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  旅日記 no.130
『超・格差社会アメリカの真実』
2007年2月14日
こんにちは、金丸弘美です。
今日は『超・格差社会アメリカの真実』について

アメリカのイラク侵攻やグローバル戦略、農業政策における遺伝子組み換え、金融の自由化など、日本に直接かかわってくる影響が、いつも気になっているのだが、その背景にあるものはなにかを知りたいと思っていたら『超・格差社会アメリカの真実』 小林 由美著(日経BP社)を見つけた。最近読んだなかでも、もっとも面白かったものだ。

著者は、日本人でアメリカ在住。解説をみると「ニューヨークとシリコンバレーで日本人初女性エコノミスト、証券アナリスト、コンサルタントとし26年間活躍して来た」とある。それだけに、客観的なデータも見聞した実体験も豊富で、具体的でわかりやすく分析されている。

アメリカでは、資産を持つ「特権階級」と高給を稼ぎ出す「プロフェッショナル階級」の約500万世帯が、全米1億2000万人の富の60%に集中している。その下には「貧困層」と「落ちこぼれ」という極端な二極化がある。4人家族で年収280万円以下のアメリカ人が25〜30%を占めるという。

この流れが、また変化しているようで、中流家庭が、崩壊し始めているという。映画『アメリカン・ビュティー』で描かれた、中流階級のレイオフという現実。そうして簡単に仕事を失ってしまう。そうして格差が広がる。労働階級では、マイケル・ムーア監督が『ロジャー&ミー』で、GMの8万人の大型レイオフで、町そのものがゴーストタウン化する現実が描かれた。

資本家が、お金を得るためには、会社の売却も売買も、レイオフを簡単にしてしまうアメリカのシステム。資産家が独占する構造。お金を得ることが素晴らしいとされる社会。特権的富裕層が政治権力の中心に集まり、大統領の政治まで左右する。大統領選挙には1200億円が使われ、その資金は寄付でまかなわれる。その資金提供者は資産家。そうして大統領は当選すれば、側近を指名することができる。ブッシュ政権のブレーンの中心が、選挙資金の提供者であると同時に、企業家で富裕層。政治政策は税制の優遇や富裕層に有利に展開される構造になっている。

さらにアメリカのイラク侵攻政策は石油利権の争奪であり、その背景にはブッシュを取り巻く石油関連の企業、軍需産業の企業が名を連ねているという、あからさまな関係紹介されている。このあたりはマイケル・ムーア監督の『華氏911』でも指摘されたが、それよりもきわめて本では冷静に描かれている。つまり小泉内閣は、ブッシュの取り巻きの軍需と石油利権にのっかったというわけだ。


富裕層が支配する政治システムが生まれた背景、アメリカ独立戦争以前の特権階級のルーツまでさかのぼり、アメリカの歴史をひもとき、現在のアメリカという国のあり方を浮き彫りにする。そもそも多くの資産家がかつて海賊で略奪した資金によって、不動産や投機や銀行や工業などで巨大な富を生んだという。その巨大な資本家たちを中心に歴史的に組み立てられた社会構造があるというくだりには仰天した。同時に、ディズニーランドで、なぜ海賊たちが登場し、アメリカで海賊映画が、何本も作られてきたか。それは、アメリカのつい最近までの、ルーツだから、とうこともできそうだ。

また企業の買収や合併やファンドなども、資産家の資産増加のための仕組みが構築されひろがり、その結果、生産や製造業などの技術力が劣化し、それを平気で外部に下請していく。さらに移民を多く受け入れ、低所得者に単純労働を担わせる。富裕層と貧困層は教育の極端な格差までに繋がっている。現在、アメリカの影響を日本は多く受けているが、しかし、現在のシステムを受け入れると、日本も、つまりはアメリカの富裕層の傘下に収まる、下請けになりかねない危険を感じるのは、僕だけだろうか。

■佐賀県の「唐津玄海食のプロジェクト」がスタートしました。
全10回の「味覚ワークショップ」。1回目は、魚が美味しい呼子からフレンチのフルコースからでした。大好評でした。

その模様は、毎日新聞デジタル「ゆらちもうれ」で紹介中です。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/yurachi/
この後、連載で毎週掲載をしていきます。

3月8日までワークショップを開催します。私も毎回参加します。
すでに2月は満杯ですが、残り3月分がわずかに席があります。
参加の方はお早めに申し込みください。

なお、3月24、25日は。中町商店街でファーマーズマーケットを開催の予定で準備中。唐津の旬をお届けする予定です。

■「唐津玄海食のプロジェクト 味覚ワークショップ」
●厳木
3月3日(土) 12時〜14時
内容:佐賀天川産コシヒカリ+漬物 "おにぎりを自分で握りを味わう・漬物は「からぐろ」を使用"
場所:天川集会所
住所:唐津市厳木町天川
電話0955−65−2179
定員:30人 料金:1,000円

●玄海
3月6日(火) 10時〜12時
内容:いちごを使った料理やデザートを作って味わう
場所:玄海町民会館
住所:佐賀県東松浦郡玄海町大字新田1809−22
電話:0955−52−6688"
30人 1,500円
・料理人(中江義行シェフ)

●七山
3月7日(水) 12時〜14時
内容:わさび、鶏卵 葉わさび、鶏卵を使った料理を味わう
会場:農家レストラン「野の花」
住所:唐津市七山大字滝川1048−3
電話:0955−58−2057"
定員:30人 料金:1,500円
・料理人(橋本裕充子さん)       

●北波多
3月8日(木) 12時〜14時(予定)
内容:自然薯、ムカゴ 自然薯とムカゴを使った料理を味わう
会場:東唐津 旅館「洋々閣」
  唐津市東唐津2−4−40 電話0955−72−7181
定員:20人 料金:2,000円
 
★申込・問合せは、くらしの安全安心課になります。
    くらしの安全安心課食育担当(西、北村、内田)
    電 話 0952−25−7096
    FAX 0952−25−7327
    メール nishi-hirohito@pref.saga.lg.jp


金丸弘美(食環境ジャーナリスト)
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■絶賛発売中!
「食育」をテーマに、本を書きました。

イタリアでのスローフード協会の食のワークショップや、静岡の小学校の「おにぎり」での味覚の講座、徳之島での1200名の長寿の食の調査と町を巡るウオーキング、全国の学校給食の現場など、自ら参加したものをメインにまとめました。

・書  名  『子どもに伝えたい本物の食』
・著  者  金丸弘美
・価  格  1、680円(税込)
・出版版元  NTT出版
・ISBN 4−7571−5056−3
・問合せ先・申し込み NTT出版 遠藤・今井 
 電話:03−5434−1001
 FAX:03−5434−1005

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