こんにちわ。金丸です。
今日は「馬場香織さん芋の子と山内ニンジンの料理会」の話です。
秋田県横手市に何度か通っている。地元の食材を使っての料理レシピ開発をということで始めていたが、ようやく実現をした。料理をお願いしたのは馬場香織さん。飛騨高山の「すくなかぼちゃ」の料理会を今年してもらったのだが、これが大好評だった。
彼女の素晴らしいのは、あまりむつかしくない料理展開で、しかも見た目が楽しいのである。地域のビュフェ形式にはぴったりということと、地方の素材のバリエーションが増えるだろうという狙いもあった。
テーマに選んだのは横手市の特産物となっている「芋の子」(サトイモ)と昭和20年代から栽培されて昭和40年には途絶え、最近復活させたという大きめの「山内ニンジン」ということとなった。そのまえに、素材のテキストを作成してもらった。きちんとした資料がないことには、素材のパーソナルが見えないからだ。
横手のセントラルホテルが借りてあるというので、馬場さんには、本番の前々日から入ってもらった。道具を運ぶこともあったので、アシスタントに、うちの長男の知弘がついていった。私もあとで行ったら、ものすごいハプニング。ほとんど使われていないホテルの別室の厨房で、料理器具がそろっていない。
オーブンも旧式で使っていないとのこと。皿もない。まな板もない。軽量カップもない。包丁もない。時計もない。秤もない。一同唖然である。調理長さんも気を使ってくれて、最低限の皿や、道具を急きょそろえてくれた。それでも足りない調理器具を買い出しすることから始まるという前代未聞の料理会。役場と現場の調理室との連携ができていなくて、話が伝わっていなかったのである。
「これでちゃんと料理ができれば、もうどこ行っても自信がつくわ」と馬場さん。彼女はポジティブ志向。笑顔がたっぷり。これで救われた。5日の早朝から始まり、夜10時近くまで仕込む。翌朝は8時からスタート。本番は午後3時。私も仕込みを手伝った。ぜんぜん間に合わない。ようやく午後1時に役場の女性2人を入れてもらってぎりぎりまでの準備。馬場さんはフル回転である。
そして本番。会場は満員。まず最初に保健課の方に横手市健康調査を発表してもらった。きちんと調査がされていて、健康対策の食の取り組みが明確になっている。素晴らしい。そのあとに農政課での食育基本計画の紹介。そして担当の石川君が、横手の芋の子とニンジンの食材の紹介をパワーポイントで行った。健康と食の関連で料理を展開しようというのが試みである。
そして料理である。出てきたのは、「キャロットサラダ」「キャロットシチュー」「キャロットケーキ」「めんたいニンジン」「孫芋あげだし」「親芋のガーリックバター焼き」「子芋の梅サラダ」「子芋の牛肉巻き山椒風味」「子芋のベーコンS&P風味」「孫芋のティアン」「親芋のお好み焼き風」「孫芋のチーズたこ焼き」「孫芋とニンジンなどの炊き合わせ」「子芋フライドポテトの3種のお味」「子芋とニンジンの塩窯焼き」「中華風芋ごはん」などである。
馬場さんがにこやかに出てきてデモストレーションを行った。試食は大好評である。思った通りの展開になった。さまざまなバリエーションが出て、見た目が華やか。でも、それぞれはだれでもできる料理というものである。質疑応答をしたら、料理の仕方の質問がつぎつぎに出る。
みなさん言われたのが「芋の子とニンジンで、こんなにもいろいろ料理ができるというのにびっくり」。というのもニンジンと芋の子の料理を尋ねたら地元では煮物と味噌汁というものだったからだ。とくに70歳以上だろうという農家の女性の方の話が印象的だった。
「はあ、先生は、なんであんなにいろんなことができるんやろな。芋の子のフライは、じいちゃんの酒のあてに作ってみる。あれならおらもできる」。地元では捨てられていたニンジンの葉のフライが美味しくて好評であった。さっそく参加者の実践が始まる。
このあと保健課の方と話し合い、今回の料理をカロリー計算までしてもらい、地元の米や料理との理想的な組み合わせを提案してもらうことをお願いした。素敵な料理を見事に作り上げた馬場さんとアシスタントをした知弘に感謝である。
金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎総務省 地域力創造アドバイザー
http://www.soumu.go.jp/ganbaru/jinzai/pdf/b022.pdf
◎内閣官房地域活性化応援隊地域活性化伝道師
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