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  旅日記 no.127
「竹田と唐津と」
2007年1月24日
こんにちは、金丸弘美です。
今日は「竹田と唐津と」について

 大分県の竹田市の長湯で温泉に入っている。市の竹田研究所の方々と旅館組合の好意で、毎回、宿泊施設の異なるところに泊まっている。今回は、前から行ってみたかった「ラムネ温泉館」で温泉に入った。ここは古くからの温泉で、炭酸ガスを含んでいてぷくぷくとアワがあがっている。2005年に藤森照信氏によってあらたに建物が建った。温泉は地元の杉材が使われているのだが、それがすべて焼いてある。そして間に漆喰を塗って外壁ができている。中は漆喰の壁で囲まれている。温泉の建物の周りには庭があって、実に落ち着いた雰囲気である。

竹田市には県の食育の事業で毎月来ている。2006年5月から始まって、もう8ヶ月通っていることになる。おかげで多くの素敵な人たちに知り合うことができた。「食育」を竹田市で行うにあたって、3つのことを決めた。一つは、僕が全国を歩いていてきて、各地の取り組みを毎回紹介するセミナーを行うこと。一つは、学校給食を始め地域に根付いた食の取り組みを取材させてもらうこと。一つは、食材を使ったワークショップを行う、ということである。

とくに行ってみたかったことが「味覚ワークショップ」である。
それも素材から知っていくというものだ。幸い、この企画に賛同してくれた多くの仲間ができて、いい形での展開ができた。とくに豆腐やサフランやカボスのワークショップで、素晴らしいテキストが生まれた。サフランから生まれた農家を貸し切ってのパエリアのワークショップは、地域での新たな展開となって広がりつつあり、農家でも今後、多くの農家に呼びかけて、新たな体験型のメニューとして実施したいという、方向に広がりつつある。

僕は、竹田のテキストをベースに、佐賀県に頼んで、今回、2月から始まる唐津のワークショップにおいても、素材別に10箇所の独自のテキストを作成してもらうことにしている。この思いが伝わったのも竹田での実績ができたからだ。なぜこんなことをしているかというと、素材をきちんと知って欲しいと思うからだ。
今、国では「食育基本法」を法案化し「食の安心・安全」や「食の文化」などを広げようとしている。また食の海外輸出もにらんで、各地でブランド作りがうたわれている。

ところが、現場に行ってみると肝心な素材がきちんと理解されていない。というのも僕らが食べているニンジンや大根などは、ほとんど海外からの種のかけあわせによる一代雑種と呼ばれるもので、地域のものではない。野菜の種は自給率28パーセントである。畜産の餌もほとんどが海外からのもの。ブランドを作るにも、安心安全を知るにも、素材の背景からきちんと把握しておかないと理解したとはいえない。そこで、テキスト作りと、味わいを知るワークショップを始めたのである。

もう一つは、小さくとも地域の明確なブランドを作っていきたいと思っているからだ。というのも、農業の現場では、小さな農家を集約させて、土地をまとめて、集落で大型化した農業にすること、しかも米や小麦や大豆などを栽培するような方向になっている。また若い後継者のあるところに集約化する方向で政策が進められている。自給率をあげて生産性をあげるということになっている。しかし、こんな政策では、ほとんどうまくいかないだろう。

まず生産だけに目がいっているが、生産だけでは、これまでの流れとおなじで、生産の下請けにすぎない。いくら拡大しても、うりあげはたいしてあがらない。しかも山間地の多い日本では、まとめようにもまとまらない。肝心なことは、58パーセントが高齢者で、その高齢者の切捨てとなり、小さな農業の生きがいを奪ってしまう。大型化したところで、輸入が60パーセントを超えている日本では、価格競争にさらされる。また現在のインフラでは、ほとんが大型スーパーや食品会社の加工にまわる。そうすると価格を抑えられる。

地方ではスーパーの競争が起こっているが、その競争のしわ寄せは農家や加工業者に行ってしまう。しかも郊外外のスーパーは、地域商店街から雇用をうばう傾向が強い。そんなことから、小さくても明確な素材、それも地域での個性があり、自ら値段付けができ、自ら販売、加工から、料理までができるような、主体的な形がのぞましい。そうして地域のレストランや直売所、加工業者
と連携した、地域ならではの食作りを生み出したい。その基本にテキストをワークショップがある。

来年度も大分県では、食育のアドバイザーの依頼の打診がある。
構想では、大分県全域にテキストを作りワークショップを広めていくこと。一方佐賀県でもテキスト作りを行う。この佐賀と大分のメンバーを中心に交流をしてもらい、そのノウハウをお互いに連携しながら、より強固なものにしたい。すでにその準備に入り、これまでの経過を本にまとめることも決定した。これからが面白い。


■「唐津玄海の食プロジェクト味覚ワークショップ」開催内容
●呼子
2月7日(水) "12時30分〜14時30分"
内容:鯨や磯魚(アラカブ、メバル、オコゼ、呼子鯛など)を
使ったフランス料理と甘夏を使ったデザートを味わう
会場:"フランス料理店 「セゾンドール」
住所:唐津市呼子町殿の浦 
電話0955−82−3655
定員:20人 料金:5,000円

●和多田・唐房
2月14日(水) "11時30分〜13時30分"
内容:牡蠣を使ったイタリア料理を味わう
会場:イタリア料理店「ワイズキッチン」
住所:唐津市和多田西山3−36 
電話0955−72−8716
定員:20人 料金:3,500円

●肥前
2月24日(土) 12時〜14時
内容:魚介類を使ったブイヤベースを味わう
(参加者がシェフのアドバイスを受けながら作る)"
会場:晴気公民館
住所:唐津市肥前町入野
定員:30人 料金:3,000円
・料理人(中江義行シェフ)

●相知
2月25日(日)9:00〜15:00
内容:しいたけの塩焼、しいたけご飯を味わう
しいたけの原木栽培体験つき
会場:相知交流文化センター"
"住所:唐津市相知町相知71-1
電話:0955-62-2300"
定員:70〜80人 料金:中学生以上は2,000円、
中学生以下は1,000円
・料理人(橋本裕充子さん)
・主催 JAからつ相知支所撰果場
・問合せ 相知町しいたけ狩り体験事務局
佐賀県唐津市相知町中山3523−1 佐賀松浦地区営農本部
電話0955−62−2011 FAX62−2200

●浜玉
2月28日(水) 14時〜16時
内容:デコポンを使ったデザートとハーブティーを味わう
会場:鏡山「ぽんぽこ村」
住所:唐津市浜玉町浜崎2079−1
電話:0955−56−8580"
定員:30人 料金:1,500円
・料理人(中江義行シェフ)

●鎮西
3月2日(金) 12時〜14時
内容:魚介類 "魚介類を使った鮨を味わう
(鮨屋の出前サービス方式)
・一口あわび・サザエ・緋扇貝・その他の雑魚
場所:茶苑「海月」
"住所:唐津市鎮西町大字名護屋
電話:0955−82−4384"
定員:20人 料金:5,000円
・鮨職人(つく田)

●厳木
3月3日(土) 12時〜14時
内容:佐賀天川産コシヒカリ+漬物 "おにぎりを自分で握りを
味わう・漬物は「からぐろ」を使用"
場所:天川集会所
住所:唐津市厳木町天川
電話0955−65−2179
定員:30人 料金:1,000円

●玄海
3月6日(火) 10時〜12時
内容:いちごを使った料理やデザートを作って味わう
場所:玄海町民会館
住所:佐賀県東松浦郡玄海町大字新田1809−22
電話:0955−52−6688"
30人 1,500円
・料理人(中江義行シェフ)

●七山
3月7日(水) 12時〜14時
内容:わさび、鶏卵 葉わさび、鶏卵を使った料理を味わう
会場:農家レストラン「野の花」
住所:唐津市七山大字滝川1048−3
電話:0955−58−2057"
定員:30人 料金:1,500円
・料理人(橋本裕充子さん)       

●北波多
3月8日(木) 12時〜14時(予定)
内容:自然薯、ムカゴ 自然薯とムカゴを使った料理を味わう
会場:東唐津 旅館「洋々閣」
  唐津市東唐津2−4−40 電話0955−72−7181
定員:20人 料金:2,000円
 
★申込・問合せは、相知を除いてすべてくらしの安全安心課
  になります。
    くらしの安全安心課食育担当(西、北村、内田)
    電 話 0952−25−7096
    FAX 0952−25−7327
    メール nishi-hirohito@pref.saga.lg.jp
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イラストもふんだんに入った可愛い作品です。
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・ISBNコード ISBN4-584-18975-7
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◎全国「食」の活動は毎日新聞デジタル「ゆらちもうれ」で連載中。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/

◎日本ペンクラブhttp://www.japanpen.or.jp/
◎ホームページhttp://www.jgoose.jp/kanamaru/
◎ライターズネットワークhttp://www.writers-net.com/