こんにちわ。金丸です。
今日は、「長崎で元気なシュシュ」の話です。
長崎県大村市弥勒寺町の「おおむら夢ファーム シュシュ」へ行ってきた。長崎空港から約15分のシュシュには、もう4年ほど前に、従姉妹に誘われて、「とてもいい食品を売っている直売所がある」と連れて行ってもらったことがある。だから今回は2度目なのだが、その後、かなり様相も変わり、さらにグレードアップをしたようなのだ。
僕が最初に訪ねたときにはログハウスのジェラード売り場があり、その前に農産物と加工品を売る直売所があった。裏手には、レストランがあった。ジェラードだけで年間20万人を集めるというので驚いた。それも地域のイチゴやミカンなどを使ったジェラードなのである。ログハウスと地域の四季の農産物を使ったジェラードで、これが若い人に大人気だという。なかなかお洒落だなあと感心した。
今年、東京での都市と農村の交流シンポジウムで、シュシュの代表の山口成美さんと再会。山口さんの事例発表を聞いていたら、メロンのオーナー制度や、体験教室の運営も始めたということで、お客さんは、なんと48万人にもなったという。そこで、もういちど、こんどはきちんと訪ねてみようと思ったのだ。
長崎空港では、山口さんが、迎えてくださった。専務の鹿山雅勝さんとも再会した。そして、施設を案内してもらったのだが、前よりさらにお洒落になっている。ジェラードも桃、梨、ぶどう、いちじく、りんご、みんとなど、いろいろあるが、すべて季節の地域ででるものを旬のときに出しているという。そのことで農業と連携した形を見せているのだ。お店は土日には長蛇の列となるという。
裏には葡萄の木の下のレストランがあり、ビュッフェ形式で、さまざまなおいしいものがいただける。最初は畜産があるので焼肉だったらしいのだが、BSE問題が出て、お客さんが急減。その後、単品の食事も出したが、料理を作って出すまでがかなり大変で、試行錯誤の末に、現在のビュッフェになったという。いまは土日はほぼ満杯だそうだ。
このシュシュは、地域の農家が後継者問題や、今後の存続を考えて集まったのが始まり。最初はビニールハウスを使った野菜の直売所から始まった。葡萄や梨の観光農園が多く、あまった果実をどうするかでジェラードにしたらヒットしたという。ここに参加したメンバーと新たな農家が集まり出資してできたのがシュシュだ。現在、売り上げは5億7000万円。将来は10億円をめざすということだった。それもすぐ実現するに違いない。
いちばん感心をしたのは、近所の観光農園20戸と連携した取り組みである。直売所とジェラード売り場には、大きなモニターがあり、近所の農園の農家さんが、自分の農園を紹介している。シュシュができたときに、周りの農家はお客が奪われると思った人もいたどうだ。そうではなく、地域全体で特徴をつけようと、逆に集まったお客さんを、もぎとりも近所でできますよと、紹介を始めたのである。
映像のロケは地元のケーブルテレビに頼んで行い、四季ごとに撮影をして放映している。また直売所で地図も作成して配布している。この活動によって、周辺の観光農園は、人が1・5倍にも増えたという。
山口さんによると、直売所も周辺には増えている。観光農園もあちこちにある。単独では、地域の特徴をつけにく。そこで地域全体が連携をすることで、食事をしたり体験をしたりと、総合力で消費者の心をつかもうということなのだという。この地域連携は、いいアイディアだ。
金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎総務省 地域力創造アドバイザー
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