うようになった。「仲間を仲間が褒めなくちゃ誰が褒める!」と、私が言い出したのである。受賞メンバーから、あちこちで活躍する人たちも生まれて嬉しい限りだ。

ライターの代表は、僕から、大勝さんと移り、今年から、フリーランスの編集者の六本木博之君が三代目としてやってくれている。
穏やかな、しかしさまざまな仕事をこなす彼の周りには、多くの人たちが集まり、いい形の運営をしてくださっていて、とても嬉しく思っている。

今年のシンポジウムは、11回目。久しぶりに会場を、神楽坂の日本出版クラブに戻して、『著者パワー表現力研究』<ライターのセルフ・ブランディングとプロモーション戦略の今>というテーマで行われた。テーマ決め、人選から交渉まで、六本木君と、会員のフリーランスライターで進められたものだ。今、インターネットの発展、出版点数の拡大、一方で本の部数の激減があるなか、もう一度、ライターのポジショニングはなにかということを問うという内容である。

パネラーには、鬼塚 忠氏(作家エージェント。アップルシード・エージェンシー代表取締役)。太田 宏氏(フォレスト出版代表取締役)。牛窪 恵さん(マーケティングライター)。司会は、藤岡比左志氏(本会副代表。ダイヤモンドビッグ社専務取締役)である。

なかでも個性的で光ったのが、鬼塚忠さんだ。鬼塚さんは、日本でも珍しい、作家のエージェンシーをはじめた人である。日本には、これまで、試みはあったが、大きく形になったものはない。
欧米では、エージェントの存在は当たり前である。野球ではエージェントの存在は知られている。選手の球団交渉から、スポンサードの開拓まで、選手の経済を維持するために、大きな力を発揮する。

そのエージェントは、作家にも存在する。作家を見つけ、それを方向付けて、本にさせ、出版社に売り込む。また映画の交渉や、ギャランティの取り決め、パブリシティ展開まで行うのである。
こんな人が、ついてくれればと思う。

僕は、最初は編集者から始まって、女優の松金よね子さん、熊谷真美ちゃんのマネージャー、舞台の製作のアシスタント、テレビの企画、出版プロデユース、パブリシティなど、さまざまなことをこれまでやってきた。自分の本を出すのにも、企画だけでなく、執筆から、パブリシティまで、いつも考えてきた。そして、あらゆる試みをしてきた。しかし、すべてはなかなか手が廻らないのが現実。もっといい方法がないか。

その回答が、鬼塚さんの活動と仕事にあった。鬼塚さんは、実際に、イギリスのエージェント会社に勤めた経歴があり、そこで、海外のエージェントの仕事を身につけた。また海外も30カ国は行ったそうで、海外でのブックフェアの現状も本屋さんのこともご存知。フットワークも軽く、彼が知っている編集者は300名以上という。

鬼塚さんは、この人だ、と思うと、その企画を考え、ライターを探して、本にまとめ、そして出版社にプレゼンをする。本にするだけでなく、映画や漫画としても売り込む。それも作家を育てていくという仕事である。かつては、鬼塚さんのような仕事は、出版社の編集者がしていた。僕らも編集者時代、書き手を探して、
デビューさせた経験はいくつかあるし、ゼロからの企画を本にしたこともいくつもある。

ところが現在は出版だけでなくメディアがものすごく増えた。そのなかでコンテンツの重要性が増した。しかし、競合も激しくなる反面、出版社自体も余裕がなくなり、企画力が弱まっている。
そんななかでの、鬼塚さんのような、エージェントの役割は大きい。

なにより、私達のようなフリーの書き手にとって、地位と経済とコンテンツをよりいい形にしてくれる活動をする鬼塚さんの存在は、素晴らしいものに映った。彼の仕事なかで、3年間で12冊ものベストセラーが生まれたという。この中には、僕が読んだものや、面識がある人もあって、あっと驚いた。

鬼塚さんの言葉で素敵なものがあった。「僕はイギリスやフランスに行ったときに、必ず本屋さんを覗きます。そこには、たくさんの本がある。それはその国の文化なのです。でも海外では自国の本は少ない。ところが日本の本屋さんは、日本の本が圧倒的に多い。今、日本語が読める海外の人が増えています。日本の本屋さんを覗く海外の人もいます。それは文化を見られているのです。
日本の文化を発信できるような本を書いて欲しい。僕はそれを目指しています」

参考に彼の著書を挙げておきたい。僕が最近、夢中になって読んだ一冊。「ザ・エージェント」(ランダムハウス講談社 鬼塚忠
著)である。http://www.appleseed.co.jp/

ライターズネットワークhttp://www.writers-net.com/

■テレビ出演のお知らせです。
テレビ東京「トコトンハテナ」。テーマは「トマト」です。
高橋英樹さんの日常の素朴なものをおいかける番組。
今回は、昔懐かしいトマトは、どこへ、というものです。

放映は、7月16日(日曜日)18:30〜19:00です。
http://www.tv-tokyo.co.jp/tokoton/
テレビ東京のほか、テレビ愛知、テレビ北海道、テレビ九州、テレビ瀬戸内、テレビ大阪で、同時間で放映されます。

高橋英樹さんは、僕は初期の作品鈴木清順監督の「けんかえれじい」が、大好きですが、さすがに人気俳優さんだけあって、かっこいい。たしか10歳は年上なはずですが、僕より若く見える!!

番組にご一緒できただけでも嬉しかったです。

この番組で、長年お付き合いさせていただいている練馬の農家、加藤義松さんを紹介させていただきました。都市農業で新しい農業のあり方を作り上げた方です。

■発売たちまち増刷!
「東京の自給率は1%」「そばの自給率は14%」「食料の輸入がとまると肉は10日に1食」など、食の姿が見えてくる48の事実を、豊富なイラストで紹介するオールカラー・ビジュアルブック。

・『フードクライシス 食が危ない!』
・金丸弘美著 イラスト・ワタナベケンイチ 
・出版社:ディスカヴァー http://www.d21.co.jp/
・価格1260円(税込) ・問合せ:電話03−3237−8991

「クロワッサン」「VOCE」「SPA!」「週刊現代」「ダヴィ
ンチ」「生島ヒロシのお早う一直線」「生島ヒロシのエイジングジ
ャパン」「FM東京」などで取り上げられています。

メールマガジンhttp://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/9697.html
◎全国「食」の活動は毎日新聞デジタル「ゆらちもうれ」で連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
◎ホームページhttp://210.255.173.147/tml/kanamaru/kanamaru10.html

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