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  旅日記 no.164
「豊後大野市・千歳小学校の食育授業」
2007年11月14日

こんにちは。金丸です。
今日は「豊後大野市・千歳小学校の食育授業」のお話です。

大分県の食育事業を始めて2年目。今年は豊後大野市と玖珠町を担当している。大阪を経由し、大分県庁に行った。昼間は、大分合同新聞文化部の渡辺さんとランチ。大分県の取り組みを、事前にゆっくり話を聞きたいということだった。渡辺さんは、大分の食育事業を紹介した著作「創造的な食育ワークショップ」を大々的に取り上げてくださり、このおかげで、大分県内に活動が一気に知られることとなった。

夕方に平野昭大分県副知事と会談。平野副知事は、大分県の農業振興を担当。大分の食育事業の現況とコンセプトを報告。今進めている食材のテキストから作り、地域を連携していくワークショップに理解をしていただく。副知事の手許を見たら、大分の取り組みを紹介した新刊2冊が多数の付箋付をつけてあった。「本を読んだら大分県を大々的に取り上げてくださっているんですね。ありがたいことです」と言われ、活動が伝わったと、嬉しかった。

その後、大分県農林水産部の本山秀樹さんと会う。本山さんは、かつて竹田市の保健所長だった。そのときに、僕が「保健師ジャーナル」に、全国の食の現場を書いたレポートを見て竹田市に呼んでくださり、それがきっかけで大分県とのつながりができた。まさに大恩人である。本山さんから、竹田市での一年目の活動の成果から、ぜひ、食育から一歩踏み込んで、ツーリズムから教育まで、さらにアドバイスをと話がでた。喜んで協力したいと伝える。

翌日、豊後大野市に向かった。豊後大野市の窓口は、企画課の河室さん。今回は、前回、朝ごはんの大切さの事前授業を行ったメンバーと、千歳小学校5年生の児童たちとの実際の調理授業である。スタッフは、企画課、保健課、それに民間の食のメンバー、別府大学食物学生部の3名の実習生を迎えての食の授業である。

まずは、おさらい。これは保健課の方々が、とても工夫をしてくださり、料理を絵にしたカードを使って、グループで朝ごはんを考えてみるというゲーム。そこから「赤」「緑」「黄」の栄養群の栄養バランスがいいかを、絵を使って考える。そこからさらに理想の朝ごはんを組みなおす。また朝ごはんの体の影響を、絵を使って、話をした。これらは前回の授業をしたのだが、そのおさらいをしてからの、今回は本番である。もっとも朝ごはんは無理なので、それを学校給食の形にしたものだ。

メニューは、おにぎり、具だくさん味噌汁、スクランブルエッグ、千歳野菜の和え物。材料は、地域が見えるものをと話していたら、米、のり、塩、味噌、野菜類など、大分県産や豊後大野産がずらり。卵も地元の軍鶏のものというこだわり。いい素材が揃って、かなり贅沢なものとなった。一度、作り方を児童に見せてから、テーブルに戻り、スタッフがアドバイスに入って、調理をする。

おおよそ一時間ほどをかけて、料理を子どもたちと行った。最初は戸惑い気味だった児童たちも調理をするうちに、だんだん手が動き、真剣で、きちんといい形になった。全員で食事をして、感想を聞くと、みんな「美味しかった」「楽しかった」とのこと。

実習生の大学生3名は、すべて管理栄養士を目指しているという。授業では「食育」の話はあるが、今回の授業のように、きちんと背景から食材までを考え、調理までする現場の機会がないので、とてもいい経験だったと言ってもらえた。彼女たちによると、管理栄養士を目指したきっかけは、「食が健康を作り、スポーツにも重要なウエイト占めている。これから有望なやりがいのある仕事」とのこと。こんな若い人たちがいることに感激。

授業後に校長室でスタッフメンバーと歓談。時間はかかったが、新たな地域のつながりを、小学校の児童たち、学校、担任の先生、行政、民間の方と、一緒にできたことに、充実した一日となった。そ後、大分県立農業大学40周年記念講演をちょっとのぞく。講師は西日本新聞編集委員の佐藤弘さん。佐藤さんの手がけた「食卓の向こう側」は、ベストセラーになっている。佐藤さんとは、韓国の有機農業の村「文堂里」を訪ねて以来の再会。なんだか大分では、食への思いが、みんなつながって、未来を語れるメンバーが一同に会したようで、とてもいい2日間となった。

金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
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保育園から大学、地域作りとして実際に行った「味覚のワークショップ」の計画立案から具体的な進行の仕方、食材のテキストやワークシートの作り方、目的別の事例を紹介します。

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