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  旅日記 no.245
映画「平成 熊あらし」
2009年6月5日
こんにちわ。金丸です。
今日は 映画「平成 熊あらし」の話です。

ドキュメンタリー「平成 熊あらし 異常出没を追う」を観た。この映画は、日本ペンクラブ環境委員会のメンバーで、映画監督の岩崎雅典さんの作品。熊の異常発生が、1970年代から出始めいているだそうだが、その原因を追いかけたものだ。2006年に捕獲された熊は5185頭にもなるという。


主舞台になるのは、長野県の軽井沢、それに秋田である。軽井沢では、民家の壁のなかにある蜂の巣を狙って、あるいは畑のとうもろこしを食べに、あるいはレストランの厨房の食品をめざして、熊が出没する。

熊を調査しているグループが観察を行い、捕獲をしたものは無線機をつけて野に放し、そのときに犬に吼えさせるなどして、恐怖心を熊に植えつけて、自然に放つ。だが、それも限界があり、何度も民家にやってくる熊は毒殺されてしまう。

軽井沢は、今では、東京なみの人混みである。ほとんど原宿の混雑と変わらない。人が増えて、熊たちの住まいを侵食する。餌場が減ってきた熊たちは、平地に降りてきて、民家にある食料を狙い始める。

秋田では、熊の猟師である年老いた「マタギ」の話と、かつて山村で暮らしをたてていた人の話がとりわけ興味が深かった。老マタギに言わせれば、熊は臆病で、こちらからなにかしない限り、襲うことはないそうなのだ。

白神山地の秋田の山村で暮らしていた人の話が印象に残った。その人は、ダムができて、住まいがを追われた。秋田県北西部の白神山地が世界自然遺産に指定されたことで、かつて地元で山菜を採り生計をたてていたのに、山に入ることが禁じられ、山村の生計がなりたたなくなる。

一方で山村の山登りは許可がされ、生計の道がなくなった、映画に登場する男の人は、山のガイドという形で、なんとか暮らしをたてるという、おかしなことになっている。その彼が、熊の出没に具体的な現場からの話をする。

熊は人為的な戦後の植林によって、餌場がなくなってしまった。そして平地にやってくるようになったというのだ。かつては「マタギ」たちは、熊をとった。それは、決められた狩猟の許可を得た人たちが山に入り、熊を観察し、限られた数を撃った。その熊の毛皮も肉も大事に食べられた。

しかし、現在、人為的な植林、ダム、人の山村への進出によって熊の住む環境が激変している。熊たちは、狩猟で撃たれるのではなく、多くの熊たちが毒殺されて、埋められてしまうのだという。自然を侵食しない形であったかつての「マタギ」の狩猟から、いまは、人が自然を変えて、追われた熊たちを毒殺してしまう。

とてもシンプルな映画だが、現代の熊の進出の背景を、これほどに的確に示したものはない。私たちの環境問題は、ほんの身近な足元にある。多くの人に観て欲しい作品だ。

『平成 熊あらし〜異常出没を追う〜』(2009年製作)
【スタッフ】
語り 柳生 博
監督・制作 岩崎雅典
撮影 明石太郎、田中 希、加藤 孝
録音 吉田茂一
取材協力
ピッキオ、日本クマネットワーク、マタギサミット実行委員会、NPO法人信州ツキノワグマ研究会、NPO法人日本ツキノワグマ研究所、松橋時幸、松橋利彦、工藤光治(白神マタギ舎)

■「新着情報」です。
各県と連携して地域食材を使い、毎月レストランで料理まで
紹介するという「東京ローカルレストラン」のプロジェクトが
「ぐるなび」のスポンサードで行われています。

一回目は青森県と茨城県でした。
地域の食材がお洒落な料理となって毎月展開されています。

このことを青森県のサイトでご紹介をしました。

青森県のサイト
「あおもり産品情報サイト 消費地レポートマーケティング情報」
に執筆をしました。↓
http://www.umai-aomori.jp/NEXT_month/know/marketing/report/42.phtml

この記事は私のホームページにも転載してあります。
◎ホームページhttp://www.banraisya.co.jp/kanamaru/home/index.php

金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎総務省 地域力創造アドバイザー
http://www.soumu.go.jp/ganbaru/jinzai/pdf/b022.pdf