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  旅日記 no.182
「茨城のポケットファームどきどき」
2008年3月19日
こんにちわ。金丸です。
今日は「茨城のポケットファームどきどき」の話です。

 3月13日に茨城県茨城郡茨城町の「JA全農ポケットファームどきどき」を久しぶりに訪ねた。上野駅から水戸の先の石岡駅まで、約一時間。駅には前の部長で、現在はJA全農の事業開発グループの鎌田定宗さんが迎えてくださった。石岡駅から車で30分の、栗林のある大きな敷地に「どきどき」はある。

ここは農家100軒が野菜や加工品を出す直売所、それにレストラン、ハム工房や、パン工房、惣菜コーナー、花売り場などがある。JAの直売所は各地にあるが、しかし、ここは異色の存在である。レストランは、そのすぐ隣に畑があり、地元の有機農業のメンバーに依頼して、オーガニックの野菜80種類を栽培し、それを料理にほぼ半分は使っている。

あとは地元の農家のその日の野菜や茨城県内の農家のもの。いずれも鮮度の高い、地元産でまかなう。メニューは80種類。できたてのものがどんどん出てくる。ビュフェ方式。家庭の味がうりで、ごはんはもちろんカレーやパスタやピザなどはもちろん、焼き魚や天ぷら、サラダ、煮物、おひたしなどさまざまにある。席は117あるが、開店と同時に満員になる。年間10万人が訪れるという。

室内は天井が高い木造建築、4面がおおきなガラス張りで採光もよくて、気持ちのいい空間。働くスタッフも白を基調とした衣装で、元気がよく、できたての料理を出すときに、大きな声で紹介されて、テーブルに並ぶ。その声が元気ですがすがしい。店長の田村勇人さんのところには、常連さんらしいお客さんが「おいしかったわ」「また来るね」と、挨拶に次々とやってくる。

料理はどれも美味しい。どれを食べようか目移りする。ランチが1500円。夜は1600円だ。来店するのは、家族連れや仲間をさそってくる人が多い。

隣の直売所が、地域にこだわった販売所になっていて、その商品構成は、ほかとはまったく違う。野菜売り場は、近所の農家が出す野菜が毎日並ぶ。トマトも何種類もある。いちばん多い桃太郎もあるが、イタリアントマトも、昔ながらの品種のトマトもある。生ハーブや山菜などもあり、種類も豊富。在来の品種なども置いてあり、スーパーとは違った品揃えだ。

加工品や調味料も厳選されていて、オーガニックのもの。農家の手作りのものなど。化学調味料や化学添加物を使ったものは、一切置いてないという徹底ぶり。店長の小泉さんが、きちんと産地にいったもの、確かなもの、自分たちで説明ができるものしか置かない方針。小泉さんはかつて東京の市場で働いた経験があり、規格や価格、見た目だけで市場に出される野菜のあり方に疑問をもったという。

それと、お子さんがアトピーだったこともあり、安心安全鮮度と地域を大切にした野菜売り場にしたいとの思いで、商品構成をしているのだという。うちも妻がかつて重度のアトピーで、次男が、添加物の入った食品をたべると体中にアレルギーがでるという経験をもっているので、小泉さんの姿勢にはとても共感できる。それを売り場で形にしているのだから素敵だ。

この売り場には、ナショナルブランドの清涼飲料水や冷凍食品などはおいてない。自動販売機もない。その徹底した方針が素晴らしい。そのかわり、毎週イベントがあって、庭での子どもたちの紙芝居、有機野菜をとって料理を作る料理教室、農家が先生になる味噌、豆腐づくり教室。押し花教室。秋には、農家が軽トラックで、野菜や果物を直接販売する収穫祭など、参加者が直接、料理家や農家と触れ合うものが目白押しなのである。

こんな直売所が各地にあるとどんなにいいだろう。もっとも注目しているところ。それが「ポケットファームどきどき」である。
http://www.ib.zennoh.or.jp

●訂正とお詫び 前回3月12日配信(no.181)「平戸市の島めぐりの料理会」でのなかで、地名「的山(まとば)大島」とあるのは「的山(あずち)大島」の間違いでした。深くお詫びします。

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金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎ホームページhttp://www.banraisya.co.jp/kanamaru/home/index.php