2009年11月25日

こんにちわ。金丸です。
今日は「直売所きてら」の話です。

この１０日ほどで長野や福島や高松やと各地を訪ねたが、もっとも印象に残ったのが和歌山県田辺市上秋津にある直売所「きてら」である。この直売所は、周辺が山々に囲まれている。多くは梅やみかんの産地。その山のふもとのわずかばかりの川沿いの土地に直売所があった。木造建築で、こじんまりとした建物だ。
http://www.kiteraga.com/（きてら）

これは農水省の「地産地消経営高度化事業」という新しいモデル事業の一環で、私も専門委員に選ばれた。全国から応募のあったなかで3か所を選び、専門員が直接行ってアドバイスをするというもの。その一つが今回の「きてら」である。直売所の専門家ではないが、全国を巡り、地域に詳しいということから指名があったようなのだ。勉学の意味もあって引き受けた。

直売所の隣には喫茶室「いこら」がある。こちらも木造建築。「いこら」は「きてら」に出資をした田中淳夫さんの経営。この地域では、「来てね」というのを「きてら」と言う。そこで喫茶室は「行こうか」という意味の「いこら」と名付けたという。川が見える憩いの喫茶室は和歌山県内でも有名になり人気スポットだという。

「きてら」の売り上げというと、なんと２０坪の店ながら１億１５００万円という。もともとは地元の有志が出資をして生まれたところだという。そうそも、ここは山間地で大きな農業もない。みかんや梅を栽培をしてきた。

梅はミツバチが受粉をする。ところが、最近は、このあたりも新しい人たちが引っ越してきて、ぽつぽつと住宅ができた。そこで布団を干すと、ミツバチが糞をして、苦情が出始めたという。しかし、ミツバチは花の受粉を助ける農業にとっては命。それで地域の人たちが公民館運動として学校との連携によるミツバチの生態と農業の仕組みを知る「食育」活動を行い、ミツバチの役割を伝えることをしたという。

しかし活動はボランティア。そこで、地域に経済が回る仕組みを作ろうと賛同した地域の人が48名出資して直売所「きてら」が誕生をした。手搾りのミカンジュースや、ギフトのミカン販売。地域農家の野菜販売をしている。ミカンは、なんと７０種類もあるというから驚きである。

この直売所からさらに歩いて１０分ほどのところにレストランがあるという。こちらは小学校の廃校の横にあった。学校は昭和２７年頃の木造建築をそのままに残している。このなかが調理室があり、なかでも食事ができる。庭はしばふが植えられていて、ゆったりとした雰囲気だ。

その隣は宿泊施設、それにレストランでビュフェスタイル。建築物が、地域の景観を生かして、とても感じがいい。庭もあるし、ハチミツや果樹が多いから、ケーキやパイでのデザートを出すのもいいし、ここにパン釜があって、パンを焼くのもいいだろうと、提案をしたら、実は、パンをやりたいと思っていたという。

また直売所「きてら」からの徒歩での道は、昔の石垣が残る農家がたくさんあり情緒もある。そこでマップを作製して、散策コースを作り、歩くこともウリにしてはどうかと考えた。さらに、季節をきくと、梅の花の時期、ミカンの花の時期、果樹の実る次期など、季節の風物もある。季節を織り込んで体験教室やもぎとりなどのコースを組み込んだイベントを行えばと提案をした。

みなさん乗り気で、さっそく地図づくりもしてみるという。もともと地域の人たちが出資してできた施設であり、しかも景観に配慮した造りになっている。廃校を生かした調理工房では、ここを解放して、卒業生の同窓会を開いて大好評だったという。素晴らしいアイディアである。

今度、また行くことを約束し、今度は、パン釜作成のためのプランを携えて再訪の予定。パンは横浜の櫛澤電機の澤畠光弘さんに依頼する予定。昨年の茨城県常陸太田市のパン作りやケーキ作りのプロジェクトをマネジメントしてもらい大好評であったし、これまでもボランティアでの徳之島の農業高校での生徒の体験授業もしてもらっていてこちらも評価が高かった。澤畠さんに連絡をしたら「喜んで」と快諾の返事。また楽しい動きが始まりそうだ。
http://www.kusizawa.com/（櫛澤電機）

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「浜美枝のいつかあなたと」（関東のみ放送）
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「食育」の活動を紹介しました。

金丸弘美（食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー）
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http://www.soumu.go.jp/ganbaru/jinzai/pdf/b022.pdf
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「西日本新聞」「月刊ガバナンス」「ビッグイシュー」「東京新聞」
「日経グローカル」「月刊ＪＡ」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」
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