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  旅日記 no.110
「幼稚園での秋を食べるワークショップ」
2006年9月28日
「幼稚園での秋を食べるワークショップ」のお話

明治神宮の近くにある渋谷区立山谷幼稚園の授業とお母さんたちの講演会を行った。幼稚園で園児に授業を行うのは生まれて初めて。この話は、保育園と幼稚園の育児と食育雑誌『いただきます
 ごちそうさま』(メイト社)の編集をしていた北川美穂さんからの話である。彼女が山谷幼稚園を取材して、「園児とお母さんたちの講演でだれかいい人いませんか?」と相談があって僕を推薦してくれたらしい。

幼稚園の授業を引き受けたのは、園児たちと一度、食の授業をすることを試みたいと思ったからだ。しかし、どんなことをすればいいか、わからない。それで事前に幼稚園におもむいて、副園長の樋口志津子先生と園のスタッフの方々と打ち合わせを行った。
園児は、せいぜい30分が集中する限界。それも話では、すぐにあきてしまう。だから、子供たちが参加できるものがいい。

そこで、本物の食材をつかったワークショップにした。梨、りんご、栗、ぶどうなどをボックスに入れて、両脇から手を入れて、触って、なにが入っているかを当てる。ただのクイズではなくて、音や手触りや香りやで、五感を使って表現をするのだ。それによって子供たちの豊かな表現を引き出すというもの。で、30分以内で、食をテーマにということで、「秋を食べる」にした。

それと果物が、どこから来たのかを紹介し、実際に味わい、今度はどんな味かを知る。さらに春、夏、秋、冬の果物の絵があって、それが、どの季節のものかを当てるというクイズをするというものだ。梨は、鳥取県の東京事務所の方にお願いをし、りんごと栗とぶどうは、茨城県のポケットファームどきどきの鎌田宗定さんにお願いして、それぞれ届けてもらった。

9月22日の当日、山谷幼稚園に行ったらびっくりである。スタッフの方々が、果物を入れるボックスを手作りしてくださっていた。それに教室は、園児たちがきちんと椅子に座っている。奥のステージは、秋の様子が、葉の絵でアーチがつくってあって、素晴らしい雰囲気になっていた。北川美穂さんもきてくれて、アシスタントを務めてくれた。

園児たちは、6つのグループにわかれて、それぞれ前に出てきて、ボックスにあるものを手で触って、みんなで相談する。「まるい」「つるつるしてる」「なんかこんな形していた(と、ハートの形をする)」「上のほうに角がある」なんて梨を表現する。「あっ、わかったぞ!」という声もあがる。で、「みんなで相談して、後で教えてね」と言って席に返す。

これが次のグループは、中にはぶどうが入っていて「あっ、小さいまるだ」「まるとまるがつながってる」「さくらんぼかなあ」とか、になる。栗だと「硬い」「こんな形してる(と、手を三角にしてみせる)」。りんごは「あっ、つるつる、ほっぺみたいだよ」「なんか、上のほうにとげがあるよ」「梨かな? りんごかな?」となる。これが、もう盛り上がる盛り上がる。園児たちは、仲間と真剣に中身を考えてくれる。

「さあ、中にはなにが入ってたかな?」と言うと、次々と「ハイ、ハイ」と元気よく手が挙がる。今度は、箱から中身を出してもらって、正解となる。この後は、春、夏、秋、冬を当てるゲーム。
先生たちが、ちゃんとボードを用意してくださっていて、ぶどう、柿、みかん、梨、栗、りんご、いちごなどの絵を作ってあって、それがどの季節に入るのかをあてるのである。これもどんどん手が挙がる。そうして、ボックスに入っていたものが、秋のものだということを知るゲームなのである。

そうして今度は園児に一切れづつ梨を食べてもらい、香りや味を表現してもらう。「甘い香りする」「すっぱい味もする」。なかには「ジューシー」「やさしい」と表現する子もいて、みんなを驚かせた。そこから鳥取県東京事務所観光物産担当副主幹の西谷美樹子さんがきてくださって、梨が育って、山谷幼稚園にくるまでを紙芝居で、紹介したのだった。終わったら園児たちにわっと囲まれて、「今度もきてね」「遠足も行こう」とか、みんなが握手をしてくれる。こんなに嬉しかったことはない。

その後、お母さんたちと近くの山谷小学校で給食をともにし、食の環境と子供たちの食べ物と健康について話して終わりとなったのだが、午前中の園児との授業は最高の至福の時間となった。また幼稚園での授業をやってみたいなあと思わせたのだった。


■シンポジウムのご案内です。

「おおいた・食と農を楽しむ食育の集い」

日時:10月21日(土曜)12:00から15:00
場所:ビーコンプラザ・フィルハーモニーホール
大分県別府市山の手町12−1 電話0977−26−7111
入場料:無料
主催:大分県・九州農政局大分農政事務所・食を考える国民会議
協力:大分県食生活改善推進協議会・おおいた食育コーディネーター
事務局:大分県生活環境部 食品安全衛生課 食品安全班
    電話097−536−1111
    FAX 097−533−9500

プログラム
・オープニングセレモニー 12:00〜
・食の文化祭 

・おおいた・食育シンポジウム 13:00〜15:00
基調講演「食で創る魅力あふれる地域づくり」
食環境ジャーナリスト・大分県食育アドバイザー  金丸弘美

・シンポジウム
コーディネーター 料理研究家  高橋知子
パネリスト    食環境ジャーナリスト      金丸弘美
         湯布院料理研究家        財前 岳
         蒲江観光協会会長        橋本正恵
         イモリ谷苦楽分まつぼっくり農園 荷宮英二
         大分県合同新聞社編集局政治部  田中 竜

■好評発売中!!
『スローフード・マニフェスト』(木楽舎=きらくしゃ)
金丸弘美、石田雅芳 共著 定価:1700円
(全国図書館協会選定図書)

 スローフード協会は140名のスタッフを抱えるNPOです。
彼らが小さな生産者を世に出し、それをプロモートすることで、経済性を生む社会貢献活動をしています。イベント、出版、大学運営、学校教育など、多彩な活動をしています。
本の購入はアマゾンから。http://www.amazon.co.jp/

■テレビ放映のご案内
「Ageing japan」(生島ヒロシ司会)
:情報ワイド番組「Ageing japan」
(全国120局1,200万世帯のケーブルテレビ視聴者を
つないだ番組です)

番組コーナー:「金丸弘美のス農(ノー)フードな旅」

日時:全国の主要ケーブルテレビ120局で、12月の原則土・日(
週2回、月8回)繰返し放送。詳細はhttp://www.at-mie.tv/
り上げられています。

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