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  旅日記 no.159
「ニッポン丸の船上セミナー」
2007年10月9日
こんにちわ。金丸です。
今日は「ニッポン丸の船上セミナー」についてです。

 豪華客船「ニッポン丸」の船上セミナーに呼ばれた。高知に飛行機で行って一泊し、翌朝、高知港から乗船し、奄美まで行くというもの。主催は、JA高知女性組織協議会。僕のメインは、夜の講演とシンポジウムの参加。テーマは「食からの地域再生」である。

船でランチをして、お昼からリハーサル。そして、午後2時から講演となったのだが、船には大きなホールがある。そこが満員。参加者はほとんど女性で、なんと360名。高知の農協の女性たちである。

講演前に、なんで呼ばれたのか尋ねたら、一月に東京で行われたJA女性部のシンポジウムで、私のコメントがよかったから、とのことである。そのきっかけを作ってくれたのはJA高知女性組織協議会の宮脇真弓さん、川井由紀さん、JA四万十の高橋美和子さん。いずれも農家の働く主婦である。自ら牛を飼い、農産物を販売し、交流会、学習会、研修旅行などを手がけている。

とにかく元気だしパワーがある。すでに地域では、農家が出荷する直売所の運営や地場農産物を使ったビアガーデンの開催など、新しい展開を行っている。子牛の飼育や販売での高利益も得ている。農産物の直売は2億円から2億8000万円。女性で700万円を売る人もいる。

高知は大きな農地がない。本土と同じような農業はできない。条件不利地が多い。そこで、多角的で複合型、しかも少量多品目の農産物を栽培している。加工品も農家が作る。国が進めている形の集落営農をしているところはどこもない。独自の路線で進んでいる。

四国は、徳島のつまの飾りの木の葉を販売する上勝町、香川の女性人の直売所が元気な内子町、高知の柚子加工で33億円を売る馬路村など、直売、加工、新しい形の農業を展開しているところがある。すでに高知の女性人は、他県との交流を行い、ノウハウの交換をしながら、自らの農業のあり方をまい進している。

彼女たちの話を聴いていると、国の農業政策が、いかに乖離しているかを感じる。また現場を踏襲した形での新たな提案をしていかないと地域は生き残れない。マスコミでは自給率の危機や農業の衰退がさかんに言われるが、JA高知の女性たちをみていると、まるで話が違う。農業は元気だ。

新しい世代が、もう違う形で躍動をしている。よくよく考えてみると、国やほとんどのマスコミは、従来の食糧問題としての農業、これまでの食糧生産の農業、従来の大型流通のインフラのなかの農業をみて話をしている。ところが現場の活力あるところは、従来のラインにはないといってもいいだろう。別の動きになっている。

ニッポン丸での講演は、元気な女性と新しい動きを実感できたことで収穫になった。

講演後、船で一泊をして、早朝に奄美で、私は下船。「南海日日新聞」を訪問し、そこから徳之島からやってきた妻・早苗と合流し、焼酎「まーらん舟」を醸造している富田酒造場を訪ねた。「まーらん舟」は、徳之島の徳南製糖の黒糖を使ったオリジナルで、4年前に生まれた。まろやかで、まったりとした素晴らしい焼酎。

米と麹を使い甕で発酵させ、黒糖を入れて、さらに発酵させる。これを蒸留させて、焼酎が生まれる。冨田酒造場は、昔ながらの甕仕込み。富田泰弘専務は、とことん原料にこだわり、材料が高くとも地域農業を残し、本来の焼酎を造りたいと、現在の焼酎を生み出した。

どこで手に入るのかと尋ねたら近所の「酒屋まえかわ」を紹介された。奄美の焼酎が全部ある。清潔で明るい店。ご主人の前川晴紀さんは、いいものを扱いたいと、地域のこだわりの焼酎を応援している。ここで「居酒屋一村」を紹介されて夕方に夫婦で飲みにでかける。店は、東京からも多くのお客がきているとのこと。冨田酒造の甕入りの「龍宮」をいただく。これが絶品であった。

金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
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