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  旅日記 no.172
映画「いのちの食べかた」
2008年1月9日
こんにちわ。金丸です。
今日は、映画「いのちの食べかた」です。

 昨年から、TBSラジオ「生島ヒロシのお早う一直線」で、毎月、一度、電話による生出演をさせていただいている。僕のコーナーは「食育」。先回の番組では、放送作家の宮崎守史さんの提案で、ドキュメンタリー映画「いのちの食べかた」を紹介することとなった。

どうやら宮崎さんが、僕が雑誌「ビッグイシュー」に映画評を書いたことを察知して、番組で取り上げてくださったようなのだ。ちなみに「ビッグイシュー」http://www.bigissue.jp/は、ホームレス支援の雑誌。イギリスから始まったという。ホームレスの人たちが街頭で定価300円の雑誌の販売を行い、その売り上げの160円が販売者にわたる。街頭で見かけたら、ぜひ購入してあげて欲しい。

「いのちの食べかた」は、2005年のオーストラリア・ドイツの合作作品。私たちの食べ物の現場が、ドキュメントで登場する。ナレーションも解説も音楽も出てこない。食の現場が、たんたんとひたすら映し出される。なかには、なんだろうと思うものもあるが、多くは、えっ、これが食ができるところなのと驚くものが登場する。

しかし、特別なものを追いかけて撮られたものではない。私たちが日常スーパーで購入する肉や野菜、あるいは形は見えないが、ファストフード店やチェーン店で食べる食べ物のごくごく日常の食材の現場なのである。

広大な土地。おそらくオーストラリアなのだろう。延々と続く大豆畑で、大型の機械を操作する作業員。そこから私たちの豆腐や醤油や味噌の原料がやってくるのだろう。あるいは、牛や鶏や豚の穀物が生まれるのだろう。

絨毯のように長い長いかまぼこ型の鶏舎に敷き詰められたような鶏たち。そのなかを男性作業員が歩く。ときどき死んだ鶏を拾い上げていく。それはまぎれもなく、私たちが食べる鶏の肉の生産の現場なのだ。

あるいは、大きな工場のようなところの大型のドラムに、牛が送り込まれる。ドラムからは、牛の首がのぞく。その瞬間、スタンガンが、牛のコメカミに当てられて、牛は、ズドンと音を立てて気絶する。次の瞬間は、牛は吊り下げられて、解体されていく。その作業がめんめんとつづくのだ。

牛、鶏、豚、アスパラガス、トマト、オリーブオイル、ひまわりなどなど、私たちがもっとも日常に口にする食品の生きた現場が、いくつも取り上げられる。そこには少数の人たちが作業を行う。それは、私たちの日常の食を運ぶためだ。

あまりにシステマチックに、あまりに大型化した食の形。でも間違いなく、私たちの食がそこにある。安心や安全が叫ばれる毎日だが、どれだけの人が食の現場を知っているのだろう。

大型化し、合理化し、人任せにしてしまった食に対して、私たちは、果たして、安全だけを唱えるだけでいいのだろうか? 現場に関わらずして、食の安全だけを主張できるのだろうか? 生きるということ、食べるということは、私たちにとってどんな意味を持つのだろうか?さまざまなことを考えさせられる作品だ。

この「いのちの食べかた」は、全国で今上映されている。映画も秀逸だが、それよりも映画を観ていない人にもお奨めなのが、ホームページ。これが実によくできている。ためしに、ホームページをクリックして欲しい。あっという写真が登場する。
http://www.espace-sarou.co.jp/inochi/


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