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  旅日記 no.228
「奄美からの手紙」
2009年2月4日
「奄美からの手紙」こんにちわ。金丸です。
今日は、「奄美からの手紙」の話です。

 メールマガジンが二週間も間があいてしまった。というのも、この間、ずっと旅の空の下。1月23日の岐阜県飛騨高山、24日京都、27日姫路、28日平戸、29日唐津、30日広島、そして2月2、3日と奄美と転々としている。さまざまな人たちと合って話し合えるのは楽しい。とくに飛騨高山と平戸は、食のワークショップを開き、農家と料理家と一緒に展開しているので、その楽しみは倍加する。

久しぶりにやってきた奄美は、気温19度とさすがに温かい。もう桜が満開。彼岸桜だそうで、紅色の桃のような桜。もうお花見をしている。奄美諸島に来ているのは、あまみ長寿子宝推進事業委員というのを5年前に任命されて、毎年、奄美諸島の長寿をテーマに観光事業と地域活性化のアドバイスの会議に参加している。

会議の前に視察に行ったのが昔からある奄美の砂糖工場の富国製糖。いまサトウキビの収穫時期で、工場はフル回転している。工場は昭和37年から稼動している。この工場の設備が素晴らしかった。サトウキビを丹念に搾る。先の方は家畜の餌に、絞りきったかすは燃料にして蒸気でタービンを回し、またサトウキビの汁を煮詰めて砂糖にするのだが、そこから出てきた残渣は肥料に。さらに出てきた黒蜜は家畜のえさになる。なんともエコロジー。

これこそバイオマスではないか。「みんなが言う前に、僕たちは取り組んでいました。エコロジー」というキャッチフレーズで売りだしたらどうだ、という話を提言。さて砂糖の原料のサトウキビ、工場で使われるのは約年間3万7000トン。かつては4万トンあったが、一時農村が高齢化しサトウキビが減っていたそうだ。その後、機械(ハーベスター)の導入で、生産が、やや快復して現在にいたる。

平成20年、21年の購入価格は1トンあたり2万1481円。このなかに農水省の補助が1万5931円、工場の原料価格が5550円となっている。つまりサトウキビは直接支払いの補助金でなりたっている。農家の奄美の平均の農地は80aから90a。10aあたりのサトウキビの収穫量は約6トン。ということは10aあたり12万8886円。すると農家の収入は、103万1088円から115万9974円となる。

もっとも大きな農家もある。200トンから300万トンというところだが、これは農地を集約して行っているところ。国は大型化で集約化を奨励している。しかし島は平地はほとんどないから、そんな大きな農家は、ごく一部で全体の2、3割だろうととのことである。

ということは農家の多くは生計が立たない。これまでは、大島紬と建設と土建業が大きな収入のもとだったが、それも今は激減してしまったために、島の大きな経済の支柱がなくなっている。そこで新たな島の産業としての観光や特産品開発が求められている。

さて砂糖工場の砂糖は門司の砂糖工場に送られて、海外のものと一緒になって、一般家庭の砂糖となるのだそうだ。一部は黒糖焼酎に使われているとのこと。しかし、海外のものと比べて、また沖縄ものとは補助金の違いで値段が高いものだから、奄美の黒糖を焼酎に使うところは少ないのだそうだ。一部でもいいから、奄美のオリジナル砂糖として売れないものか、という視察メンバーからの意見が出た。

会議のあと懇親会があり、久しぶりに徳之島の役所の方たちと飲む。徳之島伊仙町では直売所ができ、現在、三重県のモクモク手づくりファームさんがアドバイザーで入っているとのこと。せっかく、日本でもトップレベルのところが来てくれているのだから、ぜひものにしてほしいと願っている。

懇親会の席上で登場したのが、二人の「うたしゃ」。つまり三味での島歌。この歌い手がなんと小学6年生。住姫乃、前山マリアの二人。住さんは、2008年の第10回民謡民舞少年少女全国大会小学高学年の部優勝など、多くの賞を受賞しているのだそうで、素晴らしい歌声と三味線を披露。喝采を浴びた。いいひとときだった。

金丸弘美(食環境ジャーナリスト・食総合プロデューサー)
◎総務省 地域力創造アドバイザー
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『中国新聞』『中日新聞』『宮崎日日新聞』『新潟日報』
『学校給食』『TBSラジオ生島ヒロシのお早う一直線』
『グルメジャーナル』『内外教育』『農林経済』『聖教新聞』
『熊本日日新聞』『日本農業新聞』『児童心理』
などで紹介されました。
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