こんにちわ。金丸です。
今日は「チェ・ゲバラの映画」のお話です。
年末から正月にかけては映画と本と落語に明け暮れた。新作は「007慰めの報酬」「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」「花の生涯 梅蘭芳」といずれも力作を観たが、なかでも素晴らしかったのがチェ・ゲバラを主演とした「チェ28歳の革命」「チェ39歳別れの手紙」の二部作である。
監督はスティーブン・ソダーバーグ。この人の作品では、アメリカの公害問題をテーマにしてジュリア・ロバーツに新境地を開かせた秀作「エリン・ブロコビッチ」がある。同年に「トラフイック」でアカデミー賞をとったのだが、そのときの主演をしたベニチオ・デル・トロとのコンビ作品が、今回のチェ・ゲバラの二部作である。
もともとは、ボリビアの改革に向かった「チェ39歳別れの手紙」が先に構想があったという。ところが、これだけでは説明がつかないということで、キューバの革命に参加した「チェ28歳の革命」が撮られたという。二つの作品は、いずれも戦闘に焦点があてられている。
つまりゲリラ戦による行動がメインとなっているのだが、二つの作品は実に対照的だ。28歳のほうは革命が成功するまでのドラマだからじつに劇的で、開放感にあふれている。だが、39歳のほうは、ボリビアでは、政府のプロパガンダや、アメリカの政府軍の軍の支援と住民へのプロパガンダに阻まれて、チェたちのゲリラ活動は、孤立した形で追い詰められている。
それでもチェの姿と考えには、まったくのぶれがない。常に彼の頭と行動のなかには、弾圧する軍部や政府、また抑圧され収奪される住民の真の開放という理想が明確にある。そのひとつの思いが、この映画のテーマであり、そしてチェを描くことの意味だったのだろう。優れて成功した作品ではなかろうか。
もっとも印象深かったのは、28歳のラストシーンで、キューバを開放にもたらしたときの周辺が大騒ぎするときのチェの台詞。「戦争はおわったが革命はこれからだ」。まさに、まだ私たちの世界は、戦争があり、さまざまな形で搾取が続いている。だからこそ、チェの行動と実践と、そして変わらなかった思いが、今も生きているのだろう。
改めて年表を観ると、チェは、革命後に大臣にまでなり、身分が保障された身であったにもかかわらず、あえて地位も身分も捨てて、ふたたび改革に身を投じたということがわかる。永遠の旅人だったのだ。
この作品の関連でいうと、青年時代の旅物語を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」が、また一段と輝いて見えて、そのころのチェの想いが、ずっと革命に身を投じたあとでもあったのだだろうかと、思えたりもした。
関連でいうと、2008年公開された二つの映画が興味深い。一つは「敵こそ、我が友」。ドイツ占領下のフランスにあってヒトラーの親衛隊保安部(ゲシュタポ)に所属し、ユダヤ人の収容所への移送やレジスタンスの殺害や拷問などを指揮した中心的存在の人物クラウス・バルビーの生涯を追いかけたドキュメンタリーで、彼は戦後アメリカ軍の要請で、共産党の排除活動を行う。その後、ボリビアにわたり、チェ暗殺を指揮したといわれる。
もうひとつは、マイケル・ムーア監督のアメリカの医療問題を追った「シッコ」で、この映画の最後に、アメリカが経済制裁を続けてきたキューバが、じつはアメリカより医療制度が優れていたという現実をみせてくれる、なんとも皮肉な話。
マイケル・ムーアは、アメリカの資本主義のありかたの矛盾をつねに底辺から見つめてテーマにしてきているが、現在の金融破綻で経済不安になったアメリカを、もっとも的確に予言したいたといえるのだろう。
■ワークショップのお知らせ
長崎県平戸市で今年度も地域景観、料理家、農業・漁業を連携した食のワークショップを開きます。現地に私もいます。ぜひお出かけください。
平戸素材の劇場−
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■ と き 平成20年1月29日(木) 14:00〜16:00
■ ところ 平戸市ふれあいセンター(平戸市紐差町678-1)
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平戸野菜の代表格で平戸の赤土でじっくり育てられた「じゃがいも(馬鈴薯)」、旬の野菜「ブロッコリー」と「ミニトマト」をJALリゾートシーホークホテル福岡総料理長で野菜ソムリエの山並辰巳氏が新鮮スイーツに仕上げます。また、野菜の魅力や奥深さについて料理人とソムリエの視点でお伝えします。
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問い合わせ・申し込み先:
平戸・松浦地区観光人材育成協議会平戸事務局
(平戸市観光商工課内)
【電 話】0950-22-4111(内線2276)【 FAX 】0950-23-3399
【メール】氏名・住所・電話番号・職業を明記のうえ
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※交通アクセスは下記URLにて確認してください。
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金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
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