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  旅日記 no.176
「新型インフルエンザと岡田晴恵さん」
2008年2月6日
こんにちわ。金丸です。
今日は「新型インフルエンザと岡田晴恵さん」の話です。

 ずっと会いたかった人に国立感染症研究所の岡田晴恵さんがいる。彼女の編集による『強毒性 新型インフルエンザの脅威』(藤原書店 2006年7月)を読んで衝撃をうけたからだ。本には報道されるとは、まったく異なる「鳥インフルエンザ」、つまり新型インフルエンザH5N1型ウイルスの実態と背景が描かれていた。

一年半思い続けて、岡田さんと会うという夢が実現した。それは、日本ペンクラブ環境委員会での勉強会にゲストとして来ていただいたのだ。武蔵野市にある研究所に直接連絡をしたところ、快諾をいただいた。環境委員会は、一昨年に発足した。

俳優の中村敦夫さん、作家の西木正明さん、森詠さん、小林照幸さん、新津きよみさんなどがメンバー。中村さんの提案で、毎回、専門家にきていただき環境問題を考え、そこからペンの力で提言していこうとなったのだ。昨年暮れに幹事になったことから、今回、岡田さんを強く推薦し、ゲストに迎えるということとなったわけだ。

岡田さんはぽっちゃりとした色白で可愛らしい人だった。でも、ひとたび話となると情熱的で、さまざまなデータ、写真を使い、みぶりも交えて、現在の新型インフルエンザの脅威を1時間半語ってくださった。今、報道される新型インフルエンザが、ごく一部の表面的なことでしかないこと、多くの致死をもたらすばかりでなく、経済的な損害を招くほどの被害をもたらす可能性があるという。

そもそもインフルエンザは、すべて鳥のウィルスに由来するという。ウィルスはカモに生息し144種類あるという。ウィルスは自分では生殖できないので、必ず宿主を必要とする。宿主が死んでしまうと自分たちが生存できないので、普通は弱毒性で、上手に宿主を生かしながら乗り換えていく。

インフルエンザは、風邪とは異なる。毎年、流行し、1000万人がかかり、多いときは3万人が亡くなっているという。しかし、ワクチンで、大きな被害にならないですんでいる。ところが、免疫抗体ができてくると、ウィルスは、一年間でモデルチェンジをしてしまい、新しい形となって、また流行りだす。

そのなかで、数十年に一度、まったく違ったウイルスとなって大流行を起こす。それが新型ウィルスと呼ばれる。新型インフルエンザH5N1型ウイルスは、まったくの新しいもの。これまでと違い強毒性を持ち、感染したら100パーセント病気になるという。これまで300名近くが死亡している。

世界的大流行をパンデミックという。新型ウィルスは20世紀になって3回出現している。1918年のスペインかぜ、1957年のアジアかぜ、1968年の香港かぜ。日本では「かぜ」と名づけられたが、これはすべてインフルエンザだという。

1918年のスペインかぜは、当時、世界人口の18億人のうち5〜10億人が感染。推定で4000万人から8000万人が死亡。日本では、当時、人口が5000万人で、約45万人が死亡したと推定されているという。現在の新型インフルエンザH5N1型ウイルスが広がれば、推定では全世界で1億5000万人、日本では210万人が死亡するとされている。

アメリカは国防という考えから9000億円の予算が計上され、現在、大統領直轄で、軍隊が出動して、非常時には、隔離やワクチンの投与をする態勢が整えてあるという。日本でもワクチンの準備はしているが、しかし、準備に半年を要する。もし新型がでれば、一日で感染してしまうといわれ、態勢が万全ではない。岡田さんは約2億人のワクチンを準備し、危機になれば即刻、全国民に行き渡るようにすべきと訴える。

勉強会の後、岡田さんとゆっくり話すことができた。彼女がプレゼントしてくださったのが、「H5N1型ウィルス襲来 新型インフルエンザから家族を守れ!」岡田晴恵著(角川新書)である。すごくわかりやすく書かれているのでぜひ読んでもらいたい。とくに行政関係者には必読だろう。

国立感染研究所
http://www.nih.go.jp/niid/index.html

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